見出し画像

子ども中心の面会交流

子ども中心の面会交流についてAnchorにアップをしました。

内容は以下になります。

子どもの発達と離婚・面会交流

子どもの発達課題

アメリカの心理学者エリクソンによれば、人は乳児期には養育者との間で信頼関係、愛着関係を確立し、幼児期には、両親や家族に温かく支えられながら新しい言語や行動を身につけ、児童期には学校生活の中で友人関係や学業に取り組み、思春期・青年期には、身体的変化を受け入れながら自分らしさを獲得し大人になっていく。両親が離婚しても、それぞれの発達段階に応じた親の役割が必要であり、面会交流を先延ばしにすることは、子どもの発達にとって大きな損失である。また、子どもは親の離婚に対して、親とは異なる体験をしており、両親の口論や不和、別居・離婚に、親から見捨てられる不安や恐れ、これから先に何が起きるかわからない不安、心配を抱く。親の離婚の影響は年齢によって大きく異なり、乳児期では両親の雰囲気に敏感になり、食事や睡眠の乱れ、同居親から離れられなくなる分離不安などがある。学童期には、どちらかの親の味方につくことが、他方の親を裏切ることのように感じられる忠誠葛藤を起こしたり、悲しみや怒りの気持ちを抑え込んで親を心配させないように明るく振舞ったりすることがある。思春期以降は、情緒が不安定になり、些細なことで苛立ち物に当たったり、不登校になったりする。自我を形成するこの時期に、親子関係、友人関係で躓き自己肯定感や自信を育むことができないと、生涯にわたり人間関係、社会適応で問題を抱えることになる。

子どもの年齢に応じた面会交流

日本では、裁判所が決定する面会交流の頻度は、子どもの年齢には関係なく1カ月1日数時間程度と一律に決定されることが多い。しかし、諸外国では上述の発達心理学の研究成果に基づいて、子どもの年齢に応じた面会交流の頻度と時間が決められている。アメリカ・アリゾナ州を例に挙げると、0~2歳は平日2回夕方3~4時間+週末半日、3~5歳は平日2回夕方3~4時間+週末1泊、6歳以降は平日1回夕方3~4時間+隔週3泊となっている。長期休暇や祝日は特別スケジュールとして追加される。子どもの親との愛着関係の発達、心身の発達については、外国と日本の子どもに相違は全くない。日本においても、子どもの年齢に応じた面会交流の取決めがなされるべきである。

父母の葛藤と面会交流

父母の葛藤レベルに応じた面会交流支援

父母の葛藤の程度によって、①父母が話し合いによって、自発的に面会交流の取決めと実施が出来る、②専門的な第三者が関与することで、面会交流の取決めと実施ができる、③父母の葛藤が高く、専門的な第三者の継続的な支援によって、面会交流の取決めと実施ができる、④父母の葛藤が極めて高く、家庭裁判所の介入によって面会交流が合意できる、あるいは裁判所の審判によって面会交流が決着する、に便宜上分類できる。④の場合、諸外国では、裁判所が民間の面会交流の決定を出したあと、面会交流の実施はすべて当事者に委ねられており、実施の場面でも、父母の紛争が激化することが少なくなく、子どもの利益のための面会交流であるはずが、子どもが両親の紛争に巻き込まれ忠誠葛藤に苦悩し心身ともに傷ついているケースが多い。裁判所が行政機関と連携して、裁判所の調停、審判の通りに面会交流が実施できているかフォローアップ出来る制度が期待される。

父母の葛藤と面会交流の制限

両親間の葛藤のレベルに関わらず、単独監護の子どもと比較して、共同監護の子どもでは、感情面、行動面、学業において好成績であり、共同養育は、親の葛藤による有害な影響を増大するのではなく、両親の紛争の影響から子どもを守ることが明らかになっている。つまり父母間の葛藤が高いと評価される場合であっても、共同監護・面会交流が制限されるべきではないのである。両親が「高葛藤」と指摘されたときに、一方の親と子どもの面会交流を制限する、或いは直接的な交流を避け関節交流にするという方針は、面会交流を拒みたい親に高葛藤であると主張し続ければよいと言う動機を与えてしまう可能性に繋がる。他方で、高葛藤でも面会交流を行っていくためには、面会交流支援者の専門性、スキルが求められる。

「離婚と面会交流」小田切紀子・町田隆司著書から抜粋



サポートは別居や離婚を経験した子どもの支援に活用させていただきます。宜しくお願い致します。