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J-WAVE JAM THE PLANET TODAY’S SPECIAL 【共同親権を認める民法改正案について】

本日のJ-WAVE JAM THE PLANET TODAY’S SPECIALで共同親権について特集がされていましたので文字に起こしました。ゲストは大村珠代弁護士。

【吉田まゆ】
注目をされているのが、共同親権を認める民法改正案です。
 
そもそも親権というのは、親の権限、義務のことで結婚中は父母がともに子どもの世話、教育財産の管理などを行うんですけれども、離婚後は今の日本において話すると、単独親権と言ってどちら片方の親だけが親の権限、そして義務を引き継ぎます。
 
今この共同親権に関して、弁護士や識者から異議を唱えられているっていうのはリスナーの皆さんもご存知だと思います。これはDV被害、ドメスティックバイオレンスの被害の影響のことなどを考えると当然のことなんですけれども、もちろん当然それは絶対的に議論していかないといけない問題ではある。ただ同時に、忘れてはならないのは、共同親権ってそもそも誰のためにあるのか。今日は共同親権の原点に立ち返りながら、なぜ先進国では日本だけが導入していないのか日本における仕組み作りの課題について専門家のご意見も入れながらお話していこうと思います。
 
結論から言うと共同親権っていうのは本来、子どもの幸福のため導入すべきなんですね。

それは以前にもご紹介した子供の権利条約と関係があります。子どもの権利条約は1989年に国連で採択されて、日本も94年に批准しましたけれども、その9条を引用させていただきます。

子供の権利条約の9条によると、児童がその父母の意思に反して、その父母から、分離されないこと。つまり両親双方と深く関わることは子どもにとっての権利であると定めているわけです。ここを絶対的に忘れてはいけないと思うんですね。
 
今日は子の連れ去り問題の集団訴訟の共同代理人を務める神奈川法律事務所の大村珠代弁護士に取材をさせていただきました。大村先生によると、子どもの幸福の最大の目的を考えた場合、この単独親権っていうのは子どもにとって、時に過酷で複雑な仕組みになってしまう場合があるとお話していただきました。
 
【大村先生】
子どもの立場としたら、親が離婚っていうのが自分にとってはお父さん、お母さんは変わらない存在で、やっぱり一緒に暮らしたいし、できれば一緒に時間を過ごしたい。当たり前に元気に過ごしたいという子どもの気持ちを叶えてあげる。それがあの子どもにとっては当然の権利だと思うんですけれども…。
 
【吉田まゆ】
大村先生によると、単独親権にも問題が色々あって、例えば養育費の支払いが止まってしまったり、子どもが両親に会うといった権利が剥奪されてしまうと。日本では離婚後も、子どもがお父さんとお母さん両方に会いたいと思った場合、この円満離婚が前提なんですね。それは、おかしいなっていうふうに個人的には思うんです。
 
日本における離婚率は今や35%、3組に1組が離婚しています。それが元夫婦同士のコミュニケーションとお互いへの理解がないと、子どもが親に会えないというのは、おかしいかなと、それはきちんと法律で制度を作っていかないといけないなというふうに思っています。

一方で、今この国内で、共同親権についての議論が足踏み状態なのは、このDV被害にあわれている親が暴力から逃げられなくなってしまうのかという指摘があるからなんです。
 
ちょうど先週も離婚や家庭内暴力を扱う弁護士の約400人が共同親権に対して、もっと慎重な議論をしてほしいというふうに法務省に申し入れを行いました。
 
今の民法改正に向けたたたき台を見てみると、このDV家庭内暴力、あとは児童虐待など急迫の事情があれば、単独での親権行使を認めるという案が盛り込まれているんですけれども、この申し入れを行っている弁護士たちによると、この急迫の定義が曖昧であると。そうなると更に現場が混乱するのではないかということを指摘しています。

実際先ほどご紹介した子どもの権利条約でも、両親と深く関わることっていうのは子どもにとっての権利であるということは定めているんですけれども、一方で、両親との分離が児童の最善の利益のために必要であると決定するとされた場合は、この限りではないというふうにも記載されているんですね。
 
この親権は子どもに関する教育といったそういった決定を行う部分と日常の養育に大きく二つ分けられるわけですが、この子どもに関する決定をする際、大村先生曰く、このDV加害者から同意を受けないとその決定がなかなかできない、拒否権が続くのではないか、あるいは無理な要求が続いて、この家庭内暴力の形が続くのではないかという議論が出ているそうなんです。
 
それはそもそも、家庭内暴力などに対する支援が足りていないということも関係していそうです。
 
【大村弁護士】
DVの支援が諸外国に比べてすごく不十分で、逃げるしかないや、その後DVの加害者からのその関係を絶つしかないっていうところで共同親権になると、その関係性が継続することになるから、そのDV被害者が守られなくて困るんだっていう主張だと思う。
 
【吉田まゆ】
海外では一体このあたりはどうなっているのか、このあと後のTODAY’S SPECIAL Part2では引き続き共同親権のあり方について大村弁護士のお話をお聞きしながら考えていこうと思います。
 


【共同親権、弁護士に聞くその問題点と海外での事例】
 
世界的に見ると、離婚後は共同親権である国が圧倒的多数であります。G20を含む海外24カ国のうち、単独親権のみの国は日本以外だとインドとトルコのみ、つまり日本ぐらいなんですね、先進国で離婚後に親権を取り合うという状況があるのは。様々なデータを見てみると離婚原因の半分近くが性格や価値観の不一致っていうのを挙げています。だから本来はこの共同親権導入の是非そのものの議論というよりも、このDVそして児童虐待の被害者への支援といった方ところに議論が向いていかないといけないと思っています。
 
ちょっと話がずれるんですけれども私は幼少期アメリカのロサンゼルスに住んでたんですが、両親が離婚されてる友達も少なくなかったんですね。小学生だったのでとっても単純な発想にしかならなかったっていうのは大前提でお話すると、若干そういった家庭が子供の頃、羨ましかったりもしたんです。なんでかっていうと、なんか今週はママの家、週末はパパの家で、私も遊んでいてもお迎えはママが来たり、平日はママの家で過ごすけどクリスマス休暇パパの家だったり、そこでは新しい義理の父や母パートナーが入っていって何か単純に沢山の大人が介入してくる感じが、小学校低学年の子ども心的には楽しそうだった。もちろん、そういったふりを友人がしていたのかもしれないですし、そんな単純な話ではないっていうのは大前提なんですけれども、ただしその親権が分配されていて、それを子どもがハッピーに享受しているという様子を目の当たりにしていたので、日本での共同親権の導入の賛否っていうのはとても注目しています
 
アメリカで例えばDV対策どうなっているのかっていうのを見てみると、DVの報告があったりすると警察が先ずはすぐに介入して、直ぐに夫婦を引き離すことができます。
 
日本と異なるのは、直ぐに警察が介入できることで、そこから面接というのは夫婦別に行って、両者の言い分を聞いた上に、DV認定がされると。もしDVが認定された場合は、共同親権が直ぐに停止されるというシステムがあります。一方日本では、DVが起きているというような報告があっても、証拠を集めて接近禁止命令を取る裁判が終わるまではかなり時間がかかっています。
 
私のアメリカ人の知人が話していたんですけれども、隣人、あの近所の人がどうやらDVを受けているのではないかというふうに警察に通報したと。ただその警察に何回か通報したんだけれども毎回やはり夫婦の問題だからといって取り合ってくれなかったと。
これはアメリカではありえない話だよっていうような話を聞いたこともあるんですね。
 
親権に関して、他の国を見てみると少し進んでるのはオーストラリアもそうなんです。そもそもオーストラリアでは、親権、Custodyいう言葉も使わないそうなんです。その代わりに、30年前から共同の親責任というシステムを導入しています。そもそもオーストラリアでは、12ヶ月の別居期間を経てからではないと離婚ができないそうです。この1年間12ヶ月の間に養育費であったり、一緒に住む親はどちらにするのか、休暇を過ごす親はどちらなのか、学校行事に行くのはどっちなのか、そういった子どもにまつわる様々な取り決めを行う時期だと。もし離婚後に両親の意見が対立した場合は第三者機関がすぐに入って双方から意見を聞き、調整する仕組みがあるんですね。
 
ただそのオーストラリアも全てがうまくいっているというわけではないんです。このDV、そして児童虐待があった場合でも、やはり密室で起きていることなので、それが見過ごされてしまったり、過小評価されたりするケースも少なくないそうです。その結果、ちょうど1年前からオーストラリアではですね、法改正を準備中なんですね。この法改正がどういう事かというと、共同での子育てというものにこだわらずに、安全面を重視すること。そして、それぞれの家族の状況に応じて子どもの利益の実現っていうのを重視するという方向に向いていくそうです。さらに子どもの意見というのも取り入れやすくするととはいえオーストラリアでは、法改正後も基本的には、両親が子どもを養い続けるという責任は変わらないとこのように、共同親権で問題になるDVであったり、児童虐待に対しては、状況に応じてもちろん細かく対処していかなければいけないのは絶対なんですけれども、そうではない理由で離婚した両親を持つ子どものこともしっかり考えていかないといけないと大村先生も仰っていました。
 
【大村弁護士】
反対の方の立場も勿論わかります。反対の立場の方はDVの受けている方の被害者の方や児童虐待から守らなければならないと。それは本当に当然ことでその視点からしたら、その共同親権は厳しいっていうのはわかります。

ただその議論とそうではない、DVや児童虐待といっても本当に全体の離婚の割合からしたら、部分的本当に一部なので、そういう場合に共同親権ができない、何よりそのお子さんが離婚したら、もう親と子の絆も切れてしまうような、そういう制度であってはいけないと思うんですよね。なので、視点をもっと深くして、全体を見てみんなで議論していくべきだと思うんですね。
 
【吉田まゆ】
本当に全体を見てみんなで議論していく、この日本でこの議論を前向きに進めるためには何を変えるべきかといった点も伺いました。
 
【大村弁護士】
私は広く国民の方々にこの問題を知っていただくことだと思っています。なので今回本当に取り上げていただけるのは凄く有難いお話で、実際に問題も全体的などういうことが問題なのかっていう全体像を知っていただいて、当事者にならないと、離婚したら子どもに全く会えなくなってしまったとか、そういうことが知られてないんですよ、残念なことに。
 
なのでこの状況を知れば、知って考えていただければ、単独親権と共同親権はどちらが子どもにとって良いのかっていうことを、考えてくれれば、変わっていくんじゃないかなと思っています。
 
【吉田まゆ】
結局最優先されるべきなのは、絶対的に子どもであるべきで、子どもを第1に、制度設計すべき。この児童の最善の利益っていうのをどのように社会全体として守っていくのか、日本では3組に1組が離婚する時代です。この単独親権・共同親権に関して、オールオアナッシングではなくて、例えば警察の介入の仕方、DV被害者児童虐待の被害者への具体的な支援策や報告のシステム。こういったところを、識者のアドバイスや具体的な支援策、こういったところにもっともっとフォーカスが行ってほしい。そして大手メディアからもそういった踏み込んだ報道が増えること、そして国会での有益な議論。
そういったところを期待したいところです。

以上今日は共同親権についてお話しました。
 

サポートは別居や離婚を経験した子どもの支援に活用させていただきます。宜しくお願い致します。