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2020年2月19日 気仙沼市議会 第107回 定例議会「前浜地区の防潮堤に関する議案」

批判を受けそうなことは載せない、ということはしたくないから掲載します。
気仙沼市議会 第107回 定例議会、本日採決を取った議案の中に、前浜地区の防潮堤に関する議案がありました。自分の家の前の漁港です。
自分は、最初はこの防潮堤の話し合いの事務局として、そして議員になってからは顧問として話し合いをサポートしてきました。
つまり、話し合いによって問題を解決しようと試みてきた人間です。そして、話し合いで物事を解決しようとした時、自分の望まない結果になることも、ある程度覚悟して参加しなければなりません。そして、地域の話し合う力にはいつも限界があります。ベストな状況で話し合いが行われるのはまれです。でも、話し合わなければいけない。


防潮堤の高さは9.8m、最初は船着場を潰して造る案でしたが、地域は話し合いの結果、防潮堤を40 m程山側にセットバックして造ることで、地盤の高さとすり鉢上の地形から、防潮堤の長さを半分くらいに、見かけ上の高さも半分以下(3.5mくらい)に抑え、その背後の窪地を全て埋める計画へと変更しました。


しかし、背後地は地権者の意向で埋まらず、地域はセットバックした防潮堤だけでも造るか造らないかをアンケート結果で決すること決めました。その結果、僅差で防潮堤を造ること決まり、防潮堤を造る前提の検討委員会が組まれ、その顧問として話し合いをサポートしてきました。
かなり複雑な心境ですが、この話し合いを後押ししてきた議員として、今回この議案に賛成し討論をしました。


反対討論をされたのは、同じ会派の議員。津波シミュレーションの結果がほとんど変わらないこと、復興予算の無駄であることを訴えました。


今回、自分が賛成討論をした目的は、地域の話し合いの経過を出来るだけ説明すること、賛成側からもシミュレーションがあまり変わらず防潮堤の効果として疑問があることを伝えること、そうすることで賛成反対両方からこの地区の防潮堤の効果に疑問があること訴えている状況をつくり、その上でどちらかに引っ張ろうとせずできるだけフラットな状態で議会の判断に委ねること。


地域の意向は出来る限り優先されるべきことではあるが、議会の意思は必ずしも地域と同じとは限らない。


前浜の防潮堤では、大きくセットバックした際、堤体が二つに分かれる。そのうち大きな方が今回の議案の防潮堤。小さな方は高さ1.2m程、背後は小さな畑一つ分、しかし地盤改良でかなりお金もかかる。この防潮堤も同一議案で出てきた場合、話し合いをサポートしてきたことや、地域の意向に関わらず反対するつもりでいました。今回は大きい方だけだった。


議会の判断の結果
賛成21名、反対2名で議案は可決。
計画は変わりませんでした。
以下自分が述べた賛成討論の内容になります。


 津波シミュレーションによる影響は防潮堤を造った場合と造らない場合においては、それほど変わらず、そのため私は、住民としての関りの中で当初から前浜漁港における防潮堤は不要であることを訴えてきました。
 しかしながら、住民の中には防潮堤を望む声も多くありました。地域では検討委員会を設置し、1年間議論した結果、当初漁港の船着き場に設置される予定の防潮堤の位置を、海岸そばを走る市道より山側にセットバックし、その背後のくぼ地を埋めて有効活用する案で一旦合意を見ました。地域では防潮堤に反対する若い世代も多くいましたが、最終的にはこれ以上地域が対立を深めてはいけないとし、背後盛り度土を前提に可能な限り景観と環境に配慮することを条件になくなく合意しました。


 その後、様々な事情があり、防潮堤背後の嵩上げができなくなったことから、防潮堤だけでも「造る」か「造らない」かのアンケートを地域がとり、その結果、僅差で「造る」が造らない上回り、地域は防潮堤を造る前提で再び検討委員会を設置しました。そして半年以上の議論の結果、昨年12月に防潮堤に関する、防潮堤の法面を覆土する要望書を提出しました。


 地域は最終的に防潮堤を造ることを選択しました。説明会から始まり、これまでの議論は決して平坦ではありませんでした。防潮堤の議論は往々にして感情的な対立を伴います。話し合いの経過の中で地域コミュニティにも相当なダメージが残りました。


 一方、前浜漁港では防潮堤の位置を大幅にセットバックすることで、地盤高があることから見かけ上の高さを下げ、堤体の大きさを縮小する計画となりましたが、津波シミュレーションが防潮堤あるなしで災害危険区域に一部変更はあるものの大きくは変わらず、またシミュレーションには誤差があることから防潮堤の効果としてはやはり疑問が残ります。


 しかしながら、地域での防潮堤の話し合いは、感情的な議論を伴いながらもできるだけ公平かつオープンに行おうとした努力があり、その結果も都度地域へ共有されながら進みました。そして、紆余曲折を経て地域は既に議論を引き戻せない状況にあります。よって私は住民合意、市民参加の在り方、地域コミュニティの観点から第65議案に賛成いたします。

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