ごめんね/雨緒

「死にたい。」そう君は呟いた。
「死ねない。」そう君は嘆いた。

その言葉に僕は怒りを覚えた。
「死にたいなら死ねよ。」
「生きたいなら生きろよ。」
そう突っぱねてしまった。

君が、生きようと思えるような、
そんな言葉を探していたんだ。
ああ言えば、生きたいって思うだろうか。
こう言えば、死にたくないと思うだろうか。
嗚呼、僕はまだ未完成だった。

「死ぬなよ。」そんな言葉なら、
「綺麗事。」突き放されるだろう。

あれこれと検索してみたが、
ネットはまるで役に立たなかった。
こうなったら自分で見つけないと。
こうなったら自分で探さないと。

どうやったら言葉が出てくるんだ。
君が、生きたいと心から思えるような、
そんな言葉がどこにあるんだ。
言葉には表と裏があるから、
言葉なんかじゃ伝わらないじゃないか。

無理だ。

ある時思った。
僕は僕の為に 君を生かせていた。
生きて欲しいが為に 1人にならない為に。
__こんなの、ただの自己中じゃないか。

___ごめんね。

ごめんね、ごめんね。
君の幸せを、僕は壊していたんだ。
この腐りきった世界で、無理に生きる必要もないのに。
ごめんね、ごめんね。
君は幸せになりたかっただけなのに。
僕はこんなに足止めさせていたんだ。
未完成だ、僕は。

本当に伝えたかったのは__

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?