見出し画像

伊豆大島ひとり旅

結構前の話だけど、写真を見返していたら懐かしくなったので、秋に伊豆大島へ行ったときの話を書いておくことにする。とにかく天気が良くて、気持ちがよかった。

出発まで

まずは出かける数日前の日記を読み返してみよう。

11月18日(月)
去年全然分からないまま終わってしまった内田隆三の「構造主義以後の社会学的課題」をもう一回読んでいる。やっぱりよく分からない。成長していないことを感じて辛い。
はるまきごはんさんのグッドナイトフォールがご機嫌なときの私の歩くスピードにちょうどいいことを発見した。
ばらかもんの、ヒロシが島を出て行った巻を読んだ。こういう兄が欲しい!五島列島に行きたい!!島に行こう!!!
11月19日(火)
2限の現代思想を聞きながら色々調べていたら、五島列島へ行こうとすると予算オーバーとなることを知った。明後日の木曜は駒場祭準備で部活も授業もない。滅多にない丸一日のオフを有効活用しなければならない。大島ならそこそこ安く行けそうなので、明日夜出航の船を予約した。家に帰って準備をする。楽しみだ。

「島!!」と思い立ってから半日で予約、2日後には船の上、というスピード感が我ながら素晴らしい。フットワークは軽いに越したことはないな。

初日

20時過ぎにバイトを終え、竹芝客船ターミナルへ。事前に電話で予約をしていたので、名乗ってお金を払い、往復の乗船券をもらう。学割があったのがありがたかった。暗殺教室で殺せんせーが『君達が必ず平等に授かり、いずれ平等に失う才能があります。それは若さです』と言っていたのがふと脳裏によぎった。これが脳裏によぎったということは、私にとって”学生であること”と”若いこと”は同義語に近いのかもしれないと思った。未だに"社会人"がなんなのかも、「社会に出る」というときの”社会”がなんなのかもよく分かっていない。そんなことを考えながら、船への乗船時刻が近づくまで、桟橋から夜の海をぼーっと眺めていた。

これが乗った船、さるびあ丸。

画像1

船に乗り込み、まずは自分のスペースを確認しに行く。乗船券には2等,特2等,1等,特1等,特等という5段階のランクがあり、私はもちろん一番安い2等を購入していた。2等の中でも椅子と和室から選択ができ、今回は横になれる方が楽なのではないかと考え、和室を選択した。特2等は2段ベット、1等は布団、というように、グレードによって寝具が変わって行く。

和室の雑魚寝スペースにはそれぞれ事前に番号が割り振られており、自分の番号のところで1晩過ごす。偶然端っこだった上に、シーズンオフだったせいか、ガラッガラだった。夏場はめちゃくちゃ混むらしいので、満席でこのスペースでの雑魚寝はちょっと厳しいなあと感じた。

画像2

場所を確認したら、出航するのに合わせて甲板に出た。レインボーブリッジを下から潜るのは、変な感じだった。遠ざかって行く夜景を眺めながら、東京、明るすぎない?と思った。進んで行く先は真っ暗な海と空なのに、振り返ると東京の空は黒ではなく灰色で、何で寝る時間なのにこんなに灯りを点けているんだろうって、小学生みたいな疑問を抱いた。

画像3

朝5時半頃、伊豆大島に到着した。
船から降りた人たちが「そんな急ぐ必要ある?」って突っ込みたくなるくらいせかせかと行動を始め、バスに乗り込んで行く中、私は船の写真を撮ったり、荷物を下ろし、次の島へ船が出発していく様子を眺めていた。気がつくと港にはもう私しかいなくなっていた。

画像4

宿しか決めないで島まで来てしまったから、何をするかを考えなきゃなあと思いながら港の待合所みたいなところにあるパンフレットを読んでいると、ようやくとんでもないことに気づいた。私が今いるのは、「岡田港」という港で、本来着くべきだった「元町港」は島の反対側にある。元町港の波の状態などから、急遽岡田港に着港したらしい。そして私が予約していた宿も、レンタサイクルなどの施設も、基本的には全て元町港にある。岡田港から元町港へはバスが走っているが、始発は8時半。今はようやく6時を過ぎたところ。え、そんなことある?他の皆さまはどこへ??と思って調べたら、天気の都合で岡田港に着いた場合はそのお客さんを運ぶために、臨時で元町港へのバスが出ていたらしい。いやー、道理でみんなせかせかしてたわけだわ。

しばらくぼーっとし、パンフレットを読んでいたせいで完全に流れに乗り遅れた私は、朝の港にたった1人取り残されていた。
もうどうしようもないので、とりあえず元町港を目指して歩くことにした。
グーグルマップによると、徒歩で1時間40分くらい。何にもない道を、1人でひたすら歩いた。

画像5

8時くらいにようやく元町港に到着した。
ちょうどレンタサイクルがオープンし始めていたので、マウンテンバイクを借りる。1日貸し出しで2000円だったと思う。オレンジが気に入った。

朝ごはんに、町の食堂みたいなお店の味噌ラーメンを食べた。まあ味噌ラーメンだなあという味だった。

宿に行って荷物の一部を置かせてもらい、軽くしてから自転車に乗って出かける。伊豆大島といえばまずは三原山だろう!ということで、山道を登って行く。辛い。しんどい。普段運動しているはずなのに、すぐ疲れてしまう。1分登って15秒止まる、1分登って15秒止まる、という情けないリズム感で何とか中腹まで登ったところ、まさかの通行止めに...。急いで調べたところ、私が登ろうとしていたルートは台風19号の影響で頂上まで登れなくなっているらしい。がっかりして下る。他のルートから登ることも考えたが、山道にもう飽きてしまい、バスで行くにはお金がなさ過ぎたため、三原山はもう諦めることにした。また次に来た時に登ろう。

画像6

伊豆大島には、「大島一周道路」という海沿いを走り伊豆大島全体を1周する道路があり、信号もほとんどない(2,3個だったはず)、サイクリングにはものすごく向いている環境だった。オフシーズンの平日だからか車も自転車もほとんど通っておらず、景色がいいところで止まって写真を撮り、坂道に疲れて途中で止まり、と行った自由なサイクリングを楽しめた。

まず最初に現れたのは綺麗な断層。なんか美味しそうだった。

画像7

断層のあたりは、海の方向の眺めも抜群だった。晴れていたので、遠くの島々も良く見えた。

画像8

その後は波浮港見晴台へ。景色はすごく良かったんだけど、港まで下りたら上がってくるの大変だなあと思ってしまい(無駄に三原山への登山ルートを頑張ってしまったせいで、筋肉疲労がかなりしんどかった)、見晴台で引き返してしまった。下りると港町の美味しい甘味屋さんとかがあって面白かったのに〜と2日目に立ち寄ったお土産屋さんのおじさんに言われた。次に行った時は下までおりないとだなあ。

画像9

何回も書いてしまう気がするけど、この日はびっくりするくらい天候に恵まれていた。島の人によると、雨続きだった中での久々の晴天だったらしい。ラッキーだったなあ。視界の半分はずっと綺麗な海で、いつ止まって写真撮ってもいい写真が撮れた。

画像10

お昼はまた元町港まで戻り、遅めのお昼ご飯を食べた。有名(らしい)磯ラーメンを食べた。サザエが美味しかった。

画像11

ご飯を食べた後は、サンセットパームラインという海沿いを走るサイクリングコースへ。めっっちゃくちゃ良かった。最高の景色なのに走ってるのは私だけで、ものすごく贅沢だった。

画像12

溶岩が海に飛び出していた。向こうに見えるのは伊豆半島。

画像13

空に続いていくみたいな。

画像14

モーセが通ったあと

画像15

折り返し地点はこんな感じの砂浜だった。夏は海水浴もできるらしい。

画像16

引き返してまた元町港のあたりまで戻って来た後は、お風呂に入った。本当は浜の湯っていう露店風呂に入りたかったんだけど台風の影響でポンプが故障したらしく、まさかの休業。残念。代わりにその近くにあった、現地の方が使うような銭湯に入った。

画像17

これが行きたかった浜の湯。次に来た時にはぜひ入りたい。

お風呂から上がるとちょうど夕陽が沈む頃だったので(夕陽をサンセットパームラインで見ることを前提にして動いていたので当然であるが)、再度サイクリングコースへ。雲が出て来てしまったのが少し残念だったけれど、めちゃくちゃ綺麗な夕陽を見ることができた。

画像18

画像19

画像20

日が暮れた後は、居酒屋へ行って夕飯を食べた。家庭教師してる学生のお父さんに伊豆大島に行く、と行ったら明日葉の天ぷらが絶対に美味しいよ!と言われたので、明日葉の天ぷらを食べた。きっとただの葉っぱなんだろうけど、なんかびっくりするくらい美味しかった。客は私1人だったんだけど、寡黙なご主人だったので特に会話はなし。親子丼も食べた。美味しかった。

画像21

ご飯を食べたら、今夜の宿へ。BookTeaBedという『本』×『カフェ』×『泊まる』がコンセプトの施設で、最高の空間だった。寝るギリギリまで本を読んだり、その日泊まっていた他の観光客の人たちと話をしたりした。

画像22

画像23

この日一日の走行距離を計算したら、だいたい60kmくらいだった。めちゃくちゃ走ったなあ。

2日目

昨日とは打って変わって、朝から雨。1日ずれてたら何もできなかったと思う。本当にラッキーだった。

この日は特に何もせず、朝起きてカフェの朝食を食べ、お土産屋さんのおじさんと1時間くらいお喋りした。帰りの船は元町港ではなくまた岡田港発だったので、バスに乗って岡田港へ向かった。昨日はあんなに歩いたのに、バスだと一瞬だった。文明とはすごいなあ。

帰りはジェット船を予約していた。行きは6時間くらいかけて来たところを2時間弱で帰って来た。激しく揺れる乗り物が大好きなので、非常に楽しかった。くじらなど大型の動物にぶつかってしまった場合、大きく揺れることがあります、というアナウンスがあったので、クジラが可哀想と思いつつ、大きく揺れることを期待してしまった。クジラにはぶつからなかった。

昼過ぎに竹芝に戻って来て、そのまま駒場祭へ行った。凄い勢いで日常に戻って行った。いまカメラロールを見返したけれど、マジで2日目は一枚も写真撮ってなくてびっくりした。

伊豆大島は本当に素晴らしいところだった。
携帯電話が通信制限中だったこともあり、今どこにいるのか調べられなくてうろうろしていたら話しかけてくれたおばあさん、救世主かと思ったら同じく迷子になってた現地の人だったり、しかもそのおばあさんが若い頃住んでいたのが私と同じ最寄駅だったり、現地の人々との交流も楽しかった。
島の半分くらいはまだ回れていないし、三原山にも登れていないので、ぜひまた行きたい。2日間の休みさえあれば気軽にリュック1つで行けることが分かったのは大きな収穫だった。

そして今回のもう一つの収穫、ひとり旅って、めちゃくちゃ楽しい。

私は友達とか家族と行く旅行もすごく好きだけれど、ひとり旅がこんなに楽しいとは思っていなかった。
当然だけど、ひとり旅は全て自分の都合でなんでもできる。止まりたいタイミングで止まり、行きたいところに行き、やりたいことをやる。
誰かと分かち合う楽しさはないけれど、それ以上の楽しさがそこにはあった。

ひとり旅は、楽しい。
最後の一歩が踏み出せずにいる人がいたら、ぜひ一度やってみるといいと思う。

どう締めればいいのかわからなくなった。
伊豆大島、おすすめです。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?