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小6の英語教科書に目をとおしてみたら(6)

その5からの続きです。今回取り上げるのは Unit 6 。


家庭科ごっこの始まりです。この教科書、ほかの教科のネタを毎回混ぜ込んでくるのです。こうでもしないと教科書採択競争で勝ち残れないというところでしょうか。

以下は教師用の授業カリキュラムの年間スケジュール表から。「食材を通じて世界のつながりを考え、メニューを発表することができる」とか「食材を通じた世界のつながりや食べ物の栄養素などについて、簡単な語句や基本的な表現を用いて、聞いたり、伝え合ったり、話したり」できるかって、それは非常に達成困難かつアンリアリスティックな目標ではないかと愚考いたします東京書籍さま。

ページをめくっていきましょう。


「eat」の過去形「ate」が左ページに並んでいます。これはもっと前の単元でデビュー済なので、本単元の本当の狙いはおそらく前置詞についてなじんでもらうことにあるとみます。

The beef is from Australia. (この牛肉はオーストラリア産)
Beef is in the red group. (牛肉は赤のグループ)

「from」とか「in」とか。これらは中1冒頭で再登場を果たします。


いつものおけいこコーナー。

たぶん実際の授業では、この例文を読み上げさせて終わりというのが実態の気がします。

ちなみにこの教科書、1単元つまり1Unit に8コマ費やす作りなので、単純計算すると1ページで1コマ進めていくようにできていることになります。

家庭科ごっこは右ページでもそう。

「ほえあいずざぽーくふろむ?」「ざぽーくいずふろむカゴシマ」「はうまっちいずいっと?」

英会話ごっこに、家庭科ごっこと社会科ごっこが重なっているの。

各品のデータは次のページにこんな風に提示されています。これを使って「この豚肉はどこの産?」「この豚肉はカゴシマ産」「いくら?」「400円」と、いろいろ品を替えながら生徒たちに対話ごっこさせていく。

これは楽しそうですね。「ほえあじおくとぱすふろむ?」「じおくとぱすいすふろむもろっこ」「はうまっちいずいっと?」「いっつとぅーはんどれっどふぃふぃてぃーえいといぇん」とかね。

これは割引券? おくとぱす(タコ)が258円だからこれをつかうと208円になるわけね。

高校入試の思考型(自称)問題みたいですね。小6の子には少々難しい気がします。たとえば「octopus」を「おくとぱす」と読めてタコのことだとさっとわかる子、そんなにいない気がします。

この教科書には副教材としてこんなのがついていて、絵による辞書ということになっていますが、

これ辞書として使えないんですよ。巻末の索引を見ても、日本語準拠の並びになっているので、たとえば「octopus」ってなんやろなーと索引にあたってもわからないわけです。

「食材」の欄にあたってみると、絵を頼りして見つかるのだけど、タコって食材なのか生き物なのかどちらに分類されているのかわからないのでいちいち探さないといけないのがわずらわしいです。

つまりディクショナリーとしては欠陥品なのです。

文字より音声と絵を重視する「New Horizon」小学校篇の方針が、こういうところでマイナスになっている気がします。

このゲームはなかなか楽しそうでいいのですが「pork」とか「carrot」とかが読めないとそもそも参加できないのですよ。

生徒たちには語彙が豊かになってほしいと、こういう物品ゲームをやらせるのはわかるけれど、どうやって発音を子どもたちは調べるのでしょう。この教科書も副教材(例のけっかんディクショナリー)も、音声と絵を重視するあまり、そこのところがなおざりになっているのは大いなる欠陥だと感じます。


ああここで社会科ごっこと家庭科ごっこの二重攻撃ですか。語学やあらへんやん。

さらにこんな課題が課せられるの。「世界と自分のつながりを紹介しよう」だって。そんなん社会科の授業でやってください、日本語でやらせれば済むものをどうしてカタコト英語でやらせないといけないのでしょう。

Unit 6 の最終ページ。文法学習の予告編っぽい。中1でやるから今は感じをつかんでねってところでしょうか。 


その7へ続く

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