見出し画像

ジャンプ編集長は「ドラゴンボール」後の失速にどうして気づけなかったのか?

図書館から借りてきた『まんが編集術』は「ジャンプ」三代目編集長を務めた方によるジャンプ史語り。インタビュー本です。分厚いです。

彼はドクター・マシリトの凄腕ぶりを買っている一方で編集長にすえるには抵抗を感じていると、別の著作で吐露していました。それはいいとして「ドラゴンボール」連載終了によって「ジャンプ」の売り上げが50万部も下がってしまったことに、三か月気づかないでいた裏事情が語られています。

返本率が 1995年 には 97% でした。100冊出荷すれば売れ残りはわずか3冊という、信じがたい数字です。しかしこれには裏がありました。返品をやたらする店には「ジャンプ」をあまりたくさんは出荷してくれなくなるので、売れ残りがあっても店側がそれを返品しないで処分していて、それで編集部側が 97% という超好成績をうのみにしていたのです。

そういうわけで「ドラゴンボール」連載終了後の、本当の実売部数を編集部(ちなみに編集長は西村氏ではなく別の方)が把握したのは数か月後でした。50万部のダウンだとようやく気付いたのです。

著者いわく、編集部は世から思われているほど精緻に数字を把握しているわけじゃなかった、と。そういうのはマシリト博士が「ジャンプ」に返り咲いて編集長になってからのようですね。この本にそうあるのではなくて私の想像ですが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?