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フェルマー最終定理のすごさは伝わらないのに
数学の議論は、楽といえばラクです。「わかんないひとにはどうせわかんないんだから」という諦観が常に伴うので、話が通じなくても肩をすくめて ヤレヤレƪ(˘⌣˘)ʃ して終わりにできます。
音楽はそうはいかない。楽譜が読めない、理論が分からないひとでも、聴けばすぐわかるのだから。数学の数式や図はいくら睨んでもわからないひとにはわからないけれど、音楽は楽譜がわからなくても…
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演奏を聴けば「ああなるほどー」と耳でわかってしまう。
こういうところが数学との違いです。とある数学者いわく「音楽は感覚の数学であり、数学は理性の音楽である」(Music is the mathematics of sense, mathematics is the music of reason.) うーんパスカルの名言かなーと思って検索してみたらシルヴェスターでした。そんなことはいいとして、楽譜を一目見て頭のなかで音楽が鳴りだすなどということは、高度に訓練と経験を積んだ音楽家ならともかく、そうでないほとんどの方にはありえない現象です。
ちなみに私もそういう超能力は育んでおりませぬ。楽譜を見てすぐにその曲を弾くとか歌うとかの便利な能力も持ち合わせていません。音楽を楽しむのに、そういうスキルはいちいち問われないのです。
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しかし、何か優楽曲があって、誰もがそれに聴き入ってしまうのは、その曲にそういう魔力があって、それはけして魔法ではなく高度な数学によって組み立てられたものです。作曲者も演奏者もいちいち気に留めていないような、高度な数学。高度といっても中学入試の算数難問的な高度さですけどね。
そういうものをひとに説明していくのは、本当に難しい!ほとんどの方は「そんな理屈わかんないよ」「聴いてみていいと思ったのならそれでいいじゃん」「作ったひとのハートの表れだよ音楽なんて」とか文句を言ってきます。
面白がってくれることも無論あるのですが、それはたいてい、自分の大好きな曲をもっともらしく褒めてもらう快感に浸っているのです。そういう方にですね、「今の分析間違っているよ」と耳打ちしても、「ええやん、なんかわかったような気になれてるんやし」とそっぽを向かれるのがオチです。
愚にもつかない楽曲分析が「よくわかんないけどすごいわー」といわれてしまうなか、「たわけモノホンはこっちや!」と訴えるけれど私のか細い声はノイズにかき消されていく ――
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