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あの8月15日が、今年もやってくる

カリオストロ公国について前から気になっていました。

「偽札界のブラックホール」と言われる、見た目と違って闇の深い、小さな国です。アニメの話ですいうまでもなく。

「ブラックホール」はいうまでもなく物理学の用語です。かつては「重力の特異点」と呼ばれていました。水爆のシミュレーション用に軍事利用されていたコンピュータに、相対論の方程式を入れてみて計算させたら、わけのわからない特異点が消滅しないでずっと残ることが判明し、それに名前を付けようということで「ブラックホール」が使われるようになりました。

ネーミングがいいのでテレビドラマ「宇宙大作戦」にも登場。あの「2001年宇宙の旅」で描かれた光の通路も、ブラックホールのイメージがなんとなくします。


ということは「偽札界のブラックホール」の異名も、1960年代の後半に生じたものかなーとこじつけできそうです。頭の体操ですあまり真面目にとらないでいただきたいです。

あの国は、もともとは贋金作りの国でした。それが20世紀になって、世界恐慌の引き金ともなるくらい偽証書(絵コンテにあたると株式証書のニセモノを大量発行していたようです)を発行し、第二次大戦時には偽札に力を入れたとみます。

史実でもヒトラー時代のドイツが、英国ポンドの偽札を大量に発行し、ポンド札の全流通量の10%がドイツ製偽札に占められるという有様に、ポンドの価値が下落。ベルンハルト作戦と呼ばれています。

第二次大戦後、アメリカのドルを基軸通貨とするブレトン=ウッズ体制が回り続けました。1971年までの、およそ四半世紀間です。

ニクソン大統領は、宇宙開発(有人月着陸一番乗り争い)とベトナム戦争(第三次大戦の代理戦争)でアメリカ経済がぼろぼろになっていく様にお心を痛められて、8月15日つまり日本にとって敗戦の日ぴったりに「ドル札と金との交換を一時停止する」と宣言なさいました。

その2年後、第四次中東戦争があって、産油国が「イスラエルの肩を持つような国には石油売ったらん」宣言をして西側先進国がパニック。

これに対処するべくニクソンさんはサウジアラビアを訪れ、ドル決済での石油購入を交渉。その結果USドルが中東産油国に流れ込んで、そのUSドルがアメリカ市場に投資されるという循環が生じました。

いわゆるオイルマネー。

金兌換でなくてもUSドルは価値を保ち続けるわけです。世界各国の貨幣も(変動為替を介して)それに連動しました。

極論すれば金という物質に頼らず、数字のやり取りでマネーの価値は保たれる時代となったのです。

カリオストロ公国としては、偽札の大量生産を強化しても国を支えきれない時代に入りました。映画のなかでそういうやり取りありますね。「いいできではないな、このところ質が落ちていくばかりではないか」「もうしわけございません、しかし、今のような大量生産を続けていては…」


彼の結婚式に、世界各国からの要人たちがいますね。あれは当時の国際情勢の戯画です。国際警察本部でのやり取りもそう。金融論としてあのアニメを見ると、面白いです。

「ウォンまであるぜ!」 韓国の貨幣ですね。1979年公開当時はUSドルに対して固定相場制だったことから、韓国国外で大量に出回ることはまずなかったと思われます。それがどっさり地下工房にあるわけだから、おじさまルパンが声をあげるのもそういうことです。


発注者はおそらく北朝鮮と思われます警部。

ここから先は一気に時計の針を進めて2024年に。サウジアラビアにドラゴンボールのディズニーランドが作られるという報に、私もびっくりしたひとりでした。

石油がほかのエネルギーに世界ぐるみで移りつつある今、ほかのことで金を稼ぐ方向に舵をきったの先に、日本の人気アニメのテーマパークがあったというのは面白いです。

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