賢くなった気分

 難しい言葉を獲得すると妙に賢くなった気分になる。そして僕はあらゆる知識人だとか偉人だとか、あるいは僕が好きな学者達と背比べなんてしてしまうほどの阿呆である。
五年前の夏。僕は図書館で「虚栄心」という言葉を発見した。
[僕は普段、虚栄心だとかいうものの為に何かいやらしい事をしていうるのだな。そのいやらしさから好感度を失っているのかもしれない。よし、やめよう。]
なんて思った。
しかし、僕は後にいやらしくない、潔白な青年であることを宣伝する、なんら変わらないただの少年でしかなかった。故に僕は虚栄心に抱っこされたままなのである。以上のことを考えると、僕には僕にあった「スタイル」というものがあるのではと感じる。
 

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