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YAH Know / Chance The Rapper

そもそもHIPHOPをそんなにたくさん聴くわけではない俺は、近年のトラップ主流のHIPHOPにはさらに馴染めず、古いサンプリング主体のものだけはミュージックコンクレート的な視点で発見が多くあって、それはそれとしてよく聴いていた。

Chance The Rapperの「The Big Day」は、ものすごく流行ったこともあって一通りは聴いていて、かっこいいなあくらいのことを感じていた。とても偉そうだけどその程度で終わらせてしまっていた。

新曲の「YAH Know」をたまたま見つけて聴いてみて、Chance The Rapperの音楽的探究心に驚かされた。この曲はガーナのKing Promiseというシンガーをフィーチャーしたもので、この人のことは正直言ってぜんぜん知らなかったのだけど、ただアフリカのミュージシャンを連れてきただけではなく、現在進行形のアフリカの音楽ごと、相当強めにフィーチャーしている。

サンプリング主体で、しかも短いネタを繰り返し繰り返しループさせた、シンプルなビートに聴こえるけどぜんぜんそうじゃなくて、展開をものすごく感じさせるこうせいになっている。なにせこの曲はこのサブクス主流、猫も杓子も3分前後の曲を作る時代に6分もある。たぶんサンプルのループが脳に効いてくるまでに、最低でもこれくらいの時間がかかるのだと思う。

こういうところから音楽の流れは本当に変わったりする。しかもそれがアフリカの現在進行形の音楽を取り込んでとなると、ブラックミュージックの持つちょっとこわくなるくらいのエネルギーを感じざるを得ない。

こんなことができてしまう可能性をまだまだ孕んでいるのだから、俺自身がサンプリングミュージシャンにワクワクする理由が少しわかった気がする。

個人的には、やっぱりトラップよりもこっちの方がおもしろいと感じてしまうので、ぜひHIPHOPよ、進化を続けてください。おねがいします。

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