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教室の隅っこにいる子を「ヒーロー」に。TTT子どもプログラミング教室 白石七重さん・藤原勇輔さんインタビュー

2021年の学習指導要領の改定によって関心が高まっている、プログラミング教育。

そんな今注目のプログラミングを子どもたちに教える教室が、6年前から岡山にあることはご存じでしょうか?

プログラミングを通して、子どもたちの成長を日々見つめている、TTT子どもプログラミング教室の白石さん・藤原さんに伺ってきました。

プロフィール

白石七重さん (写真右)

レプタイル株式会社取締役副社長/共同創業者 岡山県津山市出身。広島の大学を卒業後、建築営業職、製造メーカーの新規事業立ち上げ、IT企業のマーケティング担当を経て、2013年にレプタイル株式会社を代表丸尾と共に創業。地域企業(主に岡山県)のマーケティングパートナーとしてクリエイティブ事業を行う一方、地域を元気にするサービスを次々と立ち上げている。TTTこどもパソコンプログラミング教室をはじめとした「この地域にあったらいいな!」を企画・実現していくことを得意とする。大学生と高専生の二人の息子を持ち、保護猫3匹(まめもち、きなこもち、みたらし)と暮らす。

藤原勇輔さん (写真左)

レプタイル株式会社教育事業部マネージャー 岡山県苫田郡鏡野町出身 香川県の大学を卒業後、およそ10年間岡山県内の公立小学校教諭として勤務する。2020年よりレプタイル株式会社に入社。津山市・岡山市・真庭市にあるTTTこどもパソコンプログラミング教室全体のマネジメント行いながら真庭校の教室長を兼任。子どもの「未来の選択肢を増やす」ために、可能性を信じ引き出すことをモットーとする。小学1年生の娘と2歳の息子の親としても、家庭内教育のあり方についても日々の体験を通して考えている。


岡山県初の子ども向けプログラミング教室


―本日はよろしくお願いします。まず、「TTTこどもパソコンプログラミング教室」について教えてください。

藤原(以下敬称略):TTTこどもパソコンプログラミング教室は、2016年に始まったこども向けのプログラミング教室です。現在、岡山県に4つの教室(岡山校・津山田町校・まちなかカレッジ校・真庭校)とオンラインコースを展開しています。全校あわせて、150名以上の生徒が現在在籍しております。1クラス10名程度のアットホームな雰囲気で、それぞれの子どもの個性に合わせながらレッスンをしています。


―子どもたちはレッスンでどんなことを学ぶのですか?

コースが複数に分かれており、コースごとに違った内容を学びます。

例えば、プログラミングキッズコースでは、主に基礎的なプログラミングを学びますが、クリエイティブキッズコースでは、プログラミングを通して実際にWebアプリを製作したり、ホームページを作成したりしています。

他にはロボットをプログラミングで動かすコース。オンラインクラスも展開していて、大阪からレッスンを受講してくれている子もいるんですよ。通学がしにくい子たちにもレッスンを受ける機会を提供しています。

年齢層も様々で、下は幼稚園年中から、上は高校生まで、異年齢の中でプログラミングを教えあったりしています。ひとりひとりがやりたいことを見つけて、それを私たちがサポートしていくスタイルで進めていますね。


―プログラミング教室を作ったきっかけはなんですか?

白石:私はいま大学生と高専生の息子が2人いるのですが、二人とも小学生のころからパソコンやipadを扱うのが得意だったんですね。でも、その当時、学校ではそういった彼らの才能や能力を発揮する場所がなかった。自己肯定感も低い状態でした。

なんとか、彼らが輝ける場所はないかな、と思っていました。岡山県には子供向けのパソコン教室やプログラミング教室はなかったんですよ。そういった教室が岡山にできるようになるまでは時間がかかるだろうと思っていたので、それなら自分たちで作ったらいい!と思って始めたのがきっかけでした。

―普段のレッスンのほかに、行事なども積極的に開催されていると伺いました。

そうですね。普段から、プログラミングで作った作品を発表する「発表会」などを行っています。春には桜が綺麗な公園で動画を撮って編集してみる、など都度イベントを作って子どもたちに参加してもらったり。長期休暇中は、普段できないことに積極的に取り組んでいますね。

この夏には3日間の「サマースクール」を。プログラミングだけではなく、ワークや絵画などの夏休みの宿題にもちゃんと取り組みました。保護者の方も、子どもたちを一定時間預けられる場所があること、宿題をやるように促してくれる場所があることはプラスと捉える方が多いんです。

宿題の後は、みんなでプログラミングを使って、みんなが楽しめるゲームを作って発表する会を開催しました。「他の人が楽しめるゲームを考える」というミッションを通して、子どもたちが他者の目線にたって考える力を養うことができるようになったように思います。


―教室を運営していくうえで、苦労している点、大変な点などはありますか?

山のようにあります!(笑)

でもやっぱり一番悩むのは、保護者の方と子どもたちのモチベーションやプログラミングに対しての考え方がすり合わないケースがあったりすることですね。

親子の中に入ってうまくコミュニケーションを取ろうとしていますが、気持ちのずれをどう合わせていくかは大きな課題だと思っていますね。


消費者から生産者へ


―今年から学校でもプログラミング教育がスタートしましたが、プログラミングが子どもたちにもたらす利点にはどんなものがあるとお考えですか?

藤原:子どもたちが「消費者」から「生産者」になりやすくなる、という点ですね。自分の子どもを見ていても思うんですが、子どもにiPadをただ与えても、YouTubeを見る、ゲームをする、などのインプットの手段としてしか使う機会がないんです。それってもったいないなと感じます。

でも実際プログラミングをやっているところを子どもに見せると、「それ私もできるかも、やってみたい」と思い始めて、なにかを作ろうとするきっかけを与えられる。与えられたものをただただ使うだけじゃなくて、何かを生み出す側に変わる瞬間がプログラミングの中にはあるんです。そこは重要だと思いますね。

―TTTこどもパソコンプログラミング教室が独自で大切にされていることはなんでしょうか?

藤原:TTTでは、「考える・創造する・伝える」の3つの段階を大切にしています。これらの段階を通して、単なるプログラミングの技術だけではなく、人間として大きくなっていってほしい、という思いがあります。

津山校は経営している会社「レプタイル」の2階に位置しているので、会社で働く大人達とも交流することができます。津山という場所に、田舎で閉鎖的なイメージを持っている子どもたちに、大人が楽しそうに働いている姿を見てもらえるよう、会社全体で意識しています。

レッスンには、津山高専生にアルバイトで来てもらっています。彼らとの交流を通して、子どもたちに手が届く「ちょっと先の未来」を見てもらえるよう工夫していますね。高専生や会社で働く大人との関わり合いを通して、未来に希望を持ってほしいなと考えているので、こういった関わり合いはとても大切にしています。



多くの子どもたちにプログラミングを


―これからの「TTTこどもパソコンプログラミング教室」の展望を教えてください。

藤原:やはり、TTTの教室をより増やしていきたいな、と考えています。この9月から真庭校を新たに作ったのも、「イベントには参加できるけど、教室には通わせられないな」という保護者の方の意見があったからでした。オンラインコースもありますが、やはり対面を希望する方が多いのも事実です。コロナ禍で対面の良さを体感されている方が多いんだなと思います。教室の数を少しずつ増やして、より多くの方に通っていただけるようにしたいなと思います。

SDGsの一つとして、「質の高い教育をみんなに」というものがあります。育った場所によって、受けられる教育の質の格差が起こることを防ぎたい。オンライン、オフラインの両方の良さを活かしながら、TTTとしても、このゴールに向かって頑張っていきたいと考えています。

また、岡山県内の学校教育との連携の場をもっと拡充させていきたいですね。もっと多くの学校の授業に出張授業として出向いて、プログラミングをよく知らない子どもたちに、その面白さを伝えたいです。

白石:TTTの卒業生が、将来わたしたちの会社「レプタイル」に入って、一緒に働いてくれることも夢見ています。生徒だった子が、津山高専に入ってアルバイトをしてくれているんですが、卒業してキャリア選択をするときに、私たちの会社が選択肢になってくれるのも嬉しいですね。


取材を終えて

TTTこどもパソコンプログラミング教室は、プログラミングそのものだけを学ぶ場所ではなく、人と人との繋がりを深く感じられる、子どもたちの居場所なんだなと強く感じました。

また、幼稚園生から高校生までの異年齢が同じ、「プログラミング」を通して交流できる場所があるというのはとても素敵なことだと思います。

これからの未来を担う子どもたちに、創造する喜びを通して大きくなってもらいたい。

TTTのみなさんのさらなる挑戦は続きます。


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この記事は、過去のインタビューを『無花果シロ』としてnoteに移転したものです。現在と状況等変わっている場合もあるかもしれませんが、その場合はご了承ください。

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