昨年訪れた広島についてと、
今年の平和記念式典などの備忘録です。長くなった。
まずは知ることから。
原爆ドームのそばを流れる元安川の対岸で、水音を聴きながらそれを眺めるのは不思議な心地でした。
原爆ドーム周辺には当時を語り継ぐ石碑や看板がたくさんあり、そこかしこでツアーガイドさんの解説が聞こえてきたりもします。
被爆者は水を求めて川へ飛び込んだそうなので、きっとここでも。
私はチェコアニメやチェコの絵本が好きなので、原爆ドームがチェコの建築家によって設計されたのだというのも印象に残りました。
当たり前だけれど、もともとは「原爆ドーム」ではない、市政の人々が普通に利用する建物だった。
もしこうした建物が撤去されてしまったら、戦争の記憶それ自体がすぐに忘れられ、ねじまげられてしまったろうと思います。
「現物がそこに在り続ける」ことには大きな意味がある。
広島平和記念資料館
常設展示を順路通りに進めば、本館にてさまざまな「モノ」が展示され、悲惨な記憶の一端に触れることができます。
原爆で崩れた建物の一部、ひしゃげた三輪車などの日用品、亡くなった方の遺品とプロフィール、手紙、被爆者の記憶に焼きついた風景の肉筆画、
生き残った人々のその後の人生の記録…などなど。
↑昨今は現地に行かなくてもこんな仮想体験ができるんですね…
とはいえ現地での体験に勝るものはないし、帰宅後に振り返るのに良い動画だなと思いました。
街のジオラマに映像を投射して、原爆投下ビフォーアフターを表現している所もわかりやすかったです。
これらは個人的な記録として撮影するのはOK(書籍やwebに掲載するには事前の申請が必要)。
しかし、一通り巡った後に「ペース配分を間違えたな…」と思いました。
個人的には東館からの「核兵器の危険性」「広島の歩み」のエリアに時間を割いた方がよかったと思いました。
(本館での展示は濃くて長いので、東館から先は疲労であまりじっくり閲覧できなかった…)
『火垂るの墓』『風が吹くとき』などのアニメーション映画、漫画『はだしのゲン』など…幼い頃から「戦争・原爆の悲惨さ」を語る作品に触れる機会はありましたが、
「そもそもどういう経緯で原爆が落とされたのか」「核兵器、水素爆弾の開発はどう進められたのか」「核兵器廃絶実現に向けた世界の動きとは」ということを語る「物語」(歴史の授業で習う「情報」とはまた別枠で)に自然に触れる機会はなかったなと思うので…
「被爆国=被害者」としての印象ばかりが強く、このあたりの情報がまだまだ咀嚼できていないので、機会があればまた訪れたいなと。
核爆弾や被曝した建物の模型、図説、動画も豊富でわかりやすかったです。
パネルに書かれた文章を読み進めるだけでなく、自分の指で液晶画面にタッチして情報を読み進めたほうが印象に残りやすいなとも。
↑のサイトにもわかりやすい図説などあり。
広島平和記念資料館で見た動画では
世界で最も核弾頭数が多かった年は1986年、とありました。
ソ連(現・ロシア)が45,000発、アメリカが23,317発、そのほかイギリス、フランス、中国、イスラエルも含めておよそ7万発。
自分が生まれる2年前…と考えるとわりと最近に感じて、空恐ろしい。
2022年にはロシア5,977発、アメリカ5,428発…でかなり減ったけども。
2023年のデータはこちらに↓
「"戦後"に終わりはない」って本当だなぁ…と。
2023年、
広島平和記念公園とパールハーバーの姉妹協定
広島平和記念式典
平和記念式典、広島(6日)ではイスラエルを招待。
長崎(9日)では招待せず。
G7のうち、日本を除くアメリカ、イギリス、フランス、カナダ、ドイツ、イタリアとEUの大使や代理大使が直筆のサイン付きで、長崎市の鈴木史朗市長あてに書簡(7月19日付)を送付。
長崎平和宣言
8月9日の長崎平和記念式典から1日遅れの8月10日、
ページ下部の「賛同」ボタンをクリックしました。
↑2024年の平和記念式典について、
この動画がわかりやすくまとまってると思います。
『はだしのゲン』について
平和教育の教材に『はだしのゲン』を採用した広島市の教育委員会。
2023年、それを差し替えることになった件について。
『はだしのゲン』が教科書から削除される経緯の不透明さ、学校図書館から本書を撤去しようという圧力にはかなりの不信感があるのですが
一方で漫画編集者 荻野謙太郎 氏の指摘には「なるほど…」とも思わされました。
また文芸評論家 藤田直哉 氏の評も。
実は私も小学生の時、『はだしのゲン』を少し読んだけど絵柄のくどさや内容の重さに怖気付き、読破はできませんでした。
(その「少し」で、戦争の悲惨さや、「お上」に盲目的に従うことの怖さもしっかり記憶に焼き付いたのでやはり凄い作品だと思います)
また、広島出身の人の「まだ幼い頃、心の準備ができていないのに凄惨な画像・映像を見せつけられてトラウマになり、平和活動全般へ忌避感を抱くようになってしまった」という話を聞いたこともあります。
表現は凶器にもなりうるのだよなと、あらためて思いました。
とはいえ。
「うさぎ島」こと 大久野島
こちらは2019年に訪れた「うさぎ島」。
ネットで「うさぎがいっぱいの観光スポット」的な記事を読み、軽い気持ちで行ってみたら「毒ガス資料館」なんてのがあって驚いた記憶。
韓国人原爆犠牲者慰霊碑
映画『この世界の片隅に』での
「海の向こうから来たお米…大豆…そんなもんでできとるんじゃなあ、うちは」というセリフ。初見では意味がわからなかったのですが
ネットで「原作では「暴力で従えとったいう事か。じゃけえ暴力に屈するいう事かね。それがこの国の正体かね」というセリフである」と知り、調べ、ああそういうこと…と。
海外の視点
ロシアによるウクライナ侵攻から、海外から広島へ訪れる人が増えたと聞きます。私が訪れた時も、外国人観光客だろう人が多いと感じました。
↑2005年放送
「原爆を開発、投下に同行、映像撮影したアグニュー博士と被爆者の対話の一部始終」。
この頃の広島平和記念資料館の展示は、今よりおどろおどろしいかんじ…
公式noteには動画にはない発言の文字起こしも↓
原爆投下を正当化は絶対にしてはいけないと思うけど、それはそれとしてパールハーバーについてもちゃんと知らねばなぁとも思う。
あとキューバ危機とか。知らないことばかり。
2024年3月に映画『オッペンハイマー』が日本公開されて、見てみたい気持ちはあったけどたぶん(心身ともにしんどくて)無理だな…と、パンフだけ購入して見送りました。そのうち配信で見れたらいいな…
また、2019年公開のこの記事。8月になると毎年思い出します。
↓
次に広島へ行く機会があればホロコースト記念館にも行ってみたいなと思っています。
「アンネのバラ園」があり、再現された「アンネの部屋」や日記のレプリカもあるらしい。
それに長崎も。
日程の都合などで足を運ぶことが叶いませんでしたが、今年の平和記念式典のアレソレを経て、行きたいなと思いました。いつか。