上野0.30(30秒)

私の毎朝乗る電車は、上野駅で乗り換えだ。


ホームの隅っこ、パッとしないふつーのサラリーマン(お父さんくらいの歳かな)が、大きく膨らんだスーパーの袋を持って、私と歳の変わらないであろう女の子に渡す。

今日はその中にインスタント麺やらが入ってることがわかった。

この女の子は金髪に染めたボサボサ頭で、栃木の方からの電車を待っている。

娘は父からの食材をもらって、一言二言話す。

親父は会社へ、娘はどこへ行くのやら。

前日、母親が買い物をし「お父さん明日はこれを持っててね!」と家を出た娘の為に用意するのだろう。

父親は会社に行く前に家族の役を果たすのだろう。

娘は無愛想ながらも少しだけ父親と話をする。

どんな娘でも親からしたら、かわいいものなのだろう。

都会の生活に想いをはせて、暮らしてみるものの楽じゃないことが、インスタント麺の味でわかるんじゃないかな。

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