私が結婚した理由
実家の居心地の良さを、作ってくれるから。理由は、これしかない。
私はばあちゃんによく面倒を見られていた、ばあちゃん子だ。
ばあさんは、孫の私をよく褒めてくれて、甘やかしてくれた。大学を実家から通い、卒業後一人暮らしをスタートさせた。
一人暮らしを始めたのも、ばあちゃんのせいだ。本当は、実家でずっと暮らしていきたかった。けど、そんなばあちゃんも歳を取る。歳をとったばあちゃんなのに、ばあちゃんになっても、歳を取って弱っていく。死ぬまで、歳を取ることを知った。
ばあちゃんの老いは、私にとって脅威以外の何者でも無かった。だって、ばあちゃんが老いた先には何がある?死だ。
ばあちゃんは、私より先に死ぬ可能性が高い。私がばあちゃんを失うデカさったらない。暮らすこともできなければ、心まで荒む。そんな想像は容易だった。だから、家を出てせめて、ばあちゃんのお葬式が終わった後でも、生きていける余裕を持ちたかった。
そして、ばあちゃんが生きているうちに結婚式ができた。夫に求めるもの、
『ばあちゃんが与えてくれる安心感』
と、
『私の応援団』としての要素である。
それに、海外旅行に行くことに躊躇されないことだ。ばあちゃんは、『世界を見ること』を良いことだし、立派なことだと思っている。だから、夫には、奔放に海外に飛んで行っても待っていてもらいたい。全く都合の良い私のわがままだ。
夫が私のわがままに、ついてきてくれるうちは大いに甘えたい。
そこは、割り切っている。
「もう、知らん」と言われるまで、お付き合い願いたい。
夫に求めるもの、格好良さでも、筋肉マッチョでもない。
ずっと私を孫のように、甘やかしてくれる『諦めの心』である。
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