見出し画像

【在宅避難】ホームサバイバルトライアルをやってみた【防災士】

ホームサバイバルトライアルとは

防災士の研修を受けた時、実際にやってみたいと思っていたことの一つが「ホームサバイバルトライアル」。
ホームサバイバルトライアルとは、直訳すれば「自宅で生き残る試み」。
災害時に備えて在宅避難の予行演習をしてみましょうということです。
これは災害に備えた疑似体験だけではなく、生き残るために必要なものに気付いたり、備えている備蓄に過不足がないかの確認も行うことができます。
気づきも多いので、ぜひ皆さんも試してみてください。

災害時に頼れるのは自分たち

例えば阪神淡路大震災など大きな災害が起きた時、災害に遭った人々が自衛隊や消防士の方々に保護される様子がニュースで報じられたりします。
しかし、現実は報道のイメージとちょっと異なります。

例えば、阪神淡路大震災の時、生き埋めや閉じ込められた人が誰に助けられたかと言うと、なんと97%の人が自力や家族、隣人や友人によって救出されています。
一方で救助隊に助けられたケースはわずか1.7%。実際は国が助けられるのはほんのわずかなんです。

つまり、災害時には「国が助けてくれる」ではなく、「自助・共助」が基本。自分たちの身は自分たちで守るというのが、教訓です。
災害時に備えて「3日分の水と食料」を用意することが推奨されていますが、これもつまりは「3日間は自分たちで生き延びてくれ」ということ。
肝に銘じておかねばなりません。

ホームサバイバルのルール

ホームサバイバルトライアルのルールは簡単。災害時に電気・水道・ガスなどライフラインが止まったと想定して過ごすのみ。「水食糧は3日間分」と言われているので、3日間の体験ができると理想だと思うのですが、子どもたちは学校があったり、友達と遊ぶのも大事。まずは土日を利用した1泊2日でやってみようと、金曜日の20時から日曜日の8時まで、36時間のチャレンジをしてみることにしました。

想定は以下の通り
金曜日の夜の20時に震度6強の地震が発生。
このあたりのハザードアップを考え、外には逃げず自宅待機。
電気、水道、ガスは止まっているため使用不可。

ホームサバイバルトライアルスタート

子どもたちも積極的に参加

うっかり使っちゃった、を防ぐため家全体のブレーカーを落とすことも考えましたが、冷蔵庫の問題もあるので、キッチンだけは電源を残したまま、その他のブレーカーは落としました。

地震がおきたら机の下に隠れるは正解?

机の下がベストとは限りません。

まるで常識のように伝わるこの行動ですが、必ずしも「机の下に隠れる」は正解ではありません。小学校の教室というシチュエーションではベストな選択となっても、自宅や、机の強度、置かれている環境によってベストな選択は異なります。
震度6強の揺れの場合、机ごと飛ばされる可能性も高いです。机の下に隠れる場合は、机の脚をしっかり持つなどの対応も必要。
また、机がある場所が安全な場所であれば良いですが、そうでない場合は机の下に隠れるより、安全なエリアに避難するほうが重要です。いざという時の為に自宅内でどこが安全かを確認しておく必要がありますね。

我が家でも揺れが収まった後、どこで過ごすのがもっとも安全が、ランタンを片手に家庭内調査を行い、また点呼など暗い状態で家族が揃っているかの確認を行いました。

家庭内の安全な場所はどこ?

クローゼットは大きな棚があり、倒れてくる可能性があり、危険度大。
子ども部屋はおもちゃなどが散乱していて足の踏み場が無い。
リビングの窓際はガラスの破損が怖く、仕事部屋はやはり大きな棚やデスクトップPC、その他にもちょっとしたものが倒れてきたり飛んできたりしそうです。
そんなことを家族で確認しながら、安全な場所を探しました。
そしてこの時に「あの棚が危ない」「この扉は開けておかないと」など気付くことがあります。この気付きに対処して震災に備えることがホームサバイバルトライアルから得られることの一つです。

ちなみに我が家では最も安全だと思える場所は寝室でした。
緊急避難警報が鳴り、地震のまでいくらか余裕があるならばダイニングテーブルの下ではなく、寝室に逃げ込もうと家族で確認をしました。
寝室に移動する時間がなければダイニングテーブルの下に隠れる、ただしその場合はテーブルの脚をしっかり持って抑えながらという確認もしました。

枕元に「スリッパ」をアップデート

買い換えた後の上履きも避難グッズとして

阪神・淡路大震災の教訓から、「枕元にスリッパを置く」ことは防災対策の一つとされています。
被災時には、転倒した家具や落下物、破損したガラス等で負傷する危険性があります。裸足で歩くことは避けたいので、スリッパを普段から使っておいたり、特に子どもは家では裸足でいることが多いと思うので、家で使える上履きみたいなものを用意しておくと良いと思います。

足元の安全を確保できなければ避難はもちろん水や食料の持ち運びにも影響をきたします。戸建てで1階が倒壊した場合、屋外へ避難するにも玄関からは出られず、普段履いている靴を使えないことも想定されます。
その点からも枕元にスリッパの教訓は大事です。

しかし、スリッパは一時的な利用には効果的ですが、足を保護するには薄さや形状に不安もあります。底が薄いスリッパでは鋭利な破損物を防ぐことができません。かかとを覆う形状ではないため、脱げやすい点も挙げられます。
そこで「枕元にスリッパ」をアップデートして「避難グッズに履きなれた靴」。

履きなれていない靴は靴擦れなどの原因にもなります。普段から履きなれている靴や、買い替えの際にこれまで履いていた靴を防災用にKEEPしておくなどの対策が有効です。子どもの上履きも履き替えのタイミングでこれまで使っていたものを捨てずにしばらく取っておくなど。スリッパよりは履きなれていると思います。
また、動きやすい靴としてはスニーカーなどの運動靴が挙げられますが、そのほとんどが紐で結ぶタイプです。紐靴は緊急時に紐がほどけたり、履くときに時間がかかることも考えらえますので、さっと履けるような靴だとより安心できます。

水の備えはありますか?

容量6リットルのウォータージャグ

安全な場所、安全な状態を確保できれば、次は生活です。
生活に必要なもののひとつが水ですが、防災情報では大人一人で1日水2.5リットル程度、余裕を持って3リットル程度が目安とされています。
我が家は小学生2人と大人2人の4人家族。いったいどの程度の水が必要となるのかこの機会に確認しておきたいと思っていました。

ちなみに我が家が36時間で使った水の量は約6リットル。今回は洗濯や食器洗いにはほぼ水を使っていないので、6リットルの用途はほぼ飲食用。24時間なら4リットルの計算です。
3月という季節だったこともあり、これが厚い夏や寒い冬なら必要な量も変わるのでしょう。
今回のトライアル経験で、2リットルのミネラルウォーターを1ケース、12リットルはローリングストックで切らさないようにすることにしました。

避難生活で役立つキャンプ体験

卓上コンロは神アイテム

卓上ガスコンロは神アイテム

電気、ガスが止まった状態では料理をするのも大変ですが、そんな時にはキャンプ経験やキャンプグッズが役に立ちます。
ガスコンロがあれば火も使えるし、充電式のランタンがあればライトになります。ステンレスポットがあれば沸かしたお湯を保温した状態でキープでき、コーヒーやスープを飲むこともできます。
1日ガス1本の計算であれば3本をローリングストックしておきたいところ。

水が限られているときにも便利なくっつかないホイル
お皿にラップ

くっつかない調理用のホイルがあれば、フライパンを汚さずに使えますし、お皿もラップをすれば、ラップの交換でお皿をきれいな状態で使うことができ、水が限られている災害時にはとても頼りになるアイテムです。
これも是非ローリングストックのリストに入れて、普段から3本程度持っておきたい。

停電中、懐中電灯やランタンは必需品

非日常な夜

夜は家族全員で1111の字になって寝ました。停電中の夜の家は真っ暗。
トイレに行っても何も見えません。寝室も真っ暗。
そんな時に充電式のランタンや明かりがあると助かります。
もちろんスマホのライト機能でもOKですが、スマホは数少ない連絡手段であり、情報収集手段でもあるので、できるだけ電池を温存したい。
我が家にはランタン2つと長男が読書灯代わりに使っている充電式ライトがあったので、長男は就寝前の20分程度、いつもと変わらず読書をすることもできました。
災害時にいつもと同じことができるというのは気持ちを保つことにも役立ちます。
ただ、我が家には小さいモバイルバッテリーが2つしかなかったため、電気についてあまり余裕が持てませんでした。
停電時に充電できるバッテリーがあれば、もっと心に余裕が持てますね。

噂の「水ラーメン」を食す

水で作るインスタント麺。かなりバズった警視庁のTwitterアカウントによるtweetをご存じでしょうか?

水でカップ麺が作れるというものですが、あくまでも食べられるというレベルで、麺は硬めだったり、「非常食として我慢して食べましょう」ということだと思っていました。
災害時には贅沢は言えないし、ホームサバイバルトライアルでこの水ラーメンを経験しておけば、いざという時にもショックを軽減できるだろうと、比較的ディフェンシブな理由でやってみた結果。

息子はお湯よりも水のほうがウマイと。

家族全員大絶賛!
このときは水を入れてから40分以上経ってしまっていましたが、水だからか麺がのびていることもなく、味もしっかり染みていて、うまい!!
「水で作っても食べられます」ではなく、「また水で作りたい!」と思うほどうまい!!!
実際に小5の長男は水ラーメンをリピートしていました。
長男は猫舌だし、フーフーしなくても食べられるのも良かった様子。
特別に有名なカップ麺でもなく、大手量販店のPBのコスト重視のカップ麺でも、めちゃくちゃうまかった。きっとどのメーカーのカップ麺も水でほとんど問題なく作れると思います。
非常時以外でも、いつでも食べたいおいしさです。
水ラーメン、是非試していただきたい。
次は袋麺でも試してみよう。

非常持ち出し袋をチェック

地震発生時(シミュレーション上の)は夜だったため、翌日明るくなってから食料や非常用の持ち出し袋の中身を確認することにしました。
最低3日間を生き残るためには、限られた食料や電池などの資源をむやみやたらに消費するわけにはいきません。
その為にも備えの内容をチェックすることはとても重要。

防災士監修のセットはいろいろ揃っていて便利

非常食の消費期限大丈夫ですか?

我が家の非常用持ち出し袋の中には水やおかゆなどの食料もありましたが、賞味期限が大幅に過ぎていました。(なんと6年前に!)

2017年もののおかゆ

賞味期限は過ぎていますが、密封されたパウチ状態の為空気に触れたりもしていません。消費期限というか、食べることはできるのではないだろうか?と思い、せっかくの機会なのでおそるおそる食べてみました。父だけで。
なんか捨てるものもったいないし。

食感や味、においに特に変わったところはなく、おいしゅうございました。食後1週間以上たった今でも体調に変化はありません!

賞味期限の切れた防災食を食べることは安全上お勧めできませんが、賞味期限が切れる前に消化して、新たに補充するようなローリングストックで回すのが管理する上でも理想かと思います。
いつの間にか期限が切れていた…、非常食あるあるです。

保存水にも賞味期限があります。

水も賞味期限は大幅に切れていました

水も5年保存水でしたが、賞味期限はそれぞれ缶が2018年、ペットボトルは2017年でした。今が2023年なので5~6年過ぎています。とほほ。
とはいえ、水だし、密封状態だし、まぁ使えるだろうと父一人で飲んでみましたが、こちらも今のところ、特に体調変化はありません。

このほかにも包帯や絆創膏、災害時のトイレキット、充電式ライトなど様々なものが入っていましたが、実際に使えるのかチェックしておかないといざという時に役に立たない可能性もあります。
ホームサバイバルトライアルは備品チェックの機会としても有効なんです。

あってよかったモノ

1日~2日なら我慢できることも、避難生活が長くなればストレスに感じるものも多くなるはずです。
停電中はテレビも見れません。ルーターの電源が入らなければWi-Fiも使えなくなります。日が入る時間も限られているため、本が読める時間もそう多くありません。
ホームサバイバルトライアルをやってみることで、持っていてよかったもの、あれば良かったと思うものなど、気付きがあります。

お風呂の水

今回は前もってホームサバイバルトライアルの日程を決めていたので、少しずるいですがお風呂の水を貯めておきました。
手洗いやトイレを流すのに使いましたが、お風呂に水があればトイレ用に2~3日は持つと思います。
普段のカビや湿気の問題もあるので運用に課題はありますが、お風呂に水が張ってなかったらトイレを流すたびに水が必要となり、結構大変です。
お風呂に水、にはかなり助かりました。

ホウキ・チリトリ

掃除機はつかえなくても掃除ができます

ホウキやチリトリがあると掃除機が使えなくても、床に散らばったものを片付けたり、掃き掃除をすることができます。
実際に大地震があった時にはガラスなどが飛散することも考えらえます。
ホウキがあると安心です。

ポケットラジオ

ソニーのポケットラジオは感度良好

停電になるとテレビは使えません。そんな時に役立つのがポケットラジオ。
東日本大震災の時も地震発生と同時に東北地方の広い範囲が停電し、テレビが見られなくなりました。あの時に多くの人が情報を得たのはラジオだったそうです。
例えばNHKでは緊急時に地上波、BS、ラジオなどで同じ内容を放送するルールがあります。そのためテレビが見られなくてもテレビを見ている人と同じ情報をラジオから得ることができます。
また、社会とのつながりが絶たれた状態でラジオから聞こえる声は、いつも以上に安心感を与えてくれます。
充電式で使えて、電池でも使えるポケットラジオは、非常持ち出し袋に必ず入れておきたいアイテムです。

我が家にはLFP時代にニッポン放送でもお勧めしていたソニーのポケットラジオがあり、おそらく12年ぶりくらいに電源を入れてみましたが問題なく聞けました。
AM・FM・TVの3バンドでイヤホンも内蔵、充電もできて乾電池でも使えて手のひらサイズで頼りになるラジオです。

充電器、非常用電源

スマホがあればラジオが無くても…と思いますが、大災害時にインターネット環境がどうなるかはまだ前例がなく予想がつきません。
回線がパンク状態になるのか、問題が無い状態を維持できるのか、事前の確認ができずスマホに頼り切るのは少々危険です。
とはいえ、スマホはインターネットはもちろん、時計や計算、録音やメモなど様々な用途があり、欠かすことができないアイテムです。

でも、スマホは充電が切れた後、まったく役に立たなくなってしまいます。
スマホを常時使えるようにするには非常用の電源や充電池がないといけません。
我が家にも2台充電器はありましたがどちらもスマホを1-2回充電できる程度。3日間で2台のスマホを使うには十分とは言えず、ソーラー重電や手回し充電ができる充電器があれば、この不安を解消できますね。

ボードゲームやトランプなど

ウノ、トランプ、モノポリー、将棋など

我が家にはトランプ、ウノ、モノポリー、ルービックキューブ、将棋、ジェンガなどのアナログゲームがあり、これらのゲームには助けられました。
サバイバルの時間に楽しさをプラスすることができます。
トランプは7並べやババ抜き、スピードや神経衰弱、大貧民など多くのゲームができ、小学生も大人も楽しめます。
昭和のローカルルールと令和のローカルルールの共有もできたりして、ホームサバイバルトライアルが楽しい思い出にもなります。

神経衰弱は父、大貧民は娘、スピードは母、ババ抜きは息子など、均等に勝敗がばらけたのも良かったです。

タブレット

オフラインで使えるソフトがあれば〇

家族内対抗戦は楽しいですが、勝った負けたで少々疲れる場合もあります。
タブレットもWi-Fiは使えない状態なのですが、オフラインで遊べるオセロが入っていてこれが意外に空気を良くしてくれました。
家族vsコンピューターの図式で、家族が一丸になれます。
また、Amazonプライムはダウンロードもできるので、日ごろから映画などを何本かダウンロードしておけば、ネットが繋がらない環境でも楽しむことができます。
万が一に備えてコンテンツのダウンロードもしておくというのはお勧めの対策です。

36時間のホームサバイバルを振り返って

あくまでも疑似体験ではありますが、全く経験していなより1度でも経験しておけばいざという時に少しは心にゆとりが持てると思っています。
ご飯はあの方法で炊けばいいなとか、インスタントラーメン水で作ると美味しいんだよなとか。
トイレが流せないときはバケツで水を流せば良いとか、子どもたちも知識が増える機会になったし、大人たちには備蓄の不足や買い替えが必要なものに気付くことができました。
各季節に体験することでより対応力が高まると思います。
次は真夏か、真冬か、極端な季節にもやってみたいと思いました。
寝苦しい夜、汗、食べ物の管理…夏なんてどうなっちゃうんだろう。

ホームサバイバル・トライアル、是非皆さまも企画してみてください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?