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シアター・ホームステイinアトリエ銘苅べ―ス③

滞在三日目。

午前中には劇場スペースをお借りして、空間をひとりで使って鍛えることができました。(むちゃくちゃ贅沢なことです。)

当山さんと一緒にやるはずだったベーシック。

昨年、ここ銘苅ベースでも「『スズキ・トレーニング・メソッド』を考える演劇キャンプ2021」が開かれたり、当山さん自身も宮﨑のこふく劇場さんの現場で俳優として数か月にわたってトレーニングをされたりした経験があるとのことで、スズキ・メソッドは全国各地で、世代をこえていろんな演劇人にとっての「肉体の共通言語」になっているのだなということを感じました。

筋トレアパレルを着て鍛える演劇人。

そのあと洗濯を済ませたり、国際通りにサプリメントの買い出しに行ったりして午後にはつぼや演劇場かさねさんへと伺い、代表の西平寿久さん(劇団リバースザワールド)とお会いしました。

壺屋演劇場かさね 外観。

お訪ねした時西平さんたちは週末の作品の稽古の真っ最中でした。

西平さんは南の糸満市(沖縄の南で、漁師さんの町)の出身で、おじさんたちが舞台上でお酒を飲んで騒ぐような演劇をつくったりもされるとのことでした(観てみたい…!)。

中央左が西平さん!

たとえば当山さんの劇艶おとな団さんは「仏壇の前で親戚全員でお酒を飲んでいると、仏壇から死んだおじいが出てくる、みたいなお芝居を主にやっているよ」といったお話もされていましたが、沖縄の演劇だと基本的に「親から孫まで」の三世代にわたって面白がってもらえるようにお芝居をつくられることが多いらしく、なんなら西平さんは糸満でのその全方位への知名度を元に市議選に駆り出されて出馬したこともあるのだそう(あと一歩で当選しかけたとのこと)。

もともと民謡酒場だったという素敵なスペース。

西平さんは元々東京と名古屋で活動された後、沖縄へ戻ってこられたとのことで、現在はご自身の劇団のほかに演劇スクールも手掛け、沖縄の映像の仕事を手掛けることも多いのだそう。

 西平さんの運営される演劇スクールのポスター。

もともとは民謡酒場だった場所を劇場として利用されていて、演劇以外にもたとえば沖縄吉本の方が会場の見学に来たりされるなど、たくさんの人が集まり様々な催しものをできるような空間として育てていく方針で、今週末の公演も予約は超満員とのことでした。

西平さんに聞いたところによると、「銘苅ベースは沖縄でちゃんと演劇をやりたい人にとってありがたい場所。沖縄で演劇について聞きたいことがあったら、当山さんに聞かないと、かえって遠回りになってしまう。」とおっしゃるくらい沖縄の演劇界では当山さん、銘苅ベースはそれくらい大きな存在感を放っているのだそうでした。

すこし前まで、劇場といえば会場費も高額な大きな公共施設しかなかった沖縄にあって、銘苅ベースさんはもちろんのこと、この日訪れたつぼや演劇場かさねさん、わが町の小劇場さんなどのアーティストにとっての費用面での負担が少ない、比較的小さな拠点がたくさん増えてきたことで、若い人にとっては選択肢も増え、演劇をつくることのできる素地がだんだんと整って、創作の幅も広がってきているのだそうです。

(つぼや演劇場かさねさんは、チケット収入の20%が劇場利用料となるとのことでした。「たとえ入場者が一人でも」)

そもそも今回私が派遣してもらっているこの「全国小劇場ネットワーク」が生れる契機となったのが当山さん達によるこのアトリエ銘苅ベースの立ち上げで、2017年の第一回全国小劇場ネットワーク会議 in 沖縄の際には、大阪の某新聞社の記者をして「万が一今火事が起きてここにいる人たちが亡くなってしまったら、日本の演劇界はおしまいですよ」と言わしめたほどの、錚々たるメンツがアトリエ銘苅ベースに集まった、といったお話も伺ったりしました。

なんというか、今回アトリエ銘苅ベースに来てよかったなと思いました。

夜には再び『9人の迷える沖縄人』の稽古を拝見しました。

軽快に演出される当山さん。


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