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キャリアの引き際

サッカーの小野選手の引退。

あれだけの技術と、どこか遊び心あるサッカーが見られないと思うと、本当に残念。。とはいえ、いつかは来る日。

最後の公式戦をテレビで見ましたが、味方だけでなく、相手チームも一列になって花道をつくる。リスペクトにあふれる光景に感動でした。

契約更新できず、意図せず引退に追い込まれる選手が多い中、自ら引き際を決められる、というのは、幸せなんでしょうね。

サッカー選手に限らず、経営者にも、引き際にはドラマが多い気がします。

その苦悩は本人しかわからないと思いますが、記憶に残っていた経営者の引き際をライトにまとめてみました。

トヨタ 豊田章男社長


ちょっと前ですが、トヨタ社長の引退は印象的。

トヨタの変革を進めるため
という理由でしたが、「過去最高の売上」など、成果をバリバリ出していのに?・・と外野から思うタイミングでした。

さらに、自身のことを「クルマ屋」だからこそ「クルマ屋を超えられない」という限界を吐露。

わたし自身は、どこまでいってもクルマ屋です。
クルマ屋だからこそ、トヨタの変革を進めることができたと思います。
しかし、クルマ屋を超えられない。それがわたしの限界でもあると思います。

「クルマ屋」という言葉には、プライドを感じます。
ただ、それでは、これからの未来はつくれない。モビリティ・カンパニーにフルモデルチェンジするためには、新しい社長が必要、と。

これだけの実績を持つ経営者が、自分の限界を語り、後進にスッとバトンを渡す。スマートですね。

スタートトゥデイ 前澤社長

ZOZOの社長の退任も衝撃的でした。

いち消費者が、ZOZOTOWNを見ると、ぐいぐい成長している勢いを感じましたが、本人は冷静に未来を見ていたようです。

圧倒的な成長」を目指すときに何がベストか。
その答えが、ヤフーとの提携だったんですね。

もちろん自力で進める方法もあったと思いますが、成長速度を早めるに、他社と組むことであり、そして自分が残らない方法

自分が創業者として立ち上げた会社であれば、自身はなかなか離れにくいもの。そんな経営者も多い中で、自分が離れるという決断ができる潔さを感じます。

「決めた。自分の持ち株をヤフー社にだったら売ってもいい。ZOZOの未来を考えてのことだ。自力でやる方法もなくはないが、さらなる圧倒的な成長を目指すのであれば、タイミングも提携相手も申し分ない。ここで決断しなければ後悔するかもしれない。野生的な直感を信じよう。今だ。今しかない。」

ちなみに、前澤社長のnote記事に、辞任した理由がまとめられています。臨場感もあって、おススメ。

ジャパネット 高田社長

最後に、ちょっと古いですが、ジャパネットの高田社長。

引退のきっかけは、若い社員たちが発案した企画だという。
若手の企画に対し、自身が猛反対した企画が大当たり。本人は赤字覚悟をしていたものが、まさかの大成功になり、ショックだったようです。

これまでの自身の決断に自信があったからこそ、「私の確信を揺るがした」と語っています。

少し尊大に聞こえるかもしれませんが、それまでの私は、自分の決断は100%正しいと確信してやってきました。トップに迷いがあると経営はうまくいきません。しかし、チャレンジデーは私の確信を揺るがすことになりました。100%だった確信が、20~30%は減って70~80%になってしまいました。若い人の違った意見のほうが、結果を生み出す原動力になることもあると思ったのです。

一方で、社員の攻めの気持ち、社長に反対されてもあきらめない熱意と粘りをうれしく思ったようです。

「企業は創業期、成長期、安定期それぞれで、組織のあり方もリーダーシップも変わっていかなければ、100年続く企業にはなれない」との思いも大きったんでしょうね。


最後に

従業員の多くは定年があっても、経営者に定年はない。
サラリーマン社長でなければ、社長の引き際は自分が決めること。
ただ、一度、引いてもまた復活登板したり。そのタイミングは本当に難しいんでしょうね。

中小企業支援の現場ではときに、事業の承継の話を聞く場面がありますが、とてもセンシティブ。

それは目の前の経営者の引き際の話でもあり、いつもピリッとした緊張を感じながら、聞かせてもらいます。
自分にとって、この話題は、いつになっても慣れることはなさそうです。

おわり