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専門性のあるキャリア

もうすぐ4月。
多くの職場で新入社員が入ってきます。

「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい」(31.6%)

新入社員に「将来、会社で担いたい役割」をたずねたときに「専門性」が最多の回答となる調査もあるようです。

他には
・組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(23.5%)
・特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい(21.3%)
など。

感覚的ですが「専門性の追求」は、今に始まったことでもない。

思い出すと、20年以上前、入社したときの上司からも「専門性を身につけたほうがいい」「T字型人材を目指せ」とのアドバイスを受けた記憶が・・

社会人になると強く意識される「専門性」というキラーワード。
気になったので、ちょっと考えてみました。

専門性のある人

専門性を追求する人として、思い浮かべる一人が
「なかやまきんに君」

お笑いタレント?ですが、「筋肉」のプロフェッショナルのイメージが強い。

本人のプロフィールをみると、アメリカに筋肉留学。「運動生理学・解剖学・栄養学」を学び、今では筋肉系You Tuberとして、筋トレや健康をテーマに親しみやすさ全開で教えてくれます。

筋肉ギャグがすべって、まわりから何を言われようと、ひたすら「筋肉」にこだわり、追求し続ける。

筋肉という専門性を軸に、ボディビル選手権大会の優勝や主演ドラマ「筋トレサラリーマン 中山筋太郎」、さらにはオリジナルなプロティンの販売まで幅広いビジネスにつながっているのでは、と思います。

ブレずに深堀りし続ける姿勢にリスペクトです。

「専門性」とは

さりげなく使うこの「専門性」という言葉。

「ある分野の深い知識やスキル」といった意味合いで使うことが多いですが、国分峰樹氏の著書「替えがきない人材になるための専門性の身につけ方」では、専門性をよりシビアに定義しています

専門性とは、すでに存在している「専門知識のインプット」(知っているかどうか?)ではなく「新たな専門知識のアウトプット」(知的創造ができるかどうか?)である。

ポイントは、ただ専門知識を「知っている」だけでなく、それが専門知識のアウトプットにつながらなければ「専門性」とは呼べない、というもの。

「専門知識の消費者ではなく、専門知識の生産者になるべし」という意見はなかなか重たい。

だからこそ、新しい専門知識を生むためには、「勉強」ではなく、自ら問いをたてる「研究」が必要だという。

当然ながら、何かの知識を得て資格を取って終わるものでもない。
変化がある限り、専門性の追求は、ある意味「終わりなき道」を歩み続けることと言えそうです。
「専門性を持つ」とは楽ではないですね。

専門性をつくる

そう考えると、会社という組織で、仕事に関連した知識を得ることを繰り返していても、浅い専門知識しか身につかない。

組織内の人事異動や転職をしながら、意識的に専門性を磨き続ける必要がありそうです。

「自分の専門性は何か」
自分のまわりを見ても若手社員に限らず、悩む人も多い。

そんななか、池上彰氏の自分なりの「専門性をつくる」姿勢は参考になります。

池上さんは、NHKの記者で、ゆくゆくはNHKの解説委員を目指していたが、ある解説委員長から「池上には専門性はない。あらゆることを解説しているから、専門分野がないだろう。だから、解説委員はなれない」と言われたそうです。

そこで池上さんは「自分の専門性は政治や国際情勢といったジャンルではなく、難しいことをわかりやすくする という点にあるのではないか」
と考え、自らの専門性を見つけ、磨いたという。

「たしかに私には専門がないけれど、『わかりにくいニュースをわかりやすくする』という、他の誰もやったことのない『専門性』があるのではないか」

ビジネスの世界は、ルールや条件は誰かがつくったもの。
そう考えれば、自分なりに差別化された専門性のフィールドをつくりだすのも一つですね。


最後に

人材を企業の資本として捉える「人的資本経営」のトレンドはありますが、企業が従業員一人ひとりの「専門性」の面倒まで見てくれることは今後もなさそうです。

今後のロボットやAIの普及を考えると、働く人材は「労働力(時間)を提供するか」か「創造力などの付加価値(成果)を提供するか」の2つにより明確に分かれてくることも考えられます。

結局は「自分がどう働きたいか」次第かもしれませんが、自分は「専門性を追求する道」を選びたいです。

そうなると、終わりなき研究の道が続きます。
どうせ終わりなき道を進むなら、自分がおもしろいと感じられる道を歩きたいものです。

さて、今年の新人さんたちは
「将来、会社でどのような役割を担いたいですか?」


おわり。