見出し画像

愛猫 逃走 9日目

9月29日 火曜日

朝4時半起床

起きてすぐ、現地へ向かう。

5時頃 到着。

星がとてもきれいだ。

真っ暗な中、カメラと餌を回収。

今回は3箇所に分けた餌全部、完食されていた。

誰もいない静けさに安心したのだろう。

時間が少しあったので、屋上に登ってみる。

誰もいない澄んだ空気。

みやこが無事であることを祈る。


みやこ の気持ちはどうなんだろう・・・

戻りたくないのか、自由でいたいのか、

本人の気持ちはどうなんだろう?

ずっと家にいるより大冒険をしていたいんじゃないだろうか・・・


しかし、自分勝手かもしれないが、

みやこに戻って欲しいと切に願っている自分がいる。


綺麗に瞬いていた星が少しずつ薄くなってくる。

山際の方から少しずつ空が明るんできた。

こんなに感動したのはいつだっただろうか。

とても神聖な気持ちになった。


6時半。家に帰ってコーヒーをのみながら、

データを確認していく。

10分ごとに分かれていて、ドキドキしながら何が映るのか待つ。

22時、23時、24時。

全く何の変化もなし。

1時、2時、3時・・・ 何も映らない。

なぜ・・・

えっ!? まさか朝来ているのか?

4時・・・いない・・・

5時10分。

私たちが到着するほんの少し前。

何かが来た!


・・・・

・・・いたちだった・・・


みやこじゃなかった。

一気に落胆する。


なんだったのか・・・

作戦を練り直す。


午後15時半。

昨日の目撃情報を確認すべく、住宅街へ向かう。

向かっている途中、2回目の目撃情報が入った。

「 今、お宅の猫ちゃんがいました! 」

「 絶対に間違いありません! 」

ここまで言い切って下さった言葉に希望の光が見える。

電話の方は、

仕事で出かける時だったらしく、慌てていたのがわかる。

そんな中、電話をくださり、本当に感謝しかない。


住宅街にはいたので、すぐその場所へいく。

電話の方の表札を探す。

目印はログハウス。

ログハウスが住宅街にあることも幸運の一つである。

そこは事務所らしく、人の出入りは少ないらしい。

猫にとってはありがたい場所だ。


とりあえず、近所の方へ再度聞き込みを始める。

一軒目 留守。

二軒目 老婦人がいたので話をしていると、

同じ区域に住んでいる娘さんが近くの別宅から出てきた。

丁度、先ほど電話で連絡を下さった方の隣人だった。

なんという偶然。

話を聞いているとログハウスの人も昨日連絡を下さった方の息子さんとか。

この3軒の並びにみやこ が出没していたんだ・・・

周りには犬を飼ってる人、動物が好きじゃない人、

いろんな人がいるだろうに、たまたまとはいえ、

動物好きな親切な方の場所へ迷い込んだのは不幸中の幸いだった。


その老夫婦の娘さんは、猫を20年も飼っていたらしく、

近年亡くされたとのこと。

飼っている方に気持ちをわかってもらうのに時間はかからなかった。

事情を話していると、協力してくださると言ってくださった。

とても心強く、泣きたかった。


ほぼ食べられてないだろうみやこの衰弱した様子を想像すると、

捕まえる以前に餌を食べて欲しかった。

その一心で、餌場にしていただくことをお願いした。

気持ちよく承諾してくださった娘さん。

本当にありがたかった。

そして、その後再度、みやこが逃げた場所へ向かう。


展望台付近では人も少なく、餌もない。

みやこの住宅街から山道へのルートをさがしてみるが、

なかなか決定付けるものがなかった。

昨日のカメラに映っていたイタチのことを考えると、

この辺には他の動物もいそうだ。


ある程度探し、車で帰宅しようとした時、

急に電話が鳴った。

「 お宅の猫がうちにいます。」

えっ!?

丁度、餌で釣ろうとして慌てている最中のような電話だった。

すぐに名前と場所を聞き、車で住宅街へ戻る。


先ほどの娘さんのお向かいさんだった。

気の良さそうな老夫婦のご自宅だった。

みやこは、その方のご自宅の敷地内に現れて、

到着時にはすでに姿を消していた。


到着後すぐ、先程の向かいの住宅に住んでいる娘さんが出てきてくれた。

丁度休みだったらしく、みやこを探すために、

軽装に着替えて近所を探索してくださっていたようだ。

その姿を見て、人情の温かさに心が熱くなる。


その老夫婦のご自宅敷地内を案内され、

裏の庭、向かいのご近所の老紳士にも確認する。

すると、一本向こうの通りの住宅街には

違う猫が出入りしていることがわかった。


猫には縄張りがある。


みやこは小さい体。

しかも、歯があまりないので、喧嘩などできない。

すぐに負けてしまうだろう。

だから頭を使うしかない。

そうやって生きてきたのだろう・・・


・・・ということは、

住宅街には道が3本ある。

3本ある道の真ん中は他の猫の縄張りがある。

3本目の通りはわからないが、真ん中を通るにはリスクがある。

そしてみやこが今出現しているのは1本目の通り。


みやこはしばらくここにいるしかないだろう。

色んな話を聞いてるうちに、少しずつ絡まっていた糸が見えてきた。


あれから、ラインを交換させていただいた娘さんから

連絡があり、後一歩で捕まえられそうになったこと、

にぼしを食べてくれたこと、

家に置いてあったフードを食べていたこと、

窓越しに見ると逃げるのでそっと見てくれたこと、

フードを食べてどこかへ行ってしまったこと、

色んな情報を教えてくれた。


ログハウスの息子さんにも連絡を取り、

餌場とカメラの設置を相談したところ、

快く承諾してくださった。

忙しい中親切にしてくださり、本当に感謝しかない。


この9日間、いろんなことがあったが、

人情に溢れた人たちに励まされた。

つらいこと、困難な環境でも光を見つけることがあった。

ほんの少しの光でも、

毎日続けることで、少しずつ明るくなる。


悩んでいる自分にとって

意味ある体験となったことは間違いない。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?