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愛猫 逃走 3日目

9月23日 水曜日

朝4時半に起きる。

みやこに会いたい。その気持ちだけで夜人間の自分も変われる。

朝5時前に住宅街へ行ってみる。

閑静な住宅だが、まだ日が出ていない暗い時間、

恐ろしいくらい静まり返っている。

駐車場もなく、バス停らしき場所へ止める。

歩くたびに防犯の外灯がつく。

誰か見てたらかなりの不審者だ。

しかし、後戻りもできず、山沿いの住宅を一軒一軒歩きながら、

猫アプリの小さい音量で探ってみる。

まったく反応なし。

携帯の灯りで多少みえるが、何もいなさそう。


しかたなく、現地の逃走した場所へ移動する。

真っ暗な道を登っていくが、

全く見えないので懐中電灯をたよりにする。

やっと展望台頂上へ着き、周辺を探す。

名前を呼んだり、猫アプリを使ったりして探してみた。

誰もいない山の中。声が響くだけ。

むなしい・・・

ふと上を見ると展望台頂上に見知らぬおじさんが・・・

昨日のおじさんとは違う人。

夜明けを見に来たのか、服装を見る限り・・・すててこ風。

きっと近所の人だろう。

この辺のおじさんはアクティブな人が多そうだ。


真っ暗な空が少しずつ薄明るくなってくる。

紺から青へ、青からオレンジへ。

早起きのすばらしさを知った。

みやこは見つからないが、気持ちが少し洗われる。

探している途中、犬連れで猫に餌をあげてる人がいた。

ボランティアの人らしい。

声をかけて事情をはなし、チラシを渡す。

親身になって話を聞いてくれた。

同じペットを愛する人は心強い。

知り合いのボランティアさんにも伝えてくれると言われ、

再度チラシを余分に渡す。


逃走した場所の反対側のテニスコート付近も歩いてみた。

気になっていた、山の中を少し覗いてみる。

藪ばかりで入れるのか・・・

気持ちは萎えるが、やるしかない。

深い森に続く前の藪の中を覗いてみる。

一旦入ると木に赤い布で印がつけてあった。

蜘蛛の巣もおそろしいくらい大きい。

無防備だが、その布をたよりに登ってみる。

意外と上にいける。・・・が、

やはり怖くなり、作戦をねってからリベンジすることにした。


一旦家に帰って、

休日に連絡できなかった、動物愛護センターと

事故で亡くなってしまう子たちを引き取る会社を調べ連絡する。

昼には交番に行って紛失届もだした。

東平尾公園は大きい公園のため、

統括する管理会社へ連絡し、山の中へ入れるか許可をもらうことに。

が、勝手に入ってもいいらしい・・・

こんなことなら最初の日にすればよかったと後悔。

しかし、山の中へ入ることは容易ではなかった。

みやこが逃走した先の山の中は、

みたところ、荒れてて草がぼーぼー、藪ばかりでみえない、

急な坂で怪我する可能性あるなど、いろんなマイナス要素がある。

また、蜘蛛、蛇、すずめ蜂、その他の生命体、

いろんなことに覚悟を決める必要がある。

が、すでに自分の中で覚悟は決まっていた。

もう選択肢がない。

”みやこの気持ちにならなければならない”その一心で、

山の中へ入り、どっちに行くか方向性を確認する必要があった。


防護服を買いに近くのワークマンへ。

ネットを見ると、すずめ蜂の性質上、白が安全とのこと。

白がなくて、薄いベージュのウォータープルーフの薄手のパーカー、

ごつい手袋、長靴を買う。

黒や濃いめの色が多い中、薄い色を探すのは意外と難しかった。

が、命には変えられない。

頭に薄ベージュのタオルを巻き、パーカーでなるべく黒い部分を隠し、

いざ現地へ。


幸いなことに、平日ということもあり、

人がほとんどいなかったので恥ずかしさは消えた。

コロナで仕事量が減ってたことを初めて感謝した。

なんとか藪を掻き分け、

恐怖心を払い退け、中へ入る。

フェンス越しに山の全貌がすこしずつ見える。

写真をとるとき蚊が素手によってくるので、撮るのが困難だった。


ん?


藪の中、ちゃんと道?らしきものがあった。

どおりで、みやこが戻らないはず。

腐葉土で足場はままならないが、なんとか探索できる状況だ。

金網がはりめぐっている方向はいかないはず。

道は二手にわかれていた。

①住宅街に抜ける道。

②山を下っていく道。

下っていくと、今朝行った、テニスコート近くへ出る道だろうと思われる。

直線距離は100mほどだが、上り下りがきついから30分以上はかかるし、

無事につくかもわからない。


行きやすいのは住宅街。

みやこはもともと住宅地で人に慣れてる猫だった。

ただ、匂いで地域猫の存在には気づいているはずだ。

こんなとき、猫の縄張り争いに入っていくんだろうか?

犬しか飼ったことがなかった自分には到底見当もつかない。


まずは、難しそうなコース、山を下ってみた。

腐葉土でぬかるんでるところは気をつけなければならない。

手、足、腰、いろんな体勢になりながら下ってみる。

さすがにここはどーなんだろ?と思いながら、

猫ならなんとかなるかもしれないという気持ちで下ってみる。

途中かなりきつくなってきたので、いくつかの道の可能性はおいておき、

とりあえず、住宅街方面へでてみることに。

その途中にみやこが好きだったまぐろのジャーキーを道標に置いてみる。


②のルートとは違い①のルートはかなりスムーズだった。

住宅街がすぐみえた。

怪しいものだと思われないだろうか・・・

かなりまよったが、ある住宅の畑に続く道があったので、

出てみることにした。

丁度、昨日会えなかった住宅のおじさんが何かをしていた。

すみません・・・声をかけてみる。


幸い、昨日ポストに投函した猫のちらしをみてくれていた。

みやこらしい猫がいたという情報をもらう。

ものすごくテンションが上がる。

他にも色々教えてくれた。

朝4時に誰かが餌をあげてること。

近所に空き家があり、そこに猫がたむろってること。

猫の集会?があること。

その情報をもとに、恥ずかしい格好ではあったが、

住宅地を再度歩いて、空き家を探してみる。


昨日歩いた方向と反対方向に、確かに空き家があった。

が、・・・どこにも猫がいる様子が見えない。

真昼間から不法侵入するわけにもいかず、

その場を立ち去るしかなかった。

そして、山の中は直線で10分だった元の場所へ戻るため、

住宅街を遠回りして、40分以上かけて再度展望台がある頂上へ帰る。


体力的にも、精神的にもきつさがつきまとう。

・・・が、みやこのことばかり考える。

どこにいるのか、何をしてるのか、生きてるのか、

息途絶えてるのか、喧嘩で怪我をしてないか・・・

考えすぎると暗いトンネルに入るからやめよう。


そういえば、山の中で探してる最中に足にバッタがとまっていた。

気づかずに畑にいたおじさんがとってくれた。

バッタはスピリチュアル的にいい兆しらしい。

信じるか信じないかは自分次第。

前向きに信じてみよう。




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