波のカナタ 高2_7

晶 小田哲
夜遅くに晶の携帯に小田哲から連絡がくる。
「家に知らない男がいて、入れない。中からチェーンかけられた」
コンビニにいる小田哲のところに、晶は自転車に乗っていった。
晶が、コンビニの駐輪場に自転車をとめる。小田哲が店から出てくる。
「どしたの?」
「母ちゃんが、男連れ込んで。__いつものことなんだけど」ヘビーだな。

「バイト代あるからさ。一緒にホテル泊まんナイ? ホテル代、俺が出すし。……行ったことないからさ。心細くって……ついてきてよ」え。何コレ? なに、そんなにしょんぼりしてんの? いつも尊大俺様じゃん? ……なんか笑っちゃいそうなんですけど??

晶は、笑いを堪えている。
「ホテルってラブホ?」
「んー。この時間じゃそうなるな」
「うち、親が厳しいし。ムリだな」
「そっか」小田哲が、トボトボと歩く。

晶は、小田 哲を追いかけた。
「ちょい待ち。どーすんの」晶は、小田哲のブレザーの下のパーカーを引っ張る。
「ん。その辺でおねーちゃんでもナンパ?」えー? ……。なんかイヤ。
「あー。もうワかった。うちくる?」父親は単身赴任でいない。母親がダメと言ったとしても最悪窓から。
「え。いーの?」
「分かんないけど、一応母親に聞いてみる。お前、大人しくしてろよ? トイレフロ以外は、俺の部屋から一歩も出んな。あと、俺の言うことは、絶対だかんな!」
「アリガトー! 晶。アイしてる!」小田哲が、晶に抱きつく。
「そーゆーのイラんから!」小田哲が、晶の頬にチュッとする。晶は、ほっぺを手の甲で拭う。
「きちゃナイ」
「あ。ごめん。コンビニで下着と歯ブラシ買ってくる」いや、冗談だよ。
「メシは?」
「バイト先で食って来た」
「そ」なんかターミナル駅のビルの創作料理の店とか言ってた。高校は事情がない限りは、原則バイト禁止。だから、高校から離れた駅。剣道部に席はあるみたいだけど。
二人でコンビニに入る。
「晶、なんか買ってく? 奢ってやるべ」
「んー。じゃ、米10キロ」
「あー。ハイハイ」
「紅茶」
「いーよォ。ゴムとか買ってく?」箱の前を通る。
「追い出すよ?」

小田哲が、声を落とす。
「ちょっとだけ。晶のヤなことしないから!」
「……」晶、箱を見る。ガン見する。ドキドキしてくる。
「どしたの?」
「ダメだめ!!」晶は自分に言い聞かせている。俺には、柚子と功くんが!! 誘惑してくんな! アホー!!
これは罠だ。コイツはちょっとだけとか言って。
「ゴメーン。全部しちゃったねー」とか!?

コワー。
__つーか、お前、彼女はどした!!!!?
彼女さん! コイツの首根っこ捕まえて離さないでくれ!マジで頼むから
©️石川 直生 2021.

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佐々木 功です。え。ありがとう。晶ー!なんか挨拶だって。晶です。え? えっと。え。柚子です。お金は大事だよ〜♪お気持ちだけで。