波のカナタ 1

 小学4年生  佐々木 功  晶と出会う

  佐々木 功(ささき こう)  小学4年生。男子。身長141cm。BMI標準。あっさりした顔。4月に、クラス替えしたとき、はじめましてのクラスの子に、友達のなんとかくんに似ていると、よく言われる。サッカークラブ。

 両親を、事故で亡くした。今日から、遠い親戚の家で暮らす。1回も会ったことは、ない。訳の分からないまま。頷くだけだった。本当は、あれもイヤ。これもイヤ。お母さんだったら、全部イヤだって言えたのに。いつも、ワガママ一杯言って、俺に振り回されてたっけ。ずっと、ずっと泣いていた。

 隣の家のおばちゃんの息子さんに、遠い親戚の家まで車で送ってもらう。
 古くて、小さな奥に細長い家。狭い庭とも言えない通路には、草や訳の分からないツタが、びっしりと生えている。ビニール袋に入ったゴミのようなものが、あちこちに散乱していた。

 佐々木功の胸に不安が、過ぎる。元隣の家のお兄さんが「忘れ物ない?」と、功に聞いた。
「はい」こんなところイヤだ。家に帰りたい。前の学校に戻りたい。1人にしないで。イヤだ。イヤだ。
「あ、これ、母さんから。親戚の人に渡せってさ」お兄さんは、功に菓子折を渡した。
「ありがとうございます」
「元気でな」お兄さんは、功の頭に手を置いた。帰らないで。こんなところ、イヤなんだってば。
 お兄さんは、自動車に乗ると行ってしまった。功は、ただただずっと、その後ろ姿を見送っていた。

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佐々木 功です。え。ありがとう。晶ー!なんか挨拶だって。晶です。え? えっと。え。柚子です。お金は大事だよ〜♪お気持ちだけで。