波のカナタ 高1_9

三学期 柚子
3学期。川瀬 柚子は、学年主任と教頭先生に呼び出される。波の高校宛のパソコンのメールを確認するように言われる。
内容は次のようなものだった。

波の高校一年生の美術の先生、川瀬 柚子は男子生徒との不適切な関係が疑われる。特定の男子と親密すぎる。辞めさせろ。
画像付きである。ホテル前を歩く柚子と若い男の後ろ姿。
学年主任が言う。
「何か言うことは、ある?」しっかりした年配の男の先生。
「これは、男友達と居酒屋で飲んでた帰りです。ホテルに入ってもいないし。男友達は、私と同い年です」
教頭先生が頷く。
「そうですか。まあ、川瀬先生を信じてましたよ。__ただ、こんなものが送られてくるだけでも、ね。分かりますか」こんな怪文書がくるほど、誰かに妬まれていることが__問題になる?
「……ハイ」本当はわからない。わかるはずない。自分ならこんなことはしないから。
「残念ながら、次年度は継続出来なくなってしまった」
「……」柚子は、胸に黒い霧がぐるぐると渦巻くのを感じた。息苦しくなる。ちゃんと仕事はしている。なのに、いろいろ言われる。自分は、女だから優しそうだから扱いやすそうだから、弱いから甘く見られる。非正規なのに、それとは関係なく高度なことを求められる。
晶くんには、言えない。特定の男子生徒? 誰のこと。晶くんとは、他の子よりも距離をとっている。考えても仕方ない。もう決まってしまったことだ。キミのそばにいられれば。__ただそれだけでよかったのに。

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佐々木 功です。え。ありがとう。晶ー!なんか挨拶だって。晶です。え? えっと。え。柚子です。お金は大事だよ〜♪お気持ちだけで。