波のカナタ 高2_5

晶 功 3
 晶は、功くんに本音を洩らす。
「ちょっとな。高校デビュー躓いたな。キャラ変更アリかな。急に地をだしたら、皆引かねえかな?」
「大丈夫だよ。今ちょっと。イヤ、まあまあ? 感じワルイから」
「お前な。まあ、マイナスからならハードル低いかーって? 挨拶してしーんとかなったら、どうしよ。ビビるわ」
「じゃ、俺が皆におっはよーって言うから、うしろでニコってして挨拶すれば? 無視されたとしても、俺のせいってコトでダメージ半減」
「えー。おまえ、あいも変わらず優しーな。あと、そのコミュ力マジ尊敬、リスペクトしかない。なあ、また友達とかしてくれる?」あー。夢みたい。功くんがとなりにいる。
「え。とっくに友達じゃん」……そっか。そうだよな。お前ってそうゆうヤツだよな。だから、キミのこと。キミのとなりにいたくなるのかな。
「それなのに晶ときたら、高一んとき俺のことガン無視したよね」
「え。んー。ごめん。だって急に功きゅん♡ とかできないし。周りのヤツらにヘンに思われるじゃん。ホントはあいさつしてくれて、すっげー嬉しかったし」好きだから、意識してるだけなんだけど。そんなの伝わるわけない。
「もう。素直が一番だよ」

佐々木功、少し沈黙する。ちょっと下を向く。
「__あのね。晶。小学校んとき、ホントゴメン。__晶のこと、ずっと気になってた」
晶の瞳から涙が零れた。
「……功。俺。めちゃ……泣いたよ」
「泣かないでよー。ホントにごめんね」佐々木功が、晶のことをぎゅっと抱きしめる。功も涙している。

「お前まで泣くことないじゃん」
「あ。うん。これ癖」ええ? 感動したのに。俺の心返せ?
「中学の部活で毎日泣いてたし」ああそう。こっちは感動のご対面かと。ああ、そうですか。
「あ、いいかげん部活行かないと」
「ヤッベー。怒られる。またね、功くん」
「モキュ!」

功 あいかわらずだね。晶。やさしくて、おっちょこちょいで不器用で。
どうして俺のコト責めないの。俺、晶の前から黙っていなくなったのに。ずっと会って謝りたかったよ。
キミはきっともう忘れちゃったと思うけど。
俺は、忘れてないよ。キミのやさしさ。キミの言葉。
初めて会った日に、仲良くしてなって言ってくれたコト。
ずっと会いたかったんだよ。楽しくて、あたたかなキミに。
佐々木功、涙をタオルで拭く。
「やっと……会えた」

©️ 石川 直生 2020.

脚本家柚子「ねえねえ。ここで終わりで良くない?」
主演 晶「俺も思った!」
佐々木 功「なんか俺主演って聞いてたのに出番少なくね?」確かに。
晶、功を流す。
「ま、青春ってことで。どうなるかもうちょい流されよう~」
「モキュ」

一学期 テスト期間 晶 功 4
定期テストの一週間前から部活が休みになる。
晶は、佐々木功に一緒に勉強しようと誘われる。
功の家に誘ってくれて二人で向かう。功は自転車を押す。晶は歩く。
「ねえ、晶ってさ、数学できる?」
「いや。そんなでもない。計算だけ。小学校んときの塾のテキストが役立ったな」
「理系でしょ。数学と化学教えてー」佐々木功は、国公立文系。
「んー。教えられるかな? 一緒に勉強はいいけど。俺、全科目似たり寄ったりなんだよな。けど、社会苦手かも。覚えること多過ぎん?」
「晶、何取った?」
「え。理系は地理必須だろ。(波の高校の場合) あと、公民は倫理政経。おもしろくもなんともない」
「こっちは日本史、地理、倫理政経。負担でしかナイ。政経はノー勉。あと中間か期末かどっちかボッロボロ。歴史なんてどんどん増えてくんだから古代とかやめりゃいいのに」
「どっか減らしてくんねーとな。まともにやってたら、頭パンクするか自由時間ゼロになんな」

住宅街に入る。細い道で入り組んでいる。
「功はどこ受けんの?」
「まだ決めてナイ」
「決まったら教えてよ。同じとこ受けたいなー」
「え。俺文系で晶理系だし。厳しくね?」
「里親が文系ダメってさー。俺、べつに数学得意でもないし、理科もパッとしないのに」
「どして?」
「なんか就職に直結しないとかなんとか。高い金払うんだから、ちゃんと勉強しろって。もー、考え方が古い。いーなー。功は。お気楽そうで」
「モキュ!」モンチュウ、となりの晶のスクールバックをグーパンチする。

「ごめん、ごめん。なつかしー。モンチュウ? お前、好きだったな」
「今も好きー。映画観に行かない?」
「行く行く。え。それってデートのお誘い? 二人っきり?」晶のテンションが勝手に上がる。
「え。誰か誘ってもいいけど。声掛けよっか」晶は慌てて遮る。
「あー、いいいい! 二人で行こ。襲ったりしないから! プラトニックだから!」おっと。心の声、出てもーた。
「もう。何そのちょいちょいBLみたいなキャラ。なんかのドラマの役?」
ちげーわ。本当に。……ん? BLなのかコレ。コレがそうなのか? え。俺って功くんのこと。__好きだけど。抱きしめたいけど。これがBLなの?

普通じゃね? 全くふつうのレンアイじゃね?
もっとさ。なんつーか。動物園でいうと、パンダ的な。なんか特別な感情かと。いや、全く自然じゃね?
これってBLなの? __今まで気付かんかったー。
そうやったんかー。イヤ、これからは気をつけないと。功にその気がなかったら、完全にセクハラ発言?
「カワイイね」くらいイイよね。え。女子ならアウトなの? ええー。
……めんどくせぇ。男だし関係ないだろ。そうだそーだ。どうせ俺の好感度なんてマイナスだし。功にもまあまあ感じ悪いって言われちゃったし。
傷つくなー。まァ、その通りなんだけど。泣。好きでこうなったんじゃねえっての!
おし! これからは180度キャラ転換で行くわ。功のこと、スマイルで落としてみせる!
見てろよ、功! 俺が本気出したらな。
__イヤ。全く自信ねえな。コイツふつーに女子とも仲いいしな。美少女とどうなってんのか、良く知らないし、知りたくもナイけど。もしダメになったとしても。他にも結構功のコト狙ってる女いんじゃね?
→とりあえず、功に近付く女阻止作戦で行くか。放課後、昼休みぴったりマークすんだろ。で、絶対女と二人きりにしないように。功が女子と話してたら、必ず割り込もう♡ __ワルいヤツw

©️ 石川 直生 2020.

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佐々木 功です。え。ありがとう。晶ー!なんか挨拶だって。晶です。え? えっと。え。柚子です。お金は大事だよ〜♪お気持ちだけで。