波のカナタ 10

晶 柚子
大学3年生の川瀬 柚子が、急いで駅にやってくる。
改札の前で蹲る河本晶を見付ける。
晶、川瀬先生を見るとホッとして感情が溢れる。
「先生……俺、もうあの家には戻らない!! 今までずっと我慢して我マンしてきた。功くんがきてくれて。アイツがいたから頑張れたけど……もう無理!! うっうっうっ」晶、泣き出す。

「児童養護施設行く?」
「ジジイ居なけりゃどこでもいい」
「わかった! じゃあ、手続きしよ。あ、けど明日、祝日か。私、予定あってさ。河本くん、演劇って観たことある?」え? えっと? 斜め上の展開。
「小学校で一回くらい」あんま、記憶にない。
「ちょっと待ってね」川瀬先生、携帯を操作する。柚子、演劇のチケットを購入している。もう一枚取れるか席の空きを確認している。
「あ、取れそう。河本くん、明日一緒に演劇行く? 行くなら、今チケット取るけど、どうする?」なんかよーわからんけど
「行く!」
「オケ」柚子、チケットを購入する。

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佐々木 功です。え。ありがとう。晶ー!なんか挨拶だって。晶です。え? えっと。え。柚子です。お金は大事だよ〜♪お気持ちだけで。