見出し画像

記憶の中のフィルム。

 あのカメラ、探したら見つかるだろうか。

 記憶の中に残っているカメラとフィルムがある。正直言うとカメラよりもフィルムの形が強烈に印象に残っていて忘れられない。

 記憶の中に残っている最古のカメラはフィルムカメラで、おそらくコンパクトサイズのカメラだと思う。デジカメなんてまだ存在しない時代だ。町の写真屋でフィルムを購入し、カメラに入れて撮り、撮り切ってから現像に出す。そして現像から戻ってきて初めて写真となって対面となるそんな時代。

 漠然と写真が好きで、写真部に在籍したこともあるし、自分でもコンパクトサイズのデジカメを買ったこともあったけれど続かなかった。完成された写真よりも、カメラという機械のフォルムが好きで、ファインダーを覗く、シャッターを切るという行為が好きなのかもしれないと言語化出来るようになったのは最近の話。

 そんな中でこどもの頃持っていた不思議なカメラのことを思い出した。正確にはずっと片隅にあったのだが、話す機会も、検索するワードも思い浮かばず放置していたのだが。

 小さくて、フィルムの形が独特なカメラ。
 一般的なフィルムって円柱の一本なんだけど、その小さいカメラに使うフィルムは双眼鏡みたいに円柱が二本あって、双眼鏡と違うのは円柱をつなぐ部分が細長かった。
 フィルムカメラ全盛期の頃、一般的なフィルムは割とどこにでも売っていた記憶がある。でもそのフィルムは売っていなくて、町の写真屋さんに取り寄せをお願した記憶があるし、写真屋で「珍しいもの持ってきたね」って言われた記憶がある。まぁ、その時はどんなフィルムを使うのかわからなくて、カメラ自体を持ち込んで「これにあうフィルムありますか?」したんだけど。
 ようやくその出来事を言語化出来るようになって、検索したら出てくるのでは? と行きついたので検索してみた。

 110フィルム
というらしい。詳しくはWikipediaへ。Googleの画像検索へのリンク

 ふぉぉぉぉおおおお!!!! これだー!! このよくわかんない長いやつだー!!

 これがカメラの原体験かもしれない。これよりも前に家族写真とか、学校行事で写真屋さんが抱えてた一眼レフとか見てるから、はじめて見たカメラではないんだけど、とにかく印象に強く残っている。

 カメラ自体も小さくて、Google検索で引っかかったようなカメラじゃなかったんだよね。もっと安っぽいって言ったら怒られるかもしれないんだけど、そんなカメラだった。何故か持ってて、ずっとおもちゃだと思い込んでた。写真撮るごっこで遊んでたの。フィルムが入るなんて想像もしなかった、本当にごっこで使ってたんだよね。
 少し大きくなって、なんでかあのカメラ使えると思ったのか、教えてもらったのか覚えてない。
 町の写真屋さんにある日「このカメラに合うフィルムありますか?」と突撃した。二本ほどフィルムをお願いして、一本は撮り切って現像に出した記憶はある。ただ、なにを撮ったのか全く記憶にない。さらに悪いことに、カメラ自体まだ持っているのかすら覚えていない。

 物持ちの悪さって後になってダメージになるね。いま、すごく、実物がみたい。持っていた記憶があるだけに。探しても出てこない気がする。一度目の引っ越しの時、あまり荷物持ち出さなかったんだよね。思えば自棄になってたのかも。
 激しく後悔してるのが、この時にファミコンの本体とカセットを死守しとけばよかったと、いま話題にしているカメラだ。
 ファミコンの方は無理なのが確定しているんだけど、こっちのカメラはワンちゃんあるかなぁ? ないかなぁ。うーん、探すか?

 最近カメラを買った。ついったでお見掛けして、悩んだ末買った(いいお値段した)。機体の佇まいに惹かれたし、撮れる画にも惹かれた。その画で撮ってみたい風景があることに気付いてしまい、購入に至ったのだけれど、もしかすると110フィルムカメラへの思いが根底にあったのかもしれない。

 この発見を覚えておきたくて、なんとなく書き出した。110フィルム、110カメラ、ポケットカメラ。覚えておきたい新しい単語だ。