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糖アルコールについて

数年前の国試勉強中に「いつか暇になったら深堀りしよう」とメモだけ残していたものを、自分の気の済むまで調べてみるシリーズ。

今回は糖アルコールについて。

例によって何でこれを残しておいたかは全く思い出せない。
ただ、こんなニッチな部分を一生懸命調べている時間がなかったのは確か。

工業的にどうやって作っているのか、天然の物質としても存在するものなのか、などが気になっていたのかなと思う。

薬剤師国家試験的には糖アルコールなんて甘味料のキシリトールとかソルビトールくらいでしか出ないような気がする。(有機でも可能性あり?)
単純に構造式を見て甘味料はどれか?みたいな問題で他と区別できればよいかと。


糖アルコールとは

糖アルコールは、還元基を有する糖類にニッケル触媒を使用し、高温高圧下で水素を反応、還元して製造(接触還元)されたもので、ソルビトール(ソルビット)、マルチトール、還元水飴のような鎖状多価アルコールの総称です。
(独立行政法人 農畜産業振興機構、お砂糖豆知識[2005年1月]より)

とのこと。

ぶどう糖の還元末端にH2を反応させてアルデヒド部分をアルコールにしたもの。反応性のある糖類を加工することで安定な糖質に変化させて利用している。

アルコールと付いているが、もちろんお酒ではない。

反応例としては以下のとおり

糖アルコール.001.jpeg.001

ここで新たな疑問。

「ラネーNi」って何?

今は糖アルコールの話であって、この物質については全く関係ないのだが、ふと気になった。

もしも国試勉強中だったら「なんかそういう触媒があるんやろ」くらいで終えて次の勉強に進んでいると思う。無限に出てくる疑問とか興味に時間を割いていては試験勉強が進まない。でも今は時間があるのでついでにこれも調べてみた。

興味がある人はそちらの記事も参照。

今は関係ないので、とりあえず「表面積が大きくて効率がよい触媒」くらいの理解でOK。


話を戻して糖アルコールについて

これら糖アルコ-ル類は爽やかな甘味を有し、保湿性、耐熱性やメイラ-ド反応(アミノ酸との加熱による褐変反応)を起こし難いなどのすぐれた性質から加工食品の素材として利用されるようになりました。

他にも低エネルギー性、非う蝕性などがあるそう。
馴染み深いので言えばキシリトールとかになるだろうか。

何となく人工甘味料みたいなイメージがあり、化学合成によってのみ作られてそうな印象。もちろん私の勝手な印象であって、糖アルコールは天然に複数存在する。例えば油脂に含まれるグリセリンも糖アルコールである。

先程のキシリトールも天然の代替甘味料であり、プラム、イチゴ、カリフラワーに天然成分として少量含まれている。ショ糖とほぼ同じ甘味度および熱量を有しているが、被発酵性がないので食品の保存中に発酵が起こりにくい。

以下、構造の例。

糖アルコール.001

緩下剤作用について

また、糖アルコールには緩下作用がある。緩下作用というのは字のごとくお腹が緩くなること。キシリトール入りのガムなんかにも「大量に摂取するとお腹が緩くなることがあります」的な文言をよく見かける。

なぜこのようなことが起こるのかというと、小腸で消化・吸収されなかった糖アルコール類が大腸にまで移行し、大腸内浸透圧が上昇するためと考えられている。

つまり、大腸内の糖アルコール濃度が高くなってそれを薄めるために体内の水が大腸内に移行するということ。大腸内は水が多くなりシャバシャバになるのでお腹が緩くなる。

緩下作用.001




なお、参考にした「独立行政法人 農畜産業振興機構、お砂糖豆知識」のページには、他にも砂糖の歴史や砂糖がなぜ白いのかなどの興味深い話がたくさん載っていて面白かったので一度飛んでみて頂ければと。参考URLは最後にまとめてます。

以上、糖アルコールについてでした。



引用した参考情報


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