イスラムを知るための7冊を紹介する文章(無料で最後まで読めます)
今回はイスラム教、イスラム社会について理解を深めるのに役立つ7冊を紹介します。あくまでも僕の主観ですが、読みやすさ、とっつきやすさの順に並べてみました。
僕のPodcastラジレキでもイスラム教の解説コンテンツは再生回数が多いので、きっとイスラムについて理解を深めたいと思う人が多いと思いますので、この紹介がお役に立てれば幸いです。
①橋爪大三郎『世界は宗教で動いている』
②小杉泰『イスラームとは何か』
③大塚和夫『イスラーム的』
④井筒俊彦『イスラーム文化』
⑤山内昌之『民族と国家-イスラム史の視角から‐』
⑥大澤真幸『〈世界史の哲学〉イスラーム篇』
⑦井筒俊彦訳『コーラン』(井筒俊彦の解説付)
番外:YouTubeやSportifyのコーラン朗読コンテンツ
①は社会学者の橋爪大三郎先生の『世界は宗教で動いている』です。同書は慶應丸の内シティキャンパスで3時間×全6回の講義を元に作成されていますので、話し言葉で且つ一般の人に理解してもらうために平易なことばで語りつつ、用語の解説や解釈について述べられています。また、イスラム教にとどまらず、ヨーロッパとキリスト教、ヒンドゥー、儒教、仏教、日本人と宗教といった広範に宗教を取り扱っています。最初の一冊にちょうどいいように思います。
②~⑤はイスラームの専門家による書物ですが、新書・文庫ですので専門知識がなくても読むことができる内容になっています。(繰り返しになりますが僕の主観です。)
②の小杉泰『イスラームとは何か』は、イスラム教の成立に関する歴史、背景から教義、内容、社会生活を広範に取り扱いながら新書として平易な表現に終始されています。スンナ派とシーア派の違い、イスラーム世界が黄金期を迎えた時期の描写、そこから現代に至るところも丁寧に書かれており、非常に学びやすい構成となっています。
③の大塚和夫『イスラーム的』は、イスラーム的とは何かを解き明かすために、イスラム原理主義・ファンダメンタリズム・イスラーム主義と呼ばれる現代における復興の動きに重点が置かれています。②に比べるとやや中級者向けの内容になっていますが、現代のイスラームの動きを理解する上で非常に濃密で分かりやすい内容になっていると思います。
④の井筒俊彦『イスラーム文化』ですが、まず井筒俊彦先生は日本におけるイスラーム研究の泰斗です。彼を通して日本社会はイスラームとの接点が広がったといって過言ではない人物です。
同書は、昭和56年(1981年)の春に国際文化教育交流財団が主催する講演シリーズにおいて井筒先生が行ったイスラーム文化の講演三回が下敷きになっています。1時間×3回の講演では不十分だったところも本にまとめるにあたって加筆したということで、非常に読みやすい内容になっていると思います。細かい用語の説明など微に入ることを極力避けつつ、イスラーム文化の全体やその根底にあるものが伝わるように言葉を選んでいます。が、難しい。宗教や哲学の知識がある方は十分に楽しめる内容になっていると思います。
⑤は山内昌之『民族と国家-イスラム史の視角から‐』です。こちらは1993年に書かれた新書ですので、入り口がボスニアヘルツェゴビナの問題から入っていきます。そこから内容がオスマン帝国とナショナリズム、すなわちイスラームとナショナリズムの対立がおきる理由、構造を解き明かしていく内容になっています。民族とは国家とは何か、そこに与える宗教の影響について興味がある方は読んでみることをオススメします。
⑥の大澤真幸『〈世界史の哲学〉イスラーム篇』は、社会学者である大澤真幸先生によるイスラームの紐解きです。イスラームの知識がある程度ある方には非常に面白い内容になっています。オスマントルコの不可思議な制度や、イスラーム社会における「奴隷」の位置づけ、アラビアのロレンスが失意に至ってしまった矛盾そして、商業を勧めるイスラームからなぜ資本主義がうまれなかったのか、社会学者としての視点でイスラームを解き明かそうという意欲的な内容になっています。
さいごの⑦としては、井筒俊彦訳『コーラン』(井筒俊彦の解説付)を挙げるしかないですね。ぜひコーランは読んでみてください。聖書の知識がある方は面白く読めると思います。合間合間にキリスト教徒へのディスリが入ってきます(笑)。もし手に取られたら、下→中→上の順番に読むことを勧めます。ムハンマドへの啓示の順序とコーランの並びが逆転しており、下の方が一章一章が短いのでとっつきやすいと思います。上は長く、また生活規定が多くなるので、いったん読み飛ばしながら宜しいかと。それ以上に重要なのは井筒先生の解説です。解説を読むためだけにこの本を入手するでも大いに価値アリです。
一方で、コーランはアラビア語で「詠唱すべきもの」という意味です。アラビア語で詠唱されているものを是非聞いてみて欲しいです。
↓こちらは、日本語字幕付です。日本語で「コーラン」と検索しても沢山出てきますが、英語で「Quran」と検索するともっと出てきます。ぜひ一度聞いてみてください。
以上です。最後までお読みいただきありがとうございました!質問や感想などあればコメント欄に記載頂けると嬉しいです(^^)
また、投げ銭して頂ける方は、宜しくお願いいたします。
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?