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ネガティブもほどほどに。


僕は、チャールズチャップリンの
「人生は近くから観たら悲劇だが、遠くからみたら喜劇だ」 と言う言葉が大好きだ。

この言葉を思い出すたびに、辛いことが有っても、そんな辛い想いをしている僕を観て、そんな僕の姿を滑稽だと笑っている人がいるんじゃないかと想う。
でも、それは決してマイナスな意味ではなくとっても素敵なことなんじゃ無いかと思う。
どんな形であれ、他人を笑顔に出来ているんだから。

そう思えるようになったきっかけは、大学時代の教授の一言だった。

演劇科のある芸大に通っていた僕は、大学3回生の春、新人歓迎公演の稽古をしていた。
そして、その稽古中、とある問題について議論していた。
それは、僕が舞台に立つだけで、笑いが起きると言う事だ。どんなにシリアスなシーンでも、僕が舞台に立っているだけで面白いらしい。
当時の僕は変な人だと言う認識で学校で有名だったから。
そのことに僕はかなり悩んでいたし、周りの人達にも、作品を台無しにする、と問題視されていた。

そんな僕に、教授は言った。

笑われてるんじゃない、笑わしてやってるんだ。だから何も恥じることは無い 

その日から僕は笑われる事を恥じなくなったし、自ら笑われようとするようになった。俺の不幸でみんな笑ってくれ‼︎と思うようになった。

それから約九年が経った先日の稽古で、劇団の演出にこんな事を言われた。

お前のことをずっと笑ってきた奴らを熱い気持ちで圧倒してやれ‼︎ と。意味は違えど、なんだか学生時代の教授のあの言葉を想い出し、そうだそうだ、この人のこう言うところが好きで、この劇団に入ったんだったなぁ…と思った。

そして、稽古終わりにこんな言葉を言われた。

僕は君のネガティブな所がいいと思う、自尊心が低く、自分に自信が無いところがいいと思う、と。

この言葉は嬉しかったと同時に、いや、違うな、と思った。

僕のネガティブさは、謙虚さとは違うと思う。過去に言われた言葉が、ずっとずっとトラウマとして頭から離れていないだけだ。ネガティブでいいことなんて何もない。自分に自信があってポジティブな人のほうが、よりクリエイティブになれるはずだし。そもそも、どんな精神状態でも、自分の気持ちをコントロールすべきだと思うし、哀しみを経験した方が演技に活かせる、とか言う奴らがいるが、経験して無くても、リサーチして想像するのが役者の仕事だ。

ネガティブでいいことなんて何一つない癖に僕はネガティブに依存しているし、自分の人生に関してもどうにもならないと諦めている。

僕が居るこの世界は、努力をすれば報われる世界じゃないと思う。大切なのは運とタイミング。その二つで全て決まると思う。そんな世界なのに、僕らに出来るのは努力だけだから、なんだか悔しいんだ。

最近よく、そんなに辛そうなのになんで舞台に立ち続けるのか?と、聞かれる。そしていつも答えられ無いでいた。

そんなある日、部屋の片付けをしていた時に、とあるCDを見つけた。それは五年前にとあるミュージシャンに貰ったものだった。

学生時代に好きで、でも好きになって半年くらいで解散してしまったミュージシャンがいた。彼等が解散して二、三年経ったある日、メンバーの一人がソロでストーリートライブをしているところに遭遇した。彼は僕のことを覚えていてくれてたらしく向こうから声をかけてきた。そして、

俳優さんですよね?僕ずっとTwitterで見てました。あなたが笑顔で稽古の写真を上げている姿にずっと元気をもらって居ました。これ、御礼に受け取ってください‼︎と言い、そのCDを渡してきた。

話を聞くと、10年寄り添った妻と離婚して、ショックで声が出なくなったらしい、そんな時に僕のSNSを見て元気を貰っていたらしい。

ただ稽古の様子を上げていただけなのに…
何が彼を元気づけたのかわわからないけど、なんだか嬉しい出来事だった。そして続けることで、誰かを元気づけることが出来るなんて、なんて素晴らしい仕事なんだ、と思った。

いや、最後まで書いて、結論を書くつもりだったけど、なんにも答えは出なかった。
ただ思っていることを書き殴っただけだった。

でも、そんな自分を受け入れるところから始めよう。そして、感謝の気持ちを忘れずに、努力し続けよう。努力はきっと自分を裏切らないって、誰かが言っていたから。

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