犬によって人生が豊かになった話

私はこれまで4匹の犬と生活を共にしてきた。

1匹目はシェットランドシープドッグのマック。♂

小学校1年生の時、父が知り合いづてに我が家へ迎えた。

当時の我が家は、休日の朝や夕方、フラッとマックやミスドに行ってお茶をする習性があり、ふざけた話だと思われそうだが、マックの名前はマックでのお茶中に父が決めた。

父は私の本名から一文字とって…と言っていたが、絶対マクドナルドだからマックだった。

でもそんなことはどうでもいい。

私はマックという名前が好きだったし、私達家族にとって、とても可愛い仔だった。

生まれて初めて犬とちゃんと接した私は、肉球というものに大変大きな衝撃を受けた。

ええええ、人間と同じ感触の皮膚あるじゃん!

皆教えてくれなかったし話題にもしないけど、犬なのに人間じゃん!

えええええ!

犬って人間だったの!

世の中知らないことだらけじゃ…(放心状態)。

そんなマックは私が高3の時に天へ還っていった。

最期を看取れたのは不幸中の幸いだった。

2匹目はヨークシャーテリアのスキンブル。通称スーくん。♂

ピンと来た方もかいると思うが、スキンブルというのは代表的には猫の名前だろう。

私はミュージカルが大好きで、ミュージカルの代名詞、劇団四季大好き!

中でも初見で「意味分からん」と自分の中で印象の悪かったcatsというミュージカルに2回目でまんまとどハマりし、その中に出てくる爽やか鉄道ヲタ猫が私の推しだった。

いや、今も推しだけど。

なんならスキンブルの歌になった瞬間、上半身全部を揺らして手拍子するけど。

もっと何なら手拍子するところとしないところ、完璧に把握してるけど。(ヲタ目線)

で、その猫の名前がスキンブル。

犬なのに猫。猫なのに犬。

スーくんは超絶母を慕っていた。

誰よりも母が好き。

餌をくれるから好きなんじゃなくて、心で通じ合う関係性だったように思う。

ちなみに私のことも好きで

私に子供が生まれて実家に連れて行くと

ヤキモチからか

うるさいからか

子供たちにずーーーーーっと吠えていた。

スーくんもマックと同じくらい生きて

母が見守る中で

静かに息を引き取った。

コロナで世間が自粛ムードに陥った2020年3月、

仕事から戻ると息子と旦那が

「◯◯にママが好きそうな犬がいたよ」と教えてくれた。

数日後、近くに行った時に

そういや犬がどうたらこうたらって言ってたな…と思い出し、ちょっと見に行ってみた。

あれ?

…ちょ…待って。

…めちゃめちゃかわいいんですけどーーーーーー!涙

ヨーキーとトイプーのmixのその仔は

小さな部屋の中でテコテコ、ヨチヨチ…歩いていた。

スーくんを思い出させる顔をしていた。

っていうかスーくんと一緒の顔だった。

完全にヨーキー寄りのお顔。

トイプーをどこに感じるかと言えば

くるくるっとした毛質。

これは抱っこしたら絶対いかんと思った。

思った…

思ったんだが…

「すいません、あのmixの仔、抱っこさせてください」

欲望を抑えきれなかった。私の負けだ。

私達家族に抱っこされるために来たその仔は、

小さくて、儚くて、あったかくて…

っていうか一生懸命見上げて見つめてくるんですけどー涙

でもこういうのは早まっちゃいけない。

命を預かるんだから。

ノリで来て「はい、お迎えします!」って言えない。言っちゃいけない。

一度泣く泣く店員さんに戻して義実家へ向かった。

…もんもん…

…もんもんもんもん…

…もんもんもんもんもんもん…

頭から湯気が出てそのまま蒸発しそうなぐらい悶々としている私の様子を見て、

「飼ってもいいんじゃない?かわいかったし、動物と暮らすの、子供達にも悪くないと思うよ?」

と旦那が口火をきった。

え、やっぱり?やっぱりそう思ってた?

「あの仔はかわいかったよ〜、あと10年若かったら私が飼ってた。飼ったらうちに連れてきて!」

え?義母もそう思った?
かわいいよね?
知ってる。

私は覚悟を決めた。

よし、お店に戻ろう!

そして戻った。

しかし、かわいい仔にはファンがいっぱいつくものだ。

あの仔の前で目がハートになっているマダムがいる。

負けていられない!

再度抱っこを店員さんにお願いし消毒を済ますと、そのマダムは

「私も〜!」

と消毒を求めてきた。

いやいやいや、うち、そんな生半可な気持ちで戻ってきたんちゃうで。

さっき抱っこした時と今からの抱っこは全然決意が違うんや。

全然ゆかりのない関西弁が頭を飛び交った。

マダムは私達の言葉に反応して抱っこを希望したため、その仔は私達家族に先に抱かれた。
さっきと同じで、小さくて儚くてあったかい。

1回目は「私はいいです」と抱っこを遠慮した
夫が、
「抱いてみますか?」と聞かれ抱っこをした。

やはり再度足を運んだからには
私の本気度を感じたらしい。

そして私達は質問の嵐を店員にぶつけた。

生まれつき心配な体の不調はないか。
どんな性格か。
家族が留守がちだがそれでも飼えるのか。
夏はどうする?
冬は?
しつけはどうやる?

ずーっと抱っこしながら具体的な質問を続ける私達は
申し訳ないがマダムにその仔を抱かせないまま店員と話し込んだ。

もしマダムが抱っこしてすぐに「この仔ください!」って言ったら
もう負けだと思ったから。

メルカリで、買うつもりで値下げをコメント欄でお願いしている最中に
黙って提示価格で誰かに購入されちゃって激しく後悔する感じ。

あれをこの仔で体感するなんてありえない!

私達家族の本気度を目の当たりにしたからか
マダムはいつの間にか抱っこを諦め、去って行ったようだった。

ちょっと申し訳なかったが、やはりかわいいだけあってここで離したら
もう家族にはなれない。
そういう確信があった。

そして旦那と目を見合わせた後に私は口を開いた。


「この仔、うちにください」


長い説明を経て、店内に蛍の光が流れる中
その小さな小さな命は私達の家族になった。

お店でおとなしかったその仔は
少なからずお店のあの小さな部屋より広いリビングを
くんくんと嗅ぎまわり、

そして元気に足元をぴょこぴょこついてまわった。

それはそれはパピーって感じの立ち居振る舞いで
最高にキュート!

黒くて小さなその仔を
くろまめ
と命名した。

ヨーキーって毛色変わるよな…
そしたら
銀豆 とか 金豆
とか?

いや、トイプーのmixだから
茶豆?おいしそう。

とにもかくにも
衝撃的な出会いってあるんだな。

私は黒豆をどちらかが命尽きるその日まで
必ず大事に育てよう。

マックともスーくんとも永遠の別れを経験し、
それがどれほど心が痛くて辛いことかは
じゅうぶん分かっているつもりだ。

慎重派な私が
それを分かっていて
それを知っていて

なのに迎えた新しい命。

必ず大事に育ててみせよう。


冒頭に4匹と書いたが
黒豆への愛が大きすぎてながくなったので
3匹目で一度打ち切ることにする。

4匹目はまたの機会に!

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