ニューヨーク旅行記 スタテンフェリーから自由の女神を見つめて
腹の痛みは依然として良くならず、僕はお腹を手で押さえながら前屈姿勢で必死で歩いた。
その姿は、まるで銃弾に打たれて苦しむ男の姿と変わらない。
一向に治らない腹痛。なんとかしてこの状況を変えなければと思い、僕は1つのアイディアを思いついた。
「そうだ!!自由の女神に助けてもらおう!!!」
っておいおい兄ちゃん、何をゆうとるねん!
と突っ込まれてもおかしくないだろう。
しかし、アメリカ横断ウルトラクイズが好きでニューヨークに来た自分にとっては、自由の女神様は特別な存在なのだ。
「女神様を見れば何かが変わるかもしれない!」
僕はその場の直感でそう感じたのだである。
さて、自由の女神を近くで見物する方法は2つ。
1つは自由の女神があるリバティ島へ行くフェリーに乗って、自由の女神を間近で見る。
もう1つは無料で乗船できるスタテン島までのフェリーに乗って少し遠目から自由の女神を見るというものだ。
しかし、リバティ島行きフェリーは乗船代が高くパスポートが必要で、しかもセキュティーチェックが時間がかかると聞いたので大行列が起こるのは必死なのでパスする事にした。
正直、今の体調を考えるとリスクの高い行為だ。
というわけで、スタテン島行きのフェリーに乗って、自由の女神を見る事に決定。早速フェリー乗り場に行く事にした。
スタテン島フェリー
この建物が、スタテン島フェリーの船着場である。
スタテン島フェリーはマンハッタンの南側、ホワイトホール・ターミナルからスタテン島のセント・ジョージ・ターミナルまでを片道25分、年中無休24時間営業で運行している。
しかもこの船、何回乗っても無料という素晴らしいフェリーだ。
1817年に運行をスタートした歴史の古いフェリーで、スタテン島からマンハッタンへ通勤する人や自由の女神見物の観光客でいつも混雑している。
この建物の中に入って、船が来るのを待つ事にした。
船をターミナルで待っている間、ふと窓の外を見てみると自由の女神の姿を見ることができた。
自分が今病気であるのも忘れ、心の中で大興奮していた。
とはいえ、やっぱりお腹は痛い。そこで、胃に優しいものを飲もうと思い、売店で紅茶を注文した。ところがこのお店の店員が、ラテン系であまり英語の上手な人では無かったので、注文を伝えるのに一苦労。
なんとか紅茶は購入できたが、英語が通じなかったショックで少し落ち込んでしまった。
それでもなんとか気を取り直して、無事フェリーに乗船。
マンハッタンの美しい景色を背にして、フェリーはスタテン島に向けて出港していった。
フェリーから見た自由の女神
しばらく乗っていると、目の前に自由の女神が見えてきた。
その瞬間、甲板にいた観光客は大歓声。
みんな我先にとばかりに写真を撮り始める。
以前にも書いたが、アメリカ横断ウルトラクイズを見て以降、いつか自由の女神を見てみたいと思っていたのだが、中々実現することなく30年近くが経過。
遠目越しではあったが、ようやく自由の女神の姿を見ることができたので、思わず僕は涙をこぼしてしまった。
体調が悪かったせいもあるのだが、これまでの苦しさと自由の女神を見れた感激で感情がごちゃごちゃになってしまったせいかもしれない。
生まれて初めて見る自由の女神。実物を見ると思った以上の感動があった。
たぶん元気な状態で見ても、同じように感動していることだろう。
そしてついに、自由の女神を正面から見た姿の撮影に成功した。
船の乗客は相変わらず写真やビデオ撮影に夢中になっている。
僕もその姿を忘れない様にと、強くその姿を心に焼き付けた。
スタテン島到着
やがて船はスタテン島に到着した。
スタテン島はニューヨーク市の区の1つで、マンハッタンやブルックリンとは違いどこかのどかな雰囲気を残す住宅街である。
船着場からは、この様な美しいマンハッタンの景色が見えた。
景色を見るには最高の場所で、駅前にはアウトレットモールとマンハッタンを見下ろせる野球場、スタテン島を走るスタテンアイランド鉄道の起点駅、セントジョージ駅がある。
しかし、腹痛のせいであの時の僕にはのんびりこの場所を楽しんでいる余裕は無かった。
よって、船の乗り場に戻ってマンハッタンに戻ることを決意。
乗り場の行列に並んで、船に再び乗船。滞在時間わずか10分という短さだった。
そしてこれは、帰りの船から見た自由の女神である。
人混みをかき分けて撮影した写真で、ちょうどマンハッタン側からやってきた船とすれ違った瞬間の写真だった。
スタテン島フェリーはこの様にオレンジ色の船である。
どこかくたびれた感じの船で、個人的には大好きなタイプの船だ。
マンハッタン到着
とりあえず、無事にマンハッタンに戻ることはできた。
しかし、肝心の腹痛の方は依然として悪い状態のままである。
とにかく胃が全ての食べ物を拒否しているという状態で、ここまで酷い腹痛は今まであまり経験したことがない。
こんな時はすぐにホテルで休めば良いのだが、ついつい無理をしてしまいたくなる僕は、無理をして観光を続行することにした。
次回も腹痛ネタになってしまうが、お付き合い願いたい。
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