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木と対話する。

焦りや急ぎは禁物。

いつものごとくファーニチャーメーカーのアンガスが言う一言。

帰国の日が迫ったわたしは、慌てるように友人のアンガスにお願いして
大好きなスコットランドの思い出を持ち帰れるよう
彼のワークショップで木のフレーム作りに励んでいた。

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Wood-working が初めての私は 一つひとつのデザインに趣向をこらしながら
フレームの内側を斜めにカットしたら絵や写真が引き締まって見えるんじゃないか、表面を小さな目のplanerで削りあげると、温かみが出るんじゃないか etc.と、毎回作業に取り掛かるごとに三択以上のアイディアで頭を悩ませていた。

新しいアイディアが浮かぶとすぐ、アンガスに、「こんなデザインも思いついてしまった」と、どちらがいいか、答えを促していた。


帰ってくる答えは大抵この2つ。

「僕はこっちの方がいいと思う。(その答えに不満そうな私の顔を見て、にやけながら)でも、君はこっちの方がいいんでしょ?じゃあ次の作業をしながらゆっくり考えればいいじゃないか」

「いま考えてもしょうがない。もう今日はここまでにしよう。あとは次回までゆっくり考えればいい。急いで考えても何もいいことはないのだから」

・  ・  ・

大きな木の塊から小さいピースにcutし、サイズをmeasureして、またcutし、木の表面をplane (表面をスムーズにする..)し...

1つの作業を終えるごとに、必ず木の調子をうかがう。

特に大きなソーを使って木を切り分ける時。
木の断面や形は微妙に湾曲したり反り返ったりするから。

イス、フレーム、テーブル…

どんなデザインにするか色々決め兼ねた時は、
焦って答えを出そうとしない方がいい。

木と対話をしていると、必ずいい答えが浮かび上がってくるものだ。

そうしてやっと一つの作品が出来上がる。

それも自分の納得のいく最高作品になる。

そんなアンガスの心に触れた時、自分の人生にとってもいいアドバイスをもらったような気がした。



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ワークショップはアンガスの作ったロフトもあって、
たまにここで一緒にランチを食べた。

他界した私のおじいちゃんも同じような作業小屋や屋根裏部屋を持っていて、木の匂いがとても懐かしい場所。

フレームを作る私の横でアンガスが作っていた椅子。

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ブログに、アンガスのことを書きたいと言ったら写真を送ってくれた。

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また一緒にパブでパイントを楽しむ日が来るのが待ち遠しい:)

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