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天気と体調と機嫌の良い時間だけベッドから出る生活を変えてくれたもの

6年前、私の体調は最悪だった。
やる気が出ず、常に疲れていて、寝れば手足がこわばる。関節が痛い。髪はバサバサ。肌はサメサメ。爪は自然に欠ける。食欲はなく、食べれば下す。気ばかり焦って、動けない罪悪感と焦燥感と、これからどうなるのかわからない不安と、どうなるかわからないならいっそこのまま死んでしまいたいという希死念慮。しかし実際にはどんな死に方も実行できないほど段取りが考えつかず、やる気が出ず、文の最初に戻る。

鬱か。自律神経失調症か。単なる怠惰か。


その日も朝ベッドの中から、通勤する夫・通学する娘に「いってらっしゃい、気をつけてね。」とだけ声を掛け、そのまま布団にくるまっていた。天気は、悪くない。洗濯をしなければ、と心のどこかで思ってはいたが動けないでいるうちに娘が帰宅した。

「お母さん、あのね、今日大学の授業で習ったんだけど!」息せききった勢いに半ば気圧される。「お母さんのそれ、更年期障害だよ。それでね、シール型のホルモン剤を貼るだけで元気になれるんだって。1日コーヒー1杯分のお金で治るって!良かったじゃん!」

有働さん
翌朝、「起きられたら婦人科に行ってみてね。」と念を押されはしたものの躊躇っていたところ、NHKあさイチの有働さんまでが更年期障害をカミングアウトし、画面の向こうから満面の笑顔で婦人科受診を勧めてきた。

これは天啓、これは行かねば。

知人から聞いていた評判の良い婦人科クリニックにアポ無しで突撃した。

千草先生

女医さんと聞いてはいたが、その先生は女医さんというより元シャンソン歌手で今はタンポポコーヒーと黒糖スイーツのサロンを経営しております、と言われたら信じてしまいそうな、にこやかで健康的なステキなマダムだった。私より7.8才は年上に見えるその人は、お医者さんと患者さん、というより「貴女より少し前に更年期を迎えて、何をどうしたら良いか少しだけ判っている人」というスタンスで接してくれ、いっぺんに信頼したくなった。
もう半年近く不調が続いていること、市販薬が効かなくなったこと、娘に受診を勧められたこと、ホルモン治療は怖いこと、などなどを話した。先生は「うん、うん、そうなのね。」と聞いてくれ、驚きもしない。
血液検査の結果、更年期障害でしょう、とあっさり診断がつき、とりあえず漢方薬から始めることになった。

ツムラの十全大補湯
48と大きく書かれた赤い小袋。これを3年近く飲んでいたかな。(昔のことなので忘れている。)マグカップに入れ、デミタスコーヒー程度の量のお湯で溶き、朝昼夕食前と寝る前に飲んだ。飲むと暖まり、四肢に元気が湧いた。つられて頭の血流も増したようで、努力せずに思考が湧くようになった。家族との会話もはずむようになった。派遣の仕事も再開。
(この時期、膣薬も使用。)

ところが、だんだん寝れば寝汗がひどくなり、起きれば何かとイライラするようになり、イライラした後はズドーンと後悔することが増えてきた。何より困ったのはオフィスで働いている時に突然背中がカーッと熱くなり・上着を脱ぐと冷や水を浴びせられたかのように寒くなる事が頻発したことだ。職場の女性上司は「誰でもそんなもんでしょ。私だってもう何年も我慢してるわよ。」ととりつくしまもない。次々と悪夢を見るようにもなり、耐えかねて千草先生に相談した。

エストラーナテープ
「もう観念してHRTはじめることにしてみますか?」
そう勧められてついにホルモンパッチの使用を開始した。

処方薬局でトイレを借りて早速下腹部に貼付。貼って5分で、

世の中が変わって見えた。

今トレーラーCMが流されている映画・マトリックスには半透明のシート状の仕切りを突き破って別の世界に入って行くシーンが有るが、まさにあんな感じ。テープを貼る前と貼った後では(ドーピングなしとドーピング後ほどに性能が)違う。全然イライラしない。全然落ち込まない。暖かい優しい気持ちと、冷静でクリアな思考力が無理なく両立する。もうなんの我慢もしなくて良い。エストラーナテープに含まれる女性ホルモンは私を内側から守り、不安を消してくれた。

漢方専門医
ネットで、漢方専門医が近くにある事を知り、寝汗について相談に行った。十全大補湯が合わなくなってHRTにしたことなどを伝えると「温めれば良いというものでもないのですよ。」と、手足腹部舌などの視診触診ののち別の漢方を処方してもらい、今も時折飲んでいる。

メノエイドコンビパッチ
HRTはエストラーナからメノエイドコンビパッチに代わった。断薬期間が不要になり、心身は更に安定している。ホルモンパッチを貼って5分安静にしていれば、薬効が全身に沁みわたっていく幸せな時間を満喫できる。薬のせいか年齢のせいか、コレステロール値が高くなり、あまり高くなるとHRTをやめなければならないと申し渡されているため、高脂肪高カロリー高コレステロールの食べ物のバカ喰いはしないようにしているが、我慢している訳ではない。徐々に断薬し、ホルモン補充なしで穏やかな老後を送れるようになる日まで、我慢に代わる私の選択肢=信頼できる婦人科のお医者さんとメノエイドコンビパッチ。

#我慢に代わる私の選択肢

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