個人的に、ここがすごいよFSS

文明が非発達な世界観の作品において、「ナイロン」や「ポリエステル」
「ポリウレタン 」などの石油由来の化学繊維が来ると「お?」っとなってしまいます。しかしながら、無粋。なんと無粋。

だってそんな事を言ってしまうと、衣装の幅がバーン!と狭まるし、キャラクターデザインをする人がみんなそんな知識を持たねばならないなんて、なんて意味のない。

例えば、「迷彩柄」迷彩柄を商品に付ける時、デザイナーは「かっこいいから」付けるんですけど、ミリタリー を齧った私は、「これは〇〇迷彩だから、この色おかしくないか?」とかは思います。だけど、それは「ミリタリー 観点では正しい」かもしれませんが、「ファッション軸では主眼はそこじゃない」わけです。
海外の「日本をイメージした風景」に出てくる無数の「訳のわからない看板」を見て、私たち日本人は笑うのですが、あれは「海外の人が考える日本のイメージの具現化」であり、それは「正しい」と思います。
「本当に正しい日本の映像が求められてる」わけではなく「作品の中のイメージの共有」こそがそのシーンでは大切なのでしょう。

というわけで、ファンタジー世界における靴下やタイツ表現も、「それ単品で見たらおかしい」のですが、主眼は「そのキャラクターや状況を表すため」の小道具ですので、その正しさは問題じゃないと思います。

それこそ、「化学繊維みたいな役割を果たすなんかファンタジー的なあれこれ」を作って良いと思います。(私のオタク的思考では、ナイロン的な機能を果たす繊維があるならば、例えばこんな物が作られる筈だから、ここでこういう描写がされてるのはおかしいのではないか?とか考えだしたらキリがない。)

で、そこのでファイブスター物語です。

素晴らしい。神。天才。

(ここから先はファイブスター物語を見たことがある前提で話を進めます。そしてほとんど妄想です。というか妄想です。)

FSSは激しく文明の発達した世界観なので、化学繊維があって当たり前なんですけど、いや、だからこそ、「文明が発達して、多くの繊維は科学的に作られたものばかりとなり天然繊維の素材が貴重である」という設定をぶち込んでくる。すごい。

この時点で、オタクの私としては考察をしたくなる。
少量とは言え「存在している」という事は、「育成」「栽培」の技術は残ってる筈なんですよ。

絹も綿も昔から人類が作ってきたものなのに、なんでそんな貴重やねん?
って最初は思いました。しかし、その世界では「必要が限定的なもの」なんですよね。例えばニキシー管とかも、今は高いと思うんですけど、理由は「面倒だし、必要なのは欲しいマニアだけ」だからだと思うんです。
ニキシー管の時計なんか見なくても百均の時計で役目は果たせます。

同様にあの世界では「人工合成された繊維」が当たり前で、それが流通しているのが当たり前。私が見落としてるかもですが、多分食べ物も「合成されるのが当たり前」なんじゃないかと勝手に思ってます。

そうなってくると、「畑で植物を栽培する」という行為自体が非常に「一部の極限られたもの」ではないかと。そして、それを糸にする職人もほとんど限られた「人間国宝」みたいなものかな?と

で、必要なのは「ファティマだけ」
そうなってくると必然と高くなる。いや商売人的には「高く売れる」
そんな「限られた需要だけど、その需要は切実」なものは、「より安くしよう!」なんてならないわけです。なんせファティマを使えるのは「びっくりするほど金を持ってる人たち」
ぐへへへへ・・・その世界で商売したい・・・
とか思ってしまいますが、だからこそ「天然繊維が高い」


さらに、多分なんですけど石油由来の化学繊維は、あの世界では「もうほとんど作れない」のかもな?と思ってます。
石油は結局「動物の死骸」が由来の資源であるため、「有限」です。
シルクや綿は言って、「育てれば栽培可能」ですけど、石油はそうも言えません。一度枯渇すると育てる(?)のに億年の時間がかかります。
つまり、あの世界において石油は既に「ほとんど枯渇していて全く取れない」じゃないかなーって思ってます。(作中でガソリンや石油の描写を見てない気がしてます。知ってたら教えてください)

(※漫画を確認したら、ファティマのナイロンは動物の油を元に作られていると記載されてました。)

なんで、ファティマの身につける天然繊維(ここではナイロンとかも入れます)は、「すげー高い!」というのを、作中で表現し、尚且つその理由も我々が想像しても「破綻しない」という点で、FSSは天才。

靴下やタイツのデザインについては「あ・・・すご。デザイナー」って靴下を年中大量に見る私も思うくらいに色の合わせ方や、描写などが完璧なので、もういう事ありません。

そんな話でした。

※補足なんですが、必要な「作品の設定の解像度」はその作品が「誰に向けた」かで全然変わると思います。
例えば、すげーリアルで、ミリオタに向けた作品であれば「どんな細かい設定も追いかけた方がいい!!!」訳です。
逆にCMとかで軽く出てくる描写に「それを求める」のは違うと言う感じです。

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