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カフェ4分33秒  (バレエショートショート)

世界的に有名な振付師の1日講座に、アマチュアの藍が当選して受講できた。しかし振付師は開口一番、ジョン・ケージ作曲の4分33秒を振付しろという。無音状態のコレをどう振り付けろというのだろう。振付師はカフェでお茶を飲んでいるような涼しい顔だ。

周囲の受講者は顔だけ知っているバレエダンサーやバレエ団の代表者もいる。平気な顔をしているところを見ると、無音だからこそ、やりやすいというのがあるのかも。藍も気持ちを切り替えた。

右端からヒトリズツ踊ってクダサイ

ドキッとした。藍は右端にいる。動転したがそれもすぐ気持ちを切り替えた。即興の振付は早くやるほど有利だから。

藍は先月からの続き物のレッスン用アレグロの練習曲を踊った。曲は頭の中で流れている。ただしポワントはわざと音を立てた。レッスン用チュチュもわざと布がこすれるように扱う。それらが曲を作る。藍はついでだからと腕と腕をぶつけてわざと鳴らし、肩と足をぶつけてわざと鳴らす。軟体だからこそできる技だ。

ヨロシイ

藍の力が抜けた。


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たらはかにさまの企画に参加中です。
今週のお題は  カフェ4分33秒。

wikiも貼っておきます。

実際の演奏の動画。指揮者だけが動くパターンと、指揮者も動かないパターンがある。

>>演奏者がコントロールをして生み出す音はないが、演奏場所の内外で偶然に起きる音、聴衆自身が立てる音などの意図しない音は存在する…

ということは観客が期せずしてくしゃみをしたら、それも作品になりうるということか…面白い発想だと思いますね。これも芸術だとされるなら本当に奥深いものです。

ありがとうございます。