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神様時計 (ショートショート)


 不気味なアポカリプティックサウンドが響く中、女が廃墟を歩く。生きている人間を探して。
 上空に時計が浮かんでいる。学校の教室にあった壁時計にそっくりで女は驚いた。

「ジャスト12時…キーンコーンカーンコーン…あの頃は戦争もなく平和だった」

 時計から声が聞こえた。

…終末時計が完結しこの時代もこれで閉じた。そなたは人類唯一の生き残りだ


女は現実派だ。

「姿を見せてください。そして私の家族や友人をさがすのを手伝ってください」

…私が神だ。お前は今から新しい人類を産みだして新たな世界を作れ


「は?」

…お前が新イブだ。お前の肋骨からアダムを作ろう。以後私は見守るしかできぬが、お前が正真正銘の世直しをしろ


「バカにしないで。お断り」
 

いきなり時計が壊れ同時に放射線状に空も砕けた。時計の重なった長針と短針が墓標のように突き刺さった。狂った神は崩壊したが、まだ陽がある。女は長針を武器にすべく腰にさした。それからその場を去る。神は不存在。



ありがとうございます。