2022年地方振り返りの話
すっかり年も明けてしまい、このテーマも遅速で申し訳ないが、
次を書くためには避けては通れないので書かせてほしい。
この投稿は2022年中に行った、地方から見る日本のクラフトビールの現状レポ。
自称リアルな日本のクラフト事情
事情があり去年は春に軽井沢、秋に由布院、博多、広島に行った。
単なる慰安旅行な土地もあるのと、
ビールのための旅ばかりではなく満足に時間がとれたわけではない点はあしからず。
冗長になりすぎないよう駆け足で順番に。
◆軽井沢
・軽井沢駅周辺はヤッホーブルーイングと THE 軽井沢高原ビールしか見かけない。限定ビールも思いの外少ない。
・さらに言えば3店舗ほど売店に入れたが山の上ニューイは見つからなかった。
・同じ県でも松本ブルワリー、AJB、南信州などはこのエリアでは購入できない。
たまたまカルテットブルーイングというマイクロブルワリーを見つける。
・観光名所だが大通り以外はかなり閑散としており、空き別荘がそこかしこにある
・夕方から人が減り19時にはゴーストタウン。
THE 軽井沢高原ビールの工場見学にも行けた。
事前予約制有料だが見学後にビールのおみやげビールプレゼントと生ビール提供があり、十二分に元が取れる。
◆由布院
・大分は当時まだクラフト人気はそれほどでもなかった。
冬に別府温泉にビアレストラン併設の大型醸造所、別府ブルワリーがオープンすることに。
・大分県内でも都心の別府と由布院ではクラフト格差が激しく由布院周辺は、くじゅう高原地ビール、ゆふいん麦酒しか確認できなかった。
別府はマイクロブルワリーが点在している。
・風光明媚だが高低差が激しく山間の方で宿をとった場合とても散策には向かない。夜は温泉入って寝る。
上記の二箇所はクラフトの持ち味である「大手以外の選択肢になりうる」が達成できてない地域。
クオリティも所謂地ビールというか、絶対飲んだほうが良い!と進められる銘柄は少ない。
広い。空き地が多い。天敵がいない。店員から酒を売ってやろうという気概が感じられない。タラタラしている。
これはつまり、外資が入ってきたらあっという間に潰れることを表している。
そこかしこに蒟蒻石鹸。またかよ。
◆博多
・超都会。駅周辺はバスが滑走しさながらリトル丸の内。隣数駅くらいまでは新宿のようだった。ただキャッチに声をかけられることはなかった。
方言はきつくなく地域によるそうだ。
・人が優しい、メシがうまい、不夜城。舌と目が肥えている。
故に酒が求められている土壌があり、うまい酒は何でも歓迎されているが、関東で見るような人気のクラフトはない。
国産クラフト自体の高まりよりは高品質な海外のクラフトが流通するようになってからは(それ以下の品質になり得るような未知の)他の地域のクラフトを飲むリスクのほうが高いようだ。
離島による送料コスト高もあり他のブルワリーの参入が弱いのだろう。
佐賀のパンが買えたりと本州よりは地続きの土地から食飲料品が持ち込まれている様子。
・自販機のジュースが安い。昭和の東京の値段。つまり基本物価が(東京より)安い。
街全体がバリアフリーのようにあまり段差がない。0時を過ぎても街から人が減らない。いつ帰るんだ…
朝方その辺に転がっている人がいる。歌舞伎町ぽい。
・博多といえば橋本環奈?みな人懐っこく、酒を愛している。
マンモス駅。
街がパワフルで楽しそうなのが印象的だった。ある意味タイムズスクエアに似てる。
・毎日腹パンで死ぬかと思ったのに、食べたかったものは食べきれなかった。
博多周辺はビールの選択肢は多いのだが、地元のクラフトが少なく、
上記の通りビアキチは海外樽が多め。
期待していたFUKUOKA CRAFTはこの時ちょうど新工場移転のタイミングで、提供数が少なかった。無念。
1箇所でFUKUOKA CRAFTを見かけたが定番のみ、後は老舗杉能舎の博多麦酒が大半。
酒は充実しているがビール好きの旅行者としては地元のビールの少なさが残念。
ボトルショップはBEERSONICへ行けば解決するかもしれないが、このときは休みだった。
オークラブルワリー、スタンドうみねこyoca、MORRIS' HIPPO、goodbeer STAND。都合上断念したが、行ければまた福岡の印象が変わっていただろう。
参考:福岡ドンキ
◆宮島〜広島〜尾道
・宮島と言えば宮島ビール。醸造所自体が小さいため実は商品によって自社と委託と使い分けて販売しているが、
さすがに宮島の小さな併設ショップでは限定系、
宮島周辺ではそれ以外の銘柄が入手しやすく、方方の売店も1,2種類の醸造所の取り扱いがある。
・広島市内、宮島、尾道と広島は広く回ることが出来たが、地方遠征で一番クラフトが充実。天国!広島駅周辺でこれだけカバーできる。
市内のボトルショップもすごい。
とにかく駅周辺でほぼ片がつく。
駅の商業施設ekie内にはビールスタンド重富ekie店もあり、クラフト嫌いも飽きさせない。
・自販機が安い以下略。こちらも不夜城、看板がギンギン。グルメ大歓喜。
ここでもキャッチにかからなかったけど、繁華街はガラ悪そう。
お好み焼きは大型駅以外の所のほうが遅くまでやってるしメニューも充実。
パリパリ麺はビールに合うがご当地サワーも楽しい。
店員が観光客慣れしているので、余計な絡まれ方もなかった。
秋でも寒暖差が激しく、すぐ脱げる上着必須。
・これは博多もだが、外国人も多いことに注意。
アジア人からすると本州や自国の都心より気軽に来れる外国なので、
家族連れや団体ツアーに遭遇することがしょっちゅうある。
自分はトラブルはなかったが、マナー感覚の違いにはくれぐれも用心。
・城や原爆ドームなど有名所は広島駅周辺にほぼすべて密集しているので、
とても観光がしやすい。平地。
バスと路面電車が安く使い勝手もよく価値観がちゃぶ台返しされる。
夏は暑そうだが、広島城を使ったフェスにも遭遇し、
回りきれなかったがSession's BreweryやBREAKEDGE BEER WORKSの
ボトル販売日に行ければ人気ビールも手に入る。
・尾道は広島市内からは離れているので丸一日イベント。
島が臨めたりと「ならでは」絶景のオンパレード。腹も鳴る。
が夕方には商店街の多くの店が閉まるし移動距離も長くなるのがツライ。
・尾道駅では大山G仕込の高品質地ビールに出会えるが、
あとは尾道ブルワリー以外でクラフトを楽しめる場所は皆無。
目の前の海のキレイさと建物の低さには心奪われるが。
総括
結局ここまでで3000字超えに‥スミマセン
途中でも述べたが前半2つと後半2つは非常に対比して興味深く、
前半は観光地として有名なのにクラフトビールを広めるチャンスを活かしきれておらず、
限定銘柄を作るところも少なく、
決まった取引先と変わらないルーティンを繰り返しているため、
大手外資ビール会社に参入されたらあっという間に消し飛ぶ
と感じました。というか空き家多すぎ、ゴーストタウン化早すぎ問題。
土地はあるんだから城にプロジェクションマッピングとか、六本木アートナイトみたいな企画しても良いのでは。
後半は概ね満足。
ただ、現地へ行っても狙った銘柄を入手できるとは限らない(流通的な問題含め)のはアメリカの一部クラフトにも通ずる感覚かなと思いました。
こだわりがなければそもそもベースの質が高いのと、
東京に比べればまだ値段も低いので満喫できることは間違いない。
茨城住みの人と先日話す機会があったが、
「自分の住んでいる近くにはクラフトを買える環境がないので通販を利用している」と聞き、
この令和にまだそんな地域格差があったかと切ない気持ちになった。
クラフトビールがブーム?
自分の目で見てきたほうが早い。
最後に、昔目にしたもので趣旨しか覚えておらず、
検索しても出てこないので本来の発言とかなり変わってしまっているかもしれないけど、坂本龍一氏の言葉でずっと残心している言葉を。
「アフリカの村にいる青年に演歌を届ける。
それが私達の使命なのかもしれない」
ビールと音楽とクリエイティブを中心に少し突っ込んだことをまとめるように心がけています。 サポートしていただけると心の励みになります。