見出し画像

もらった日本未上陸ビールの話①(韓国編)

ビールをもらった。
ビール好きですと言い続けていると、たまに周りの人が覚えていてくれていて、
旅行のついでとか記念日とかにたまにくれることがある。
もっと進むと、これテイスティングしてみない?って感じで貴重なものを
振る舞ってもらえるようになる。

ビールの良いところは、普通のお土産だと幅が大きい箱のお菓子や、
日持ちがしない海産物などとは違い、
高くても1本1000円くらいで気軽にプレゼントできることだ。
相手に必要以上に気を遣わせなくて済む。
その土地の風土がラベルに出てたりして、見知らぬ土地の妄想をするのも楽しい。

なんとも有り難いことに、2本も頂戴してしまった。太っ腹である。
レビューの前に、韓国のビール事情を調べてみる必要がある。

韓国のクラフトビールシーン

そもそも韓国のクラフトビールってどんな状況なんでしょう?
自分が把握してるのは、最近東南アジアから日本に新規で上陸する醸造所が増えてること。
でも日本から見ると台湾の醸造所がレベルが高くて受け入れられてる印象。

一旦地球の歩き方様の記事にも目を通す。

この7brauというのは今ドンキホーテで販売しているな。買ったことはないけど。
Platinum Craft Brewing Companyが大規模で南の方にあるということがわかった。Untapped3.27。
僕は韓国語は全くわからないが、経験上パッケージとこのレーティングで大衆寄りであることは嗅ぎ取れる。
7brauもそうだが、昭和を感じるデザインは良くも悪くも昔のアジアのチープなビールのイメージから域を出ない。それはそれで味があるのだけど。
2021年版だがソウルナビ様の記事は参考になった。

1本250円位で輸入ビールが買える韓国でわざわざ国産を買う人は少なく、
大衆大手は値段を調整し薄めのビールで戦ってきた背景があるようだ。
CASSとKLOUDは日本でも見かけたことありますね。CASSはやまや、KLOUDはドンキ。
あとhite。これも昔やまやで見かけて買ったことがあるのと、
そういえばドイツを代表するビールLöwenbräu(レーベンブロイ)が韓国製造に切り替わったことも記憶に新しい。製造はCASSと同じく大手OBビール。
hiteとOBが大手二強らしい。

薄いビールが広まった理由が麦芽比率が日本より低いことと、
焼酎を混ぜる文化があるという重要なエピソードを確認。
辛かったり味が濃い目の料理が多い韓国料理に合わせるのだから、
味が薄めになるのは自然か。

引用ばかりのこたつ投稿みたいで申し訳ないが、
この済州(チェジュ)ビールは登場回数が多く、
韓国南の離島でありながらクラフトシーンを盛り上げてきていることは間違いないだろう。

工場も洗練されとても綺麗だし2021年には160以上醸造所があるというのも
有益な情報だ。日本のクラフトが盛り上がってきたのとほぼ同時期同規模であることがわかった。

ここ、重要なポイントであろう。

なぜなら、もらったビールは真逆の位置ソウルの醸造所のもので、
ウィートエールが済州ビールの看板商品であるのに対し、
このビールは二本ともヘイジータイプだからである。


テイスティング

CRAFT BROS BREING CO.

Craft BrosはUntapped3.85。
ただし銘柄によっては4点以上を叩き出している。
前述のPlatinum Craftと同じYonginというエリアに位置している。

以下参考


MikkllerやBrewdogと並び、紹介されるレベル?!
3.85以上は8ブルワリーしかなく、4越えは2つ(1つはヘイジー、1つはインペリアルスタウトが得意な模様)
IBC2022でも韓国は何社かメダルを受賞している。
因みにうちゅうブルーイングは3.98、West Coast Brewingでも3.97。
日本で4点超えは2社しか存在しない(自分調べ)ようなので、
現時点のUntapped上では日本より韓国のほうがトップランカーが理論上強い。

それではテイスティングに入ろう。


左がNE PA、右がFruit IPA

①左から
LIFE:Hydrant Spray
スタイル:ニューイングランドペールエール
Untapped:3.84
ABV:4.8%
IBU:27
モザイク、アマリロ、エルドラドのドライホップド。

濁ったレモンイエロー色といったところ。泡立ちは普通。
これ、うまかった。
嫌味がなくとってもジューシー。トロピカルだが主にみかん系のアロマと味わいで、
マウスフィールへのざらつきも、苦味もなし。
中身とラベルがリンクしてるかは別として女性には特に受け入れられそうだし、
日本に入ってきてもすぐ売れそうなクオリティ。
澱あり。


②右、
LIFE:Pinepapple Farm
スタイル:フルーツIPA
Untapped:3.72
ABV:6.8%
IBU:40
パイナップル入りドライホップドIPA。

こちらは見通せないくらい白く濁ったオレンジ色かな。上とあまり変わらないけど、泡立ちはスタイル通りそれほど良くない。
開けた瞬間から部屋に広がる南国臭。笑
最高に気持ちいい。アルフォンソマンゴーに近いアロマ。
ジューシー越えてジュース。
ラベルはパインだが、グァバや微かなレモンニュアンスがある味わい。
こちらも苦味ゼロ。フレッシュ、ビビッドな印象。売れそう。
澱あり。

どちらもレベル高くて、実はとあるインポーターさんからもらったんだけど、
これ正式輸入していいんじゃないかと思った。
本当にもらってよかったのか、、、、

一つ懸念事項としては、缶の「LIFE」ってのが何だかわからなくてラベルで機会損失が起こりそうなことかと。
LIFEというのは2007年までアメリカで発行されていた大衆向け写真雑誌。
フォトジャーナリズムに多大な貢献をしたとされている。
HPを見た限りでは、LIFEの写真をCRAFT BROSが使用することになった
経緯は判然としないが、
写真=現実主義=リアル=リアルなビール
的な発想で、フレーバーと写真背景を重ね合わせてストーリーを作るブランディングなのかもしれない。
(HPには2023年1月現在マリリンモンローとチェ・ゲバラのラベルのビールは確認できるが、
他にも多数の商品があるシリーズであることはUntappedを見るとわかる)


2022年はアジアからの上陸イヤーになると以前のエントリーで書いていたが、
それはCarbon Brewsが正式輸入されるという情報を事前に掴んでいたらだった。
今、正直アジアのビール全体が大人気というほどにはなっていないようだ。
しかし今まで大衆的なビールが珍重されていた地域にアメリカンクラフトの風が吹いてスタイルに変化が起きていることは疑いなく、
特にこのCRAFT BROSの品質の高さには驚かされた。
驚いたからこのエントリーを書くに至っているわけだし。
BTB、WCBと同時にブラインドで出されてもわからないのでは?

飲み手としては楽しみだし、
日本人としては日本各地のブルワリーの淘汰につながるかもしれないという危機感もある(議論する場ではないのでそれ以上の話題は避ける)
自分自身、むぎうぎさんの初輸入台湾ビールの宣伝アンバサダーを
仰せつかったことも、その考えに多少影響している。

何にしてもビールの世界でも地球がアメリカナイズドされている事実は
進行しているし、
人々に受け入れられたものしか流行しないし、その先に残ることもない。
求められていない側は求められている側に道を譲るしかない。
韓国の風土についてはあまり言及しなかったが、この先のエントリーでまた少し触れられたらと思っているので、
引き続きご愛顧を。

ビールと音楽とクリエイティブを中心に少し突っ込んだことをまとめるように心がけています。 サポートしていただけると心の励みになります。