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【5日目教養としてのラテン語の授業】またラテン語学びたくなった話

2023年4月16日
教養としてのラテン語の授業
ハン・ドイル 作 本村凌二 監訳 岡崎暢子 訳


今日は私が棺に入り、明日はあなたが棺に入るのだから、他人の死を通して自分の死を考えてみなさい

ラテン語を学ぶ重要性

あのレオナルドダ・ヴィンチも学び、そして苦戦したというラテン語。

ラテン語を通して、古代ローマ時代の生活から現代に至るまでどのように生活が進化していったのか、また言語のルーツや哲学的思考などを学べる本でした。

ラテン語を学ぶことで、昔の生活を知り現代に生かす、まさに温故知新であると思います。

難しいラテン語なのに超人気の授業

作者はハンド・イル先生 東アジア初の”ロタ・ロマーナ”(バチカン裁判所)の弁護士でありm700年の歴史の中で903番目の弁護士です。

ちなみに、ヨーロッパ人でも習得が難しいラテン語を理解して、他のヨーロッパ語を理解して、700年間の教会法を深く理解して、さらにラテン語で進められる司法研修院3年課程を終了しても、この資格を取る試験の合格率は5〜6%! 

これだけすごい方の授業は受けてみたくなりますね

読むと、何だか授業を休みにすることが多かったです。

最初から授業は休み。しかし、ただの休みではなく外で春の陽炎を眺めろ。」

パッと聞いただけでは意味がわかりませんね。私がこの授業を受けていたら休講!やった!となりますが、その後の課題が謎すぎます。

春の陽炎は夏と違ってじっくり観察しないとわかりません。
ラテン語は単語ひとつでもその由来を追うととてつもなく時代を遡ることになります。これを念頭におき、諦めず常に自分の心の中を見つめなければならない。
これがみてもみても見つからないが集中してようやく見える春の陽炎と同じなのです。

休講にしてまずラテン語を学ぶための基礎を作り、また休講にしてラテン語を整理する時間を作る。
この先生の休講はとても意味のある休講なのです。

ラテン語を通じて悩み解決!

特に、現代に多い悩み例えば人間関係や受験の話、自分自身についての悩み……など
それをラテン語にしかない諺などを交えて古代ローマ的な視線から見て哲学的に解決していくような構成にもなっています。

死についての話

もちろん、身内や誰かの死は受け入れがたくとても悲しくなります。

Hodie miihi, Cras tibi (ホディエ・ミギ、クラス・ティビ)
今日は私へ、明日はあなたへ

『今日は私が棺に入り、明日はあなたが棺に入るのだから、他人の死を通して自分の死を考えてみなさい』

P140


常に人は死と隣り合わせであります。いつ自分が死ぬのかわからない。

この諺について作者は、「人は永遠からやってきて、有限を生きそして永遠へと返っていく。息が止まればそれで終わりの人生なのに、永遠からやってきたからか、人間は命とは永遠であるかのように振る舞っている。」と解釈しています。

なくなってしまった人の思うことで、その人に対しての感謝や後悔を記憶します。

なくなった人の思い出が記憶に残り→私がなくなったらまた誰かが私のことを記憶に残す→その誰かは誰かの記憶に残り→・・・・

この記憶を土台にして自分の人生、死んでしまっても誰かに記憶しておいてもらえるような人生を生きていくべきだと思います。

今を楽しむ

Carpe diem, quam minimum credula postero
(カルぺ・ディエム、クァム・ミニムム・クレドゥラ・ポステロ)

『その日を詰め、明日をできる限り信じないで』

p149

「明日に期待することなく、今日に意味を持って生きろ」

この章が死についての話の次にきます。本の構成自体も何だかうまく作られて、より考えさせられるなあと思いました。

つまりは今を楽しんで今を生きろという意味です。ありきたりでよく言う話で、そんな綺麗事言われてもそう簡単にはいかないんだよ!と思います。

だって、嫌な日だってあるでしょう。上司に怒られたり、締め切りが近くて追われていたりそんな状況を楽しめと言われても難しい時があります。

では今日を我慢して節制して生きるのはいいことなのでしょうか
将来のために今は我慢してお金を貯める。子供のために今を犠牲にして生きる。この我慢は、死ぬまで永遠に続くのではないでしょうか。
この辛い状況を見て、果たしてこれで誰かが幸せになるのでしょうか。

また、今日を我慢するのと同じくらい過去に縛られていることもあります。

あの時勉強しておけばいい大学に入れたかも……あの時あの人と結婚していれば……あの時あれを買っていれば……などなど

過去に振り回されることは人生においてよくあります。

ラテン語の動詞の活用法はめっちゃ多いです。
”amo”(愛する Love)の活用表です

これを見ると過去形が多いののがわかりますか?
古代ローマの人も過去に囚われ悩んでいました。それは現代と同じです。

未来のために今を不幸に生きることも、過去に囚われて、今を見ないと言うこともどちらも幸せには程遠いです。

「10代でも30代でも70代でも、若くても歳を老いてもどの世代にとっても今日この瞬間が人生で一番美しい時であり、一番幸せでなくてはならない時間」と作者は言っています。

とりあえず、帰りにハーゲンダッツを買って今も食べてる時も食べ終わった時もずっと幸せな時間を作りましょう。

感想

実は私、めちゃくちゃ古代ローマ時代の歴史や話が大好きで!
と言うのも「テルマエ・ロマエ」という本が大好きで、小学生の頃から擦り切れるほど読んでいました。
そこからずっとラテン語に興味を持ち、小学生の頃親におねだりしてラテン語の初歩的な本を買ってもらって勉強していました。(活用が多すぎてすぐ挫折しました)

なのでこれは読むしかない!と思いこの本を購入しました。

期待して損したとまではいきませんが、「えラテン語全然触れないじゃん」
というのが最初の感想です。

もちろん活用表などは出てきますしラテン語の解説も載ってますが、ラテン語のことを学ぶ本というよりかはラテン語は表面の部分だけでむしろラテン語を通して思考体系を広げていくといった本だなと思いました。

それと同時に、ラテン語を全く知らない人でもやってみたい!と思わせる本でもあります。

もちろんラテン語の勉強再開し始めました。

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