【1$の価値】その5。

シモダです。すっかり秋ですね。

今回も《1$で何ができるか》について書いていく。ここ最近は「税込で1ドル以上使ってるんじゃないですか?」というご指摘をいただくこともあるが(主に自身の心の声)、100円を下回ると途端にできないことばかりになってしまうので、どうかお許しいただきたい。第一回目(1$=111円)で3円余るわどうしようとか言ってた自分に言ってあげたい。その3円は大事にとっておけと。

さて気を取り直して、最近巷(僕の周りの極々狭い範囲)で流行っているものがある。そう、羊毛フェルト。気がつけば右も左もチクチクチクチクと一心不乱に針を刺し、可愛らしい動物やなんだかよくわからない物体を作り上げている。日々新しく「キットを買ってきました」という報告が入る中でうずうずしてしまうのも日本人の同調圧力なのか好奇心なのか。気がつけばDAIS●に走っていた。ついにこの企画でも100円均一を解禁してしまった。

買ってきたのはこちらのキット。ペンギン(ポシェット)を作るための毛や針が一式入っている初心者にはもってこいの一品だろう。ご丁寧にレベルまで書いてあり、自身の熟練度に応じて相応の品を選ぶことができる。あいにくこの日は星一つの商品が並んでなかったが、おそらく初心者が買い占めているのだろう。

裏面には内容物と別途用意が必要なものについて書かれている。あれこれ備品を揃え出すと1$遊びという唯一にして最大の縛りが瓦解してしまうので、今回はこのキットに入っているもののみで作ることを決意した。別にその他の道具を揃えるのが面倒だったわけではない。(正直面倒だった)

中身を開けると、こんな感じで各色の毛束が入っていた。まずは付属の説明書を参照しながらパーツに応じて羊毛を分けていくところから始まる。単位が基本的に『ひとつまみ』なのがアバウトで良い。

パーツを目分量で小分けにしたらあとはチクチクと針を刺していくだけだ。今回記事更新締め切りの都合上、作業にかけられる時間は多く見積もっても40分ほど。説明書に書いてあった所要時間(目安):2.5時間〜はそっと見なかったことにした。

すでに羊毛フェルトを体験している人の感想を聞くと、皆口を揃えて「時間があっという間になくなる」と言っていた。40分しかないのであっという間になくなってもらっては困る。説明書の工程を流し見しながらとにかく頭の中にある完成形を目指してちまちまと針を刺していく。やっているとわかるが、どれだけ勢いや熱量を込めても、針を指す行為自体はものすごく地味だ。

何回刺したかわからないが、気がつけばなんとなく不恰好な雪だるまみたいな形ができてきた。説明書には詳細な寸法が書かれているがもちろん計っている暇などない。なぜならこの不恰好な雪だるまを作った時点ですでに20分が融けていた。羊毛フェルトの時間泥棒感はえげつない。リミットが迫る中、もう説明書など見ている余裕がなくなった。そして(ポシェット)の部分を諦めた。中に何も入らないカバンなど持たせても仕方がないので、まあ許してもらえるだろう。そこから説明書を遠くに払いのけて、完成図だけを見ながら糸を取り針を指す。

怒涛の追い上げでここまで完成した。なんとなく違う気がするが目を入れたら命が吹き込まれ立派なペンギンとして大空を羽ばたくこと間違いない。

羽ばたきませんでした。

正解と並べた時の違いがすごい。見ながら作ったはずなのに、油断した途端に出来損ないのウォーズマンみたいになってた。鼻の部分までこだわれるほど黒い羊毛がなかったので、おそらくどこかのひとつまみを失敗した。

黒い羊毛の不足はペンギンの頭頂部にも消えない傷跡を残した。さっきまで不格好な雪だるまだったものは「頭皮」として生まれ変わり、何とも言えない哀愁を漂わせている。今すぐ黒い羊毛を買い足して植毛してあげたい。

今回は所要時間が極めて短かったので、突貫工事になった。お金も大事だが、同じように(時にはそれ以上に)時間も大切なものである。身に染みて感じたし、ペンギン(と呼んでいいのか微妙だが)には申し訳ないことをした。この反省を活かして、また新たな命を生み出していきたい。

100円でお手軽に始められるので、ぜひみなさんも(時間に余裕がある時に)挑戦してみてください。作品見せ合いっこしましょう。

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