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格闘ヲタ一代⑥

さて、それでは道場巡り編です。

「達人に会いたい」これは格闘ヲタの願いでもあります。

「階級」と「引退」が存在するスポーツ界、競技格闘技の世界を見ている限り、小さな老人の達人など存在しない。

暴走族を題材にした漫画の場合、大抵背の小さな可愛らしい顔をした総長が現れる。東京リベンジャーズのマイキーや特攻の拓のマー坊くんなどがそうである。

確かに喧嘩の世界で小さいけど、強い人は存在するが、それはちょっとまぁいきなり人の顔をマンキンで殴れるかとか、バットで頭をフルスイングできちゃうとか、刃物持ったら握手するみたいに自然に刺すとか、そういった要素も入って来るので決していい強さとは言えないですけど……そう考えると凶悪犯を確保に向かう警察官て本当に凄いですよね。

あくまでお互いに、向かいあって今からやりますよ、ヨーイドン!で始めたら体重が違ったり歳を重ねてるとしんどいですねって話なので、ちょっと話が変わって来ます。昔、武術の先生に言われました。「喧嘩に強くなりたいならヤクザになりなさい。彼らはそんな訓練ばかりしている。ボクサーをまぁまぁと向かいに座らせて、テーブルの足を蹴ってテーブルとソファで相手を挟んで手が出せない状態で灰皿で殴ったりするんや。殺し合いが強くなリたければ傭兵になりなさい。刃物や銃火器が使えないとグローブ着けて人と殴り合えても意味がない」と。

だからよく「どの格闘技が強いのか」とか聞かれても答えはないのです。極真のフランシスコ・フィリオがジェロム・レ・バンナにKOされて「やっぱり極真よりキックの方が強いのか」と思うかもしれないが、ジェロムが極真ルールでやったらフィリオどころか、一回戦で負けるかもしれない。久保健英は八村塁をドリブルで抜けるが、八村だって久保をドリブルで抜ける。どのルールがその人に合ってて、どのスタイルがその人に適してるかだけの話で「どちらが強い」「誰が誰よりも強い」という話ではない。武尊と天心が騒がれるのは、同じルールの違う団体で無敵だからである。ムエタイチャンピオンと戦ったり、堀口恭司と戦っても元々はルールが違うから、この二人の対決ほどの完璧な「どちらが強い」は厳密には決められないのである。

実際に総合格闘技をやっていた奴がボクシングをやっていた奴に勝ったが、三人に囲まれた時に寝技に持ち込んだら、ボコボコにされてしまった。逆に負けた方のボクサーは三人に囲まれた時に返り討ちにした。という話が身近であった。しかし、そのどちらも元剣道部の奴に木刀でやられてしまった。しかしその元剣道部の彼は素手で遊んでる時に格闘技経験者でない不良にやられてしまった。さて、誰が一番強いでしょう??

数学で求められる答えなら求めたいものだが、答えはない。ヤバい奴は車で轢いて来るし、硫酸をかけて来る。

ただ、格ヲタとはロマンとファンタジーを求めたがるもの。素手で最強の男、体重や年齢を超えた達人、本当は裏で一番強いレスラー、そういうものに憧れを抱く。

まだ、YouTubeもない頃、達人と呼ばれる人が表に出て総合格闘家と戦ったりしていない頃、実戦武術とは秘匿性の高いものであり、格闘技雑誌の取材やバラエティ番組の取材、またはその流派の出しているめちゃくちゃ高いVHSでしか見る事ができなかった。

戦っている所も見れなければ、体験も出来ない。弟子が吹っ飛ばされている所や、バラエティタレントがリアクションを取っている所しか見れない。

そこで達人に会いたいと思った私は道場巡りを始めた。真偽を確かめる為に達人探訪に出ようと思ったのです。


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