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F. カルッリ「練習曲」(練習46) 〜 「青本」和声分析17


F. Carulli : Esercizio 概要

へ長調。複合3部形式。構成は「A - B - A - C - A +終結部」と捉えてみた。
Bパートではハ長調(属調)、Cパートではニ短調(平行調)に転調する。
和声的には非常にシンプルで終結部以外はトニックとドミナントのみが使われている。

和声分析

Aパート

使われている和音はIとVのみだが、転回形を挟むことによって響きに変化をつけている。
3小節目と7小節目の3拍目は第7音がなくなるので記号を振り直すかは悩んだが(和声学でやる4声体では通常属七の和音から属和音には進行しない)、バスが変化しかつ導音も現れるので別の和音記号を振ってみた。
4小節目3拍目のB-Gの動きは単純に非和声音として処理をすることも考えたが、主音と導音が省略された属七の和音とした方が繋がりが良いと考えたので和声記号を振ってみた。尤もその場合譜面上は第7音であるB重複するのとそれがきちんと解決されているかが問題になるが、装飾的なCを挟んでAに解決ということでどうだろうか。


B - Aパート

ハ長調に転調。記号は振らなかったが、アウフタクトのCはIとなる。
13小節目2拍目はVの第2転回形としてもいいが、ここでは経過音と考えてみた。
17小節目からは入りは違うが最初のAパートと同じものとなっている。

Cパート

ニ短調に転調。冒頭のAは前の小節のへ長調のIの第3音がアルペジオ的に現れたものと捉えることもできるし、ニ短調のD - Tの動きでもある。
30小節目3拍目はAパートの4小節目3拍目と同様に捉えて良いだろう。

A+終結部

へ長調に戻ってくる。冒頭のCについては、ニ短調のIからIIIという進行は基本的にすることがないので、へ長調のVIからのV、そしてIと考えるのが良いだろう。
43小節目からは終結部に入る。ここで初めてサブドミナントに分類される和音が現れる。それにより緊張感を高めた上で最後最後3小節の主和音展開で終結する。


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