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1.5(イッテンゴ)
2022年11月5日 22:59
砂漠の谷底で、空を見ていた。 何も持たず薄物一枚の私に、氷点下の夜は超えられまい… キャラバンは私を捨てたのだ。「おいっ、大丈夫か?」 抱き起こされ、薄目を開けた。 ぬるい水が口元を伝う。 私は跳ね起きると、水筒に齧り付いた。 私を死地から拾ったのも、またキャラバンだった。 拾い拾われ、留まる者も去りゆく者も、入れ替わり立ち替わり… 長い長い間、そんな風景を見続けてきた。