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1.5(イッテンゴ)
2022年3月5日 22:47
「やっておくれ」 促され、歳若い侍従がその手の剃刀を動かすと、次々と髪の束が床に落ちた。「そんな顔しないで、スィ」 椅子に掛け、四阿越しに見上げる青空に、白い鱗の龍が身をくねらせ泳いでいる。「あの龍だって、本当ならリェン様のものなのに」「龍が王の乗り物だったのなんて昔の話さ。兄達のような武力の持ち合わせはないし、このままでは私の命はない」 四阿の床に点々と侍従の悔し涙が落ちる。「私