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読書ノート 「〈身〉の構造 身体論を超えて」 市川浩 

 灯台下暗し。読むべき本は我が本棚にあった。
 ずうっと以前、多分大学生時代に購入し、ほぼ読んでない「精神としての身体」が棄てられずに残っているのは、いつか読む時が来るのを予見していたからだろうか。
 この「〈身〉の構造」を躊躇なく買ったのは、無意識下にそうした刷り込みがあったからであろう。解説が河合隼雄というのも、帰って本を開いて初めてわかった。呼び寄せてるなあ。
 心身二元論では我々の身体のダイナミズムは捉えられない。身体を超えた錯綜体としての〈身〉を追求し、さらに空間が均質化して、宇宙と身体の幸福な入れ子構造が解体している今日、我々にとってのコスモロジーの可能性を問う。


  • 「人間は、居ても立っても居られない存在」(生松敬三)

  • 人間は享楽にも飽きる。すぐに惰性化する存在でありながら、惰性的であり続けることもできない。

  • 「み」「身」の用法

 果実の「実」は「身」と同根

 「み」は生命のない肉を意味する 「魚の切り身」

 「み」は生命のある肉体を意味する 「お尻の肉(み)」

 「み」は生きているからだ全体を意味する 「身持ちになる」

 「み」はからだのあり方を意味する 「半身になる」

 「み」は身に付けているものを意味する 「身ぐるみ」

 「み」は生命を意味する 「身代金」

 「み」は社会的生活存在の意味 「身売り」

 「み」は自らを意味する 「身のため」

 「み」はさまざまな人称的位置を取る 「身ども」

 「み」は社会化した自己を意味する 「身内」

 「み」は社会的地位を意味する 「身の程」

 「み」はを意味する 「身を焦がす」

 「み」は全体存在を意味する 「身を持って知る」


  • 身の特徴は、ヒエラルキー性を破る統合形式を持つ。つまり斜行的あるいは飛躍的に下のレベルと上のレベルが関係を結ぶ非ヒエラルキー型の統合形式を持つ。

  • 身は、中心化と非ー中心化という二つの動的な関わりを持つ関係的存在。

  • 同調ー感応的同一化も、身の特徴。

  • 身の生成モデル、システムとして、「ツリー(樹状非交叉図式)」「セミ・ラティス(網状交叉図式)」、多次元ネットワーク(ドゥルーズのいうリゾームに近い)がある。

  • 同一化する環と共通感覚、癒合的同一化

  • 星雲状複合体(ネビュラス・コンプレックス)

  • 〈身分け〉において重要な役割を果たすのは、述語的統合。


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