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フローリストにとって資格は必要か?

フローリストになるには専門資格の取得が近道と思っていませんか?実はフローリストになるのに資格の取得は関係ありません。
何故なら資格はあなたの理解を深める物であってフローリストの免許ではないからです。

私はこれまで800組を超える婚礼装花の担当をさせて頂き、様々な提案・施工を行ってまいりましたが、資格がなくて困った経験はありません。

ここではフローリストになるために資格以上に必要なことと、資格が本当に必要になるシーンについてご紹介します。
この記事を読めばあなたもフローリストへの一歩を踏み出すことが出来ますよ。

そもそもフローリストとはどんな存在なのでしょうか?

ChatGPTで調べるとフローリストの定義は以下の様になります。

フローリスト(Florist)は、花や植物を専門に扱う職業を持つ人を指します。彼らは花卉業者として、花束、アレンジメント、植物の販売、そして花や植物を使用したイベント装飾などを提供します。

ChatGPTにて

フローリストになりたいのであれば資格は必要ない

花を専門に扱う職業をフローリストと言いますが、同じ専門職の美容師や調理師の様に免許は必要ありません。フローリストとは誰でも「私、フローリストになります!」と宣言し、花に関わる商売を行えばなれる、という事です。つまりフローリストを目指す人は最初から資格を取得しなくても、フローリストになれる夢は叶えられるのです。
では資格にはどんな意味があるのでしょうか?

「資格は共通言語」

フローリストは言葉にしにくい抽象的なモノを商品として提供します。退職にふさわしい花束や、開店祝いのアレンジ、Aラインのドレスに似合うブーケなど。これらを作るには技術と知識はもちろん必要ですが、情報を共有する必要があります。その情報を誰にでも伝達できるように言語化したモノが資格です。いわばフローリストの共通言語です。

「直径25㎝のラウンド型アレンジを四方見で。ラインフラワーは使わないで…」
「ティアドロップ型のブーケ、マスフラワーは少なめでふんわりと…」
「ワイヤリングはピアッシングで十分だからワイヤーは#26をハーフで…」

作ろうとするものを言葉で表現するためには、お互い同じ意味でとらえる必要があります。自分で受注し自分で作る分には伝達する必要がありませんでので共通言語も不要です。しかしフローリスト=職業となると、受注したお客様のイメージを共有する必要があります。そのため誤解なく伝わる共通言語として「これはこう表現します」「こういう場合はこう挿しましょう」と、定義し共有するのが資格です。

資格で学べる技術

情報を正しく伝えるための定義を学ぶだけが資格ではありません。表現するための技術を正しく理解するのも資格に含まれています。しかし、フローリストの技術は多くの場合驚くほどシンプルな技術しかなく、実店舗で勤務中にも学べる程度の物です。
例えばフローリストの製作する主なものにアレンジと花束がありますが、アレンジを作るのに必要な技術は「思った長さに切って」「思ったところに挿す」この2つです。花束に至っては「思ったところに」「決まった方向から添える」だけです。どちらも中学生であれば出来る難易度の技術です。

技術を上達させるには学びより反復

でもこれの難しいところは思い通りに切り、思い通りに挿す所です。頭で理解していることを実現させる事が難しい。例えば、20㎝で切って垂直に挿す。技術としてはシンプルで簡単なミッションですがこれが難しい。毎回長さはマチマチになり、やや傾いてしまう。シンプルだからこそ理解は出来ても再現が出来ない。
では思う通りに手を動かすにはどうするか?それは資格を深く学んでも答えはありません。一番効果的なのが反復です。体に覚えこませるのです。何度も失敗しトライ&エラーを繰り返す事で上達します。

より多くのはながある所へ

フローリストとして技術を高めていくには、多くのトライ&エラーが大事です。そのためには週に一回数時間しか花に触れないスクールよりも、実店舗に所属し1つでも多く製作する方をお勧めします。いくら頭で理解できても形に出来なければ、理解していないのと同じです。
植物ごと・作りたいイメージごとに細かな「コツ」は存在します。しかしコツを積み上げても基礎技術が正確に出来なければ表現出来ません。まずは思った長さに切って、思ったところに挿しましょう。

慣れが生む経験値の差

ここまで読んでも、「それでも学んでおいた方が良いのでは?」「いきなり実践は不安」と思う人がいるかもしれません。しかし、実店舗の通常業務の範囲では資格を通じて学んだことの10%も使用されませんし、「理解」より「なれ」の世界ですので、資格を学ぶ時間があるならば、実店舗でアルバイトした方がお金をもらいながら学べて時短になります。
近くに花屋の求人がない。ほかの仕事をしているので就職できない。そういう方はスクールに通うのが良いでしょう。大事なのは「今よりより多くの花」がある所に身を置く事です。環境は人それぞれです。皆さんにとってより多くの花がある所へ進んでください。

お客様には通じない共通言語

「お客様から注文を受けるときに必要なのでは?」と思うかもしれませんが、それも不要です。なぜならお客様は資格という共通言語は知らず、「華やかに」「ピンク系で」「色んな花を使って」と、普段使っている言葉でオーダーするからです。
フローリストは、お客様の普段使いの言葉を、花で表現する世界の言葉に置き換え翻訳し形にする必要がありますが、お客様は資格を理解し共通言語でのオーダーする必要はありません。

資格が必要になるのは少し先

それでもいつか資格が必要になる人が出てきます。それは教える立場になる人たちです。一番わかりやすいのがご自身でスクールを開業し、生徒さんを集める場合です。資格は共通言語です。先生であるあなたの知識と技術をスクールの生徒さんへ理解していただくためにも共通言語である資格は必要になるでしょう。それ以外でも花屋の中で教える立場になる方々には資格はとても有効なコミュニケーション手法になります。

資格を正しく理解してから学びを深める。このやり方自体は否定しませんがとても遠回りです。最低限の技術を学び、反復を繰り返し、習得した上で資格を学び伝える言葉を整理する方がより良い経験値を蓄えれます。

まとめ

  • より多くの花に触れるのが近道

  • 資格は後から必要になる人がいる

  • 資格はプロ同士の共通言語 お客様には通じない

  • 技術は反復練習が一番の先生


ではまた。


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