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巡検:しずハピ ~しずしず水月&もうすぐハピラインが走る街~

はじめに

2022年夏には7泊8日の九州北部5県バスめぐり巡検を行いましたが、23年春は、北陸3県のうちで未訪問であった富山県と福井県を主に、都市や宿場町を巡るコースとなりました。特に、福井県は約1年後に北陸新幹線の延伸が予定されており、最近では「北陸線 金沢~敦賀間が廃止へ」などの見出しが話題になりました(誤解を生みそうな書き方ですよね・・・)。夏の九州北部巡検においても、西九州新幹線の建設が終盤を迎えた長崎や嬉野を巡り、今回は北陸新幹線の延伸を控えた福井県。なんだか、開業直前の新幹線を視察することが恒例になってきたようです(次はリニア?)。

巡検概要

【日時】2023年3月某日(4泊5日)
【主な経由地・経路】甲府・松本・敦賀・福井・富山
(経路は図1)
※詳細な経路は最後に掲載しています。

経路図(出典:地理院地図)(地理院地図を加工して作成)
図1. しずハピ巡検 経路図
(背景地図の出典:地理院地図)(地理院地図を加工して作成)

行程

1日目:中央東線を西へすすむ

初日は特急や普通列車を乗り継ぎながら、中央東線を西へ進みました。朝ラッシュの中央線をそろりそろりと走るかいじ号から望む、東京西部の街並みは、普段の中央線からの景色と少し違って見えるものです。グリーン車が導入されれば、より手軽に楽しめるようになるのでしょうか。

さて、特急かいじは終着の甲府駅へ。
現在では国際興業グループから離脱したとされる山梨交通ですが、そのカラーリングは国際興業バスそっくりです。レトロな雰囲気の車両なども走っており(図2)、かつての埼玉県南部・東京都内の情景が思い起こされます(と言っても、幼少期のわずかな記憶に上書きされた、ネット上の写真によるものですが)。

図2. 甲府駅を出発する山梨交通(ネット上の情報によれば1997年式の車両らしい)

甲府市役所の展望ロビーからは、甲府の街並みを見下ろすことができます。また、市役所そばの歩道橋上からの景色も良いです(このあたりで、おじいさんに道を尋ねられました(汗))。やはり、どの町であっても、目抜き通りをまたぐ歩道橋は隠れた観光名所になりますね。

図3. 市役所そばの歩道橋から南方を望む(「うしろのり」のサボが良いですね)

ちょうど、甲府の地元百貨店「岡島百貨店」が移転のタイミングだったようで、この日は新店舗の内覧会が行われていました。

図4. 旧店舗は寂しい様子だがタワマン再開発の計画があるとのこと

甲府からは普通列車で諏訪へ向かいました。途中、韮崎のあたりで露頭のようなものが見えましたが、あれが韮崎岩屑なだれの名残だったのでしょうか(→調べてみたら想像していた場所とは異なりました)。まずは上諏訪駅で下車。周囲を山々に囲まれ、地形学でプルアパートベイズンを教わったっけ・・・と思いながら、諏訪湖までは徒歩で数分の道のりでした(この日は冷たい風が吹き荒れていて、早くホームの足湯に入りたい気分でした(笑))。

図5. 諏訪湖(湖岸ぎりぎりまで近づくことができた)

足湯に入りながら普通列車の到着を待ち、次に訪れたのは下諏訪。1.5時間ほど散策しました。

図6. 「水神講」によって大切に守られているという湧水
(信州の水50選にも選ばれているとのこと)
図7. 諏訪大社(秋宮)からは遠くに岡谷の街が見える
図8. 下諏訪駅の跨線橋から富士山を望む

下諏訪から本日の最終目的地である松本まで普通列車に乗車しました。なお、乗車券は塩尻から中央西線へ向かう経路ですので、指定席券売機で「塩尻~松本」の乗車券を購入しておきました。
夕方になるとかなり冷え込みます。歩いて温まりましょう(?)。井上百貨店からパルコ、縄手通りを通って、松本城まで、写真を撮りながらゆっくり30分ほど歩き回りました。平日の夕方でしたが、松本パルコは地元の高校生が集う空間になっているようです(この頃、閉店の報道が出ていました)。この日の夕食は、松本駅前のアルピコプラザ(バスターミナル併設の商業施設)の地下にあるスーパーで購入しました。地方都市の駅前スーパーやデパ地下から街の雰囲気を感じるのも、巡検の楽しみの一つです。

図9. 松本パルコ
図10. 縄手通り商店街(雰囲気はよいが平日の夕方ゆえに通行人はまばら)
図11. 松本城

2日目:中山道をたどりながら中央西線

松本駅を始発とする中央西線2両編成は、立ち客が出るほどの乗客を乗せて、7時43分に出発(広岡駅、塩尻駅でほとんどの乗客が下車しました!)。奈良井駅では、筆者を含めて5人が下車しました。いずれも、観光客のようです。しかしながら、9時前に到着です。宿場の土産物店、飲食店は準備中…… 静かな雰囲気の宿場を楽しみましょう(10時になると開店するお店も多いです)。
次の普通列車で南木曽駅へ移動し、南木曽町のコミュニティバスに乗り換えます。

図12. 雪がわずかに残る奈良井の街並み
図13. 五平餅
図14. 団子と甘酒のセットで温まろう
図15. 南木曽町のコミュニティバス(外国人観光客と地域住民で賑わう)

妻籠までは300円均一運賃で後払いです。南木曽町の地域バスは、GTFS-JPのオープンデータが公開されており、Googleマップでも経路検索が可能でした。外国人観光客もGoogleマップをもとに乗車しているのでしょうか。運賃の支払には苦戦していたようです(地域や路線によって大きく異なる、路線バスの運賃支払いは日本人にとっても難しいものです)。妻籠のバス待合スペースにはコインロッカー(100円返却式!)がありますので、活用しましょう(すぐ隣には有料のロッカーがありますので要注意)。

図16. 妻籠宿
図17. 開田産そば粉を使用したそば
(りんご・りんごジュースをサービスでいただきました)

1日3本(通常期の平日)の地域バスの時間に合わせて、妻籠から馬籠へ移動します。乗客は数人でした。妻籠、馬籠のいずれも鉄道駅から離れているなかで、両者の宿場を結び、県境を越えることができる貴重な路線バスです。
馬籠宿はポケモンGOとコラボしているとのことで、それを目当てに訪れたと思われる方も数多く見られました(おやき屋の店主曰く、週末はたくさん人出があるが、平日は少なく、この日は特に少なかったとのこと)。

図18. 馬籠(遠くに中津川の街が見える)

馬籠からは中津川駅まで、北恵那交通の路線バスが毎時1本走っていますので、鉄道駅へのアクセス性ばっちりです。この日は、中津川から中央西線、東海道線を乗り継いで、大垣駅前のホテルに宿泊しました(じゃらんの大垣市限定クーポンで3000円引き!)。

3日目:年縞博物館へ行こう

この日のメインは、福井県年縞博物館です。朝の出発前に大垣駅周辺を散策しました。近鉄バスのカラーリング、シンプルながらも筆者の好みです(笑)。レトロな電器店も。

図19. 大垣駅に到着する近鉄バス
図20. 大垣駅南口の商店街にあるレトロな電器店

米原駅で東海道線から北陸線へ乗り換えます。少し時間がありましたので、駅から徒歩数分の「井筒屋」でそばを食べました。だしの風味が効いたつゆで大変美味しかったです。米原から近江塩津、敦賀と乗り継いで、小浜線の三方駅に到着。駅にはレンタサイクルもあるようでしたが、平日のみ貸し出しているそうです(残念!)。三方駅から年縞博物館へは、徒歩30分弱の道のりです。道中、「高側道」も楽しめます。

図21. 福井県年縞博物館

館内では、まず初めに、水月湖の年縞がなぜ注目されているのか、年縞ができる仕組みなどの概要をシアターで視聴します。その後、45m(約7万年分!)の年縞を、時代をさかのぼりながら見ることができます。撮影OKの館内でしたが、是非皆さんに訪れてほしいところですので、詳細な写真は控えることにいたしましょう……!
また、博物館に併設されている「縞カフェ」では、年縞をイメージしたサンドイッチが名物とのことで、筆者もいただきました。ストローを使った疑似ボーリング調査も楽しい仕掛けです(笑)(黒いパンで年縞を忠実に再現しているのですね!)。
年縞博物館のそばには、縄文遺跡に関する博物館や道の駅が併設されていますので、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
敦賀の市街地へ戻り、この日の行程は終了です。敦賀駅前の国道には直角駐車のスペースが設けられていて、なんとも不思議な景観でした。

図22. 年縞をイメージしたサンドイッチ
図23. 敦賀の直角駐車

4日目:福井鉄道・えちぜん鉄道共通1日乗車券で周遊

敦賀から武生へ移動し、週末限定で発売される福井鉄道とえちぜん鉄道の共通1日乗車券を使って、三国港と東尋坊を目指します。低床車両で駆け抜けていくのは、一種のアトラクションのようでした(笑)。三国駅では駅窓口で電動アシスト自転車を貸し出しているとのことでしたので、こちらを使って東尋坊へ行くことにしました。海に面した崖の上を走る爽快感が最高でした(花粉症ですが)。なお、えちぜん鉄道の到着に合わせて、東尋坊方面の路線バスが接続しています。

図24. 東尋坊への道中で撮影したパノラマ写真
図25. 柱状節理がよく見える東尋坊

月によって駐車禁止の規制が変わるんですね。思わず写真を撮ってしまいました。

図26. 年季の入った「偶数月」の補助標識

福井駅周辺も散策しました。福井県庁は福井城の堀に囲まれており、地図で見ると印象に残ります。福井鉄道で武生に戻り、武生からは特急サンダーバードに終点・金沢まで乗車します。北陸新幹線の延伸前に是非とも乗っておきたかったのです。翌日の新幹線と合わせて購入することで、乗継割引を適用させることができました。この日は金沢駅前のホテルに宿泊です。

図27. 金沢まで特急サンダーバードに乗車

5日目:つるぎ号で富山へ

金沢~富山間のみで運行されている「つるぎ」に乗車して、富山へ移動します。金沢を8時頃に出発し、通勤客で自由席の窓側はほとんど埋まっていました。
富山駅に到着すると、路面電車が行き交う様子に圧倒されました!市街地の至る所に、シェアサイクルの拠点が設置されており、通勤にも活用されているようです。また、岩瀬浜駅ではトラムとバスの対面乗換が可能になっていました。コンパクトシティとして様々な地域交通の試みが行われている様子を見ることができました。

図28. 富山の通勤ラッシュでは路面電車も大渋滞
図29. 富山市内のシェアサイクル
図30. 岩瀬浜駅のトラムとバスの対面乗換

岩瀬浜駅そばの「岩瀬カナル会館」で、1日100円のレンタサイクルを借りて散策しました。荷物は無料で預かってもらえたので助かりました!富山港展望台や、岩瀬の街を巡りました。
岩瀬や富山市街では、立山連峰がそびえる様子にも圧倒されます。どこで写真を撮っても、意図せずに山当てのようになってしまいます(笑)。富山市役所の展望ロビーからは、富山の街並み、新幹線、立山連峰を望むことができます。平日でしたが、かなり賑わっていました。
また、市内電車の過密ダイヤを縫うようにして、軌道の工事を行っていたことには驚きました。電車が近づいてきたら工事を止めて、重機を移動して電車の進路を確保していました。恐るべし富山の交通需要!

図31. 富山市街と立山連峰
図32. 市内電車の工事現場

平日夕方の北陸新幹線上りは、指定席はほぼ完売でした。自由席は長野から通路側が埋まり始め、高崎からは3人掛けの中央の座席も半分ほど埋まる混雑でした。4泊5日のしずハピ巡検、これにて終了です(5日間すべて雨に降られることなく!)。


おまけ ~詳細な経路図~

巡検レポートではお決まり(?)の経路図です。今回はスマートフォンのバッテリー節約のために、印刷したweb地図に描きこみながら記録しました。ここでは再びデジタル地図に描きおこしたものを掲載します。

甲府
諏訪
松本
奈良井
妻籠
馬籠
大垣
三方
敦賀
福井
三国~東尋坊
富山(左)・岩瀬(右)

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