よくねえのにもかかわらず

やっとこさ「ブラックミラー」の最新シーズンを観始めたんだけど、まあ相変わらず救いのない話が続くな。今より発達した、でも「こんな将来が来るかも」くらいには日々感じてるくらいの地続き感のあるテクノロジーの社会で、「まあ、その技術あったらそういう風に使っちゃうよねえ」って感じの相変わらずな人間たちが肉体や精神や記憶を拡張した結果、酷い目に遭う。実は結構落語と似てるかもしれない。時代逆だけど。

ただ、ここまで、散々最悪(この場合は最高って意味)な話を観てきたことで、観てるこっちにも変化が起こってきてるなと実感することがあった。最新シーズンの2話目「アークエンジェル」の回(ちなみにジョディ・フォスターが監督)。ざっくり言うと、我が子の体内に埋め込んで、居場所と、リアルタイムの視覚情報を遠隔で把握できる上に、見せたくないものに対しては本人の視界に直接モザイクかけられるデバイスがあったら、親はどうなるでしょうか、みたいな話。サザエさんだったら「かわいい子には旅をさせよ」的なタイトルになるかも。

出産シーンから始まって、一組の母娘を描いてくわけだが、まず、このお母さんが割りと年食ってるとこからして鬼畜である。そりゃあ、年取ってからできた一人娘だし、別れたのか、最初からいないのか知らないけど、シングルマザーだし。可愛かろうよ、娘。その当たり前の感情がきっかけで因果の坂道を転がり落ちるであろうことを、残念ながら我々は知ってる。

幼少時に自分の不注意で娘が迷子になってしまったことで、母親はデバイスの利用を決心。まあ、色々ありつつも、娘は成長していく。以下、ネタバレを避けるため、まさかの私めの心の声でお送りする。

…あー、そうなっちゃうよなあ…そりゃあ、そんなんあったら使っちゃうわな〜……ああ……ああ、もう……ってことはそっか、あれがああなって…ああ……ああ!…ああ、もう絶対ああなるじゃん!…ああなるよ!…いや、そりゃひどいだろ。いや~、それは耐えられない!もう無理!こんなん立ち直れない!…そんな……あれ?…ああ……ああ…。なんだ、よかった……

何だこの文章は。我ながらひどい。要は何が言いたいかというと、思ったほど酷くなかったってことだ。いや、酷いんだけど。「なんだ、よかった……」って、よくないんだけど。

どうやら、「ブラックミラー」を見進める内に、考えうる限りの最悪のエンディングを先回りして脳内で生成するようになってきたらしい。バッドエンドのつるべ撃ちに対して生み出した抗体。漆黒のカウパー氏腺液。2つのもので例えんな。とにかく、ものすごく酷いエンディングを勝手に自分で用意した上で、普通に酷い真のエンディングを見て「なんだ、よかった……」と思う、そんな人間になりつつある。どうしてくれる。

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