やすらぎの郷

ワイドスクランブルの間に徹子の部屋、からの「やすらぎの郷」という流れ。昼ドラ亡き後、情報番組ばっかの時間帯に20分の月~金ドラマ枠とはありがたい。結果、ワイドスクランブルは徹子、さらに石坂浩二、浅丘ルリ子、加賀まりこ、八千草薫とかを挟むバンズとなった。「とか」で済ませたメンツもすごいからな。悪ふざけみたいなハンバーガーだ。

倉本聰とキャスト陣で今週の徹子の部屋を埋め尽くす気合いに劣らず、本編の方もなんだか意外と攻撃的というか、不敵というか、なんならちょっと不穏ですらある。テレビ界に貢献した往年のスターや放送関係者たちが晩年を過ごす謎の老人ホームって設定からしてすごいけど、初週の半分を占めた入所までのくだりもすごかった。

ベテラン脚本家である主人公は、長年行きつけの居酒屋(店主:小松政夫)で戦友であるディレクター(近藤正臣)に「テレビ局に雇われてたやつはやすらぎの郷には入れない、なぜならテレビをつまんなくしたのはテレビ局だから」ってなことを言い放ち、先立った女優の妻(風吹ジュン)の着物を家の庭で、息子夫婦にとがめられても吸い続けたタバコの火を使って燃やす。「お庭で焚き火は禁止ですよ」っていうお隣さんの声は無視。各方面に中指が立ってる。

で、舞台となる、やすらぎの郷。東京ドーム30個分の敷地に点在するコテージが個室、充実の福利厚生、コンシェルジュが常盤貴子、バーでは松岡茉優がカクテルを作ってくれる、これで基本無料。第一週観終わった段階でも、なんかこれどこまで現実なんだって感じだ。単純に「楽園」とか「桃源郷」ってんじゃ済まない気がする。少し不穏だ。ほのかに漂う「シャイニング」感。

こうなると「やすらぎの郷」っていうネーミングも少し怖い気がしてくる。夢の島が「夢の島」というネーミングからして全く夢の島じゃなさそうなのと同じように。まあ、流石にここが血の海になったり、石坂浩二が庭で凍死したりはしないだろうけど、とにかく、ただ安らぎを与えてくれるようなドラマではないかもしれない。土曜には総集編(っていうか時間的に全話やるっぽい)もあるし、見届けよう。

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